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【北海道宇宙サミット2023・全文掲載】宇宙スタートアップ育成とイノベーションエコシステム(Session5)

2023年10月12日に行われた日本最大級の宇宙ビジネスカンファレンス「北海道宇宙サミット2023」の様子をお届けします。

“宇宙を動かせ。”をテーマに3回目の開催となる今回は、日本が再び成長するための戦略や宇宙ビジネスが私たちの生活や仕事をどのように変えていくのか、より具体的な未来像について産学官のフロントランナーたちによる議論が交わされました。

今回は、スタートアップ育成5か年計画を中心に議論が繰り広げられるSession5「宇宙スタートアップ育成とイノベーションエコシステム」で語られた内容を全文掲載します。


登壇者
岩谷 圭介 氏(株式会社岩谷技研 代表取締役)
佐藤 将史 氏(一般社団法人SPACETIDE 理事 兼 COO)
鈴木 英敬 氏(衆議院議員)
堀江 貴文 氏(インターステラテクノロジズ株式会社 ファウンダー)
三浦 崇宏 氏(The Breakthrough Company GO 代表取締役 PR/CreativeDirector)

スタートアップ育成5か年計画とは?

佐藤氏:
宇宙業界は今日本ですごく注目を浴びています。
追い風になっている理由の一つに、日本に新しい経済圏を作っていくために、政府が大きな予算を付けて、スタートアップを中心とした新しい社会構造を作っていくという動きがあるからです。
他方、世界ではスタートアップは冬の時代で投資が冷え込んでいるという話もあり、日本はある意味良いポジションにいるんじゃないかなと思います。
このチャンスを狙って宇宙スタートアップが盛り上がって、世界に伍する日本の企業を出していこうという雰囲気がある中で、どのように進めば良いのかというところを議論していきたいと思います。

まずはオンラインでご参加いただいている衆議院議員の鈴木さんからスタートアップ育成5か年計画の全体像について、立ち上げから関わられていらっしゃったということで、簡単にご紹介いただきます。

鈴木氏:
僕は9月まで政府のスタートアップ担当の大臣政務官で大臣の下、スタートアップ育成5か年計画の策定に携わってきました。
その前提となる自民党のスタートアップの提言、そのライターをやっていましたので、深く関わらせていただきました。
経済産業省時代も、ちょうど20年前、ベンチャー振興をやっていましたのでライフワークのようにスタートアップ支援をやっているところです。

5か年計画の全体像ということでお話しますが、この10年間でスタートアップへの投資額が、800億円から8000億円、10年間で10倍になりました。
それでも他の国に追いつかないということで、次は5年間で10倍に、倍のスピードで投資額を増やしていこうと。8000億円を10倍にすると8兆ですが、10兆を超える規模で5年間でやっていくこと。それからユニコーンを100社、スタートアップを10万社創出することが盛り込まれており、アジアのスタートアップハブとして頑張っていこうとしています。

大きく柱が3つあって、1つ目は人材とネットワークです。
今回の5か年計画の手段はエコシステムを作っていく、その端緒をこの5か年でつけていこうということなので、この人材とネットワークのところが重要です。
ストックオプションとか、グローバルスタートアップキャンパスを東京に作るんですけど、海外の大学と共にスタートアップを創出するものを作っていきます。

第2の柱が資金供給と出口戦略です。
SBIR制度の抜本強化やベンチャーキャピタル。海外からの資金も含めて資金を呼び込んでいくとだとか、政府、行政が1番できる応援の分かりやすい形はスタートアップ企業のお客さんになってあげるということなので、公共調達も拡大していこうとしています。

それから第3の柱は、日本のスタートアップは他の国、例えば欧米と比べて、 年金基金とか大学のエンダウメントからお金が来るのが少ないので、大企業を中心としたオープンイノベーション、CVCなどからの資金や技術で促進していくことです。

これが全体像ではありますが、詳細は経済産業省のホームページに詳しく分かりやすく書いた資料がありますので、もしよかったらご覧ください。

佐藤氏:
堀江さん、5か年計画の大綱の中で宇宙業界について実際どうお感じでしょうか。
今、政府がスタートアップにお金をつけようというところ、宇宙業界にもしっかり流れが来ているという風にお考えですか。

堀江氏:
はい。宇宙の業界は輸送システム、ロケットを宇宙にモノを送るという部分とデブリ除去、この2つの分野にSBIRの予算がついています。
これまでのこういう支援は割と広く薄くみたいな感じだったんですが、ちゃんと宇宙分野や核融合、 ディープテックのお金が必要なスタートアップにきっちりがっちりお金をつけて実行してくれたところは、これまでとは変わってきたなというのをすごくひしひしと感じています。
というのはSBIRの1番最初のフェーズで満額の20億円がついたのが我々も含めて3社プラス1社、20億は上限なんで、上限は難しいんじゃないかっていう風に社内でも言ってたんですけど、満額きちゃったよって。

三浦氏:
それってやっぱ盛り上がるんですか。20億回してきたぞと。

堀江氏:
盛り上がりますよ。きたー!20億マジで来たぞ。政府本気だぞって。
しかもですね、スタートアップ向けの予算ということで、通常、政府の補助金は何か成果物を作って、この補助金で作りました、ありがとうございますって、色々書類を書いて出してはじめてお金が振り込まれるんです。

三浦氏:
普通そうですね。

堀江氏:
先に出します。

三浦氏:
それって本当、超珍しいことなんですよ。
行政の補助金の仕事をしてると、作ってから出すよって言われても、元手なくて作れないんですけど、って詰むこと結構あるじゃないですか。

堀江氏:
一応、銀行からつなぎ融資という形で政府の保証、お金の保証があるので、夜逃げでもしない限り銀行は回収できるから融資はされるんですけど。なんせ20億なんで。20億って例えば地方の信用金庫になってくると融資できないって話が出てきます。
リスクがないのはわかってるけど、金融庁の規制があるので。でも、スタートアップは資金繰りが大変でしょうから先に出します。すげえ。って。

三浦氏:
本当に国がスタートアップのリアルを見てる感じがしますよね。

佐藤氏:
鈴木さん、その辺り、設計の時の想いがありますか。

鈴木氏:
SBIRを拡充していかなければならないと、5か年計画に書く直前に報道で出た時に、堀江さんが早速僕のところに来て、「期待してるんで」と言ってもらいました。
堀江さんが言っていた、報告書を書かないとお金が出ないってところは、日米との違いで1番今まで文句を言われていたところです。
日本のSBIRの手続きめっちゃむずいわーとか、めんどくさいって言われてたんで、それは今回解決しようというのと、契約方法は全部終わってからお金を出すんじゃなくて、随時目標を決めて、目標が達成できているかで契約のお金を支払いますという、新しい契約の柔軟化みたいなのを入れています。
そういう意味では、行政からのお金の出し方はなるべく事業者の皆さんに寄り添ってやっていく形になっています。

堀江氏:
スタートアップ的に言うとめちゃくちゃ嬉しいし、やる気が出ます。

佐藤氏:
鈴木さんにもう1点お伺いしたいのが、5か年計画を見た時にちょっと意地悪なんですけど「宇宙」って検索してみたんです。
すると25ページあって1件しかヒットしなくて、クライメートテックとか他の分野でもAMEDなどの名前は出てくる。JAXAの名前は小さく1個だけ出てきて、宇宙にはお金つかないんじゃないかなって、結果的にはお金がついたので良かったなと思ってるんですけど。
この辺り、宇宙は設計の段階でどういう扱いでしたか。

鈴木氏:
スライドに第1の柱と第2の柱の下にディープテックって書いてあるんですけど。その中にはもちろん入っています。
国会議員が、私はバイオに興味がある、私はクライメートテックに興味がある、だからそういう言葉も入れといてとか、各役所の頑張りみたいなもので入っているところもあります。
なので、宇宙に対するファン、 行政や政治の中でのファン、僕もその一員ですが、そういう人は増えてきましたが、もっとファンを増やしていく努力をして、あらゆるところに宇宙って出るようにしていかないといけないと思います。

宇宙は狭すぎる?宇宙×スタートアップの課題と資金の支援

佐藤氏:
あらゆるところに宇宙っていう意味では、ブランディングなどの取り組みもすごい大事だと思います。
三浦さん、いろんなスタートアップを見てきて、投資もやられている中で、宇宙×スタートアップってどんな位置付けですか。

三浦氏:
今日会場にたくさん人が来ていてびっくりしているんですけど。僕はスタートアップのブランディングやマーケティングを主に担当する仕事を普段していて、自分の会社でもいくつかスタートアップに出資しています。
今だとスペースデータという宇宙とメタバース関係の事業をやってる会社に出資させていただいたりもしています。

質問にお答えすると、宇宙って、宇宙業界っていう言葉があるようにちょっと狭い感じがするんですよ。
例えばスタートアップって言葉には、いろんなスタートアップがあるわけじゃないですか。BtoBビジネスやSaaSビジネス、農業スタートアップもあれば、いろんな産業があるわけです。
宇宙っていうのも、それに近い部分があると思っていて、例えば農業でも宇宙と関わることはできるし、映像業界でも宇宙と関わることはできる。
宇宙っていうものを、業界で閉じたものじゃなくて、他のスタートアップとか他の産業と繋げていく試みをもっとしていかないといけないなっていうのは外部にいる人間としては思いました。

さきほど鈴木さんが「国としてちゃんとお客にならないといけない」って言っていたのが、すごく大事な発言だと思います。
10年くらい前からフランスがスタートアップ育成のために頑張っていて、彼らが1番何をやったかと言うと、政府としてスタートアップに補助金を出すだけじゃなくて、スタートアップのサービスを行政で明確に取り入れていくっていう動きをしたんです。
なおかつ、フランスの三菱商事とか三井物産みたいな、いわゆる財閥系の超でかい会社にスタートアップのサービスを取り入れるようにディレクションするみたいなことをやっていました。
お金を配ることはもちろん大事なことだけれども、それ以上にユーザーになったり、一緒に事業を作っていくみたいな取り組みをもっと国が加速して、それに古い大企業が乗っかっていく、新しい形の護送船団方式みたいなものができるといいなって思っています。

佐藤氏:
2つの話は両方とも繋がってると思っています。
1つは宇宙のビジネスは最終的に地球の経済活動に繋がらないといけないし、いろんな人が入らなければいけないから、業界の境界線を曖昧にしていかないといけないというところ。
あとはモノを作って終わりじゃいけないから、使えるモノにするためにはお客さんがつかなくちゃいけなくて、それは他の業種の人かもしれないし、政府かもしれない、そこがまだ宇宙業界に足りていないのかなというところを指摘してもらったんじゃないかなという気がしています。

公共調達ってキーワードも出てきたので、SBIRがあって開発するお金をつけたけれど、その先どうするって話に繋がってくると思うんです。
鈴木さんにSBIRも含めた、資金に関する支援というところをもう少しご説明をいただきたいと思います。

鈴木氏:
まずSBIRの話をします。
SBIRは、スモールあるいはスタートアップビジネスイノベーションリサーチ(Small/Startup Business Innovation Research)の略です。
元々は研究開発の支援をしましょうというアメリカ発祥の制度です。

左側のアメリカのグラフを見たら分かる通り、横軸が研究が進んでいく段階で、縦軸が投入資源の額、必要量になってきます。
最初は政府がR&Dに出して最後はVCとか事業会社が出して、いわゆる「死の谷」という間のところ、スモールやスタートアップ、イノベーションの研究を応援していこうということで作りました。
日本の場合は右側ですけれども、上に位置付け不明確と書いていますが、研究開発支援なのか公共調達なのかその位置付けが不明になっていて、救わなければならない死の谷のところをちゃんとやっていくんだというようなこともまだ位置付けが不透明、不明確なので、今回それを改めていくことになっています。

例えば、今まではSBIRのうち86%を経済産業省がやっていて、それ以外の役所が全然活用しなかったので、もっと各省庁で使えるようにするとか、 今までは開発支援のフェーズ2のところだけ応援して、その後のサービス調達、いわゆるフェーズ3というのが日本は今までありませんでした。
例えばNASAだと給油衛星だったと思いますけども、開発支援をやった上で、その後サービス調達もやるというフェーズが連続する、開発支援をやってお客さんにもなるっていうのがあったんですが、今まで日本はそのフェーズ3がなくて、今回の予算からフェーズ3を作りました。
そういう形で応援していきたいと思っています。

今回、 SBIRが全体で2060億円あるうちの823億円が宇宙分です。
そのうち宇宙輸送が350億円 、スペースデブリが206億円という形になります。
それ以外はリモートセンシングとか月面ランダーとかですけども、 そういう形でSBIRを改良していきながら開発支援からサービス調達へというところをやっていきたいと思います。

例えば バイオとか薬品とかだったら、AMEDというところ、独立行政法人みたいなところから資金供給をするんですね。官民ファンド的な機能があります。
JAXAはそれを持っていないので、JAXA法を少し改正して、JAXAが戦略的に出資していく、そのような機能を持たせていこうとも考えております。
あとは契約のあり方を見直すとか、円滑に資金供給がなされるような工夫を我々もしていきたいなと思っています。

日本でロケットが作れなくなる?何にお金を配分することが宇宙産業を守るのか

佐藤氏:
NEDOやAMEDについては、5か年計画の中でNEDOに1000億、AMEDに3000億、資金供給機能を持たせるとあって、ぜひ宇宙も入れてほしいと思ったので、法律のところからこれからの動きに期待しています。
堀江さんにお伺いしたいんですけど、今回フェーズ3ということで、将来のサービスインに向けた開発をしなさいというのは国の大きなリクエストになっていると思います。
お金がついた以上、市場に近いところをやりなさいというのは、これからの開発において大きなハードルになりますか。

堀江氏:
いや、元々作ろうと思っていたんでハードルじゃないですね。
我々ぐらいの会社の規模がちょうど良かったなっていう。めちゃくちゃちょうどいいです。

佐藤氏:
ライトパーソンにお金が入ったって感じですか?

堀江氏:
そうですね。だから評価をしていただいてるのかなと、もう1つは宇宙の分野って日本は先行していた割には民間転用みたいなところではちょっと遅れを取っています。
なので、ここを逃すと産業の育成とか僕らみたいなスタートアップ、最終的にロケットインテグレーションするメーカーだけではなくて、そこに部品を供給するサプライチェーンなどの維持あるいは発展だったりは、タイミング的に僕はギリギリだったんじゃないかなと思っています。
我々はロケットエンジンのターボポンプなどを作っているんですけど。ターボポンプに使われている軸受、ボールベアリングとか、シールって言われる部品とか。マニアックな部品なので、正直、ロケットにしか使えないものを使っているわけです。
これってJAXAが今発注しているH3はそれ用にしか作ってないわけですよ。年間3本とか4本とかじゃないですか。エンジン1回につき多くても3本とか、シールは数枚みたいな話で、予備品含めて10枚発注しますみたいな世界で 宇宙用を細々と作っていただいてるわけです。絶対儲かってないんですよ。
にも関わらず、ずっと作っていただいてるわけですけど、これがいつまでも続くと思うなよって話で。
例えばカーボンという素材があるんですけど、それも国内で作られていません。アメリカ製のものを輸入して使っているだけです。
なぜそんなことになっているかっていうと、それを使うアプリケーションがないからです。
サプライチェーンというのは、チェーンのように繋がってるので、 どこかが欠けてしまうと、その技術は失われてしまいます。

例えば戦争が起きました、アメリカと日本が戦争することはないと思っているかもしれないけど、80年前は戦争してたんですから。
いつ国際情勢がどうなるかわからないのは、ロシアとウクライナの戦争でいうと、宇宙業界の人たちって、ロシアとウクライナの戦争が起きると思っていなかったわけです。
でもそうなってみんなが慌てている。「堀江さんのところのロケットもね、頑張ってね」って言いながら、でもロシアのロケットは買えるしって感じだったのが「早くしてください」みたいに言われることもある。

だから、国内のサプライチェーンを失ってしまうのはいつ何時戦争になった時にロケット作れませんということになりかねない。
ここを逃したら日本の宇宙産業は三菱スペースジェットが失敗したように、 2度とロケットを作れなくなっちゃいますよ、今ラストチャンスだなということを我々も丁寧に政府の方々にもインプットしていく。
日本は技術立国だって言ってるのに日本でジェット旅客機を作れない国になっちゃったんですよ。恥ずかしくないですか、すごい残念じゃないですかっていうことなんですよね。

佐藤氏:
SBIRに採択された企業があって、これまで薄く広くなっていたものを尖らせる方向にきました。
業界のリーダー、尖った人が出てくることで周りのサプライヤーも育っていくから、結局はエコシステムになって、みんなにとっていいことなんですよね。

三浦氏:
リーダーというかハブですよね。そこにちゃんとお金が投入されることによって、エコシステムが成立するハブになるし、技術も知恵もそこから生まれていく。
だからお金の配りどころをどうするかというのはめちゃくちゃ重要なポイントで、今の話を聞いて、すごく重要な投資だったってことが門外漢の僕も分かりました。
何にお金を配分することが結果的に産業を守ることにつながっていくのかは、これから主張していかなきゃいけないポイントですよね。

佐藤氏:
そうですね。設計されている役所、政府の側はそれを意識していたけれども、意外と知られていないところなので、ちゃんと伝えていきたいですよね。

気球で宇宙旅行気分!1ミリ単位の精度のGPSでワープ!?宇宙を使ってもらうためのマーケティングとブランディング

佐藤氏:
岩谷さんはSBIRとは違うところでビジネス領域を切り開いていらっしゃると思います。
今のスタートアップ支援の機運、宇宙業界のスタートアップ支援の政策、どういう風に感じていますか。

岩谷氏:
自己紹介からですが、北海道で気球屋さんをやってますくらいの話なんですが。高い高度まで上がれる気球を作って宇宙船をつけて、宇宙遊覧、宇宙旅行しましょうということを真面目にやっている会社です。

佐藤氏:
人も物も運ぶ。

岩谷氏:
そうですね。装置自体は開発が終わっていますので、あとは運用していくというところまできています。
SBIRは死の谷を越えるところへの補助金、助成金ということでお話を聞いていましたが、うちは死の谷を血だらけになりながら這い上がったので、フェーズ的にはちょっと先にいる状況です。
ただ、SBIRのターゲットとしているもの、政府で支援したい内容について業界ごとに企業を選んではいたんですが、 私たちは気球というよく分からない技術をやっているので、一切対象になっていない。
その部分を掴まなくても自力でなんとかやってきていましたし、やってこれたのでいいんですが、支援の対象が幅広いといいなと思いますね。

佐藤氏:
岩谷さんの会社は宇宙から見れば低高度でアクセスしやすいところ、ただ人を送るというすごいチャレンジングなことをやっているところが魅力だと思います。

三浦氏:
すみません。気球屋さんって言われて、あんまり分かっていないんですけど、僕にも分かるように教えてもらっていいですか。

岩谷氏:
気球の下に与圧式のカプセル、宇宙船をつけてあげて、高度25キロまで上がれる気球を作っています。
そこまで上がると空気がほとんどないので地球が見下ろせて、宇宙が見える、星々が昼間に見える、そんな世界まで上がれるので、ロケット以外でも宇宙を見れたら宇宙旅行気分を味わえるよね、というものをまずはお客様向けのサービスとしてしようかなということでやっています。

三浦氏:
それはエンタメとしてあるってことですか。

岩谷氏:
そうですね。

三浦氏:
もう乗れるんですか、今。

岩谷氏:
人は乗っていますよ。

三浦氏:
いくらぐらいで。

岩谷氏:
2400万円で売り出して、すでに締め切っちゃってるんですが。

三浦氏:
1人2400万。2人だと4800万。

岩谷氏:
まだ1人です。お客様1人にパイロット1人です。

佐藤氏:
人ももちろんですけれども、宇宙業界の実験のオファーなんかも来ているそうですね。
高度25キロとはいえ宇宙空間の疑似体験ができるので、いろんなデータが取れるらしいです。R&Dのテストもやってますよね。

三浦氏:
宇宙服っぽいのを着て乗るんですか。

岩谷氏:
キャビン自体与圧されているので、宇宙ステーションでこの格好でいられるのと同じですね。

三浦氏:
めちゃめちゃ怖いけど面白そうですね。小学生みたいな感想ですけど。

堀江氏:
乗ってくれば良いじゃないですか。

三浦氏:
2400万でしょ。

堀江氏:
出せるでしょ。

三浦氏:
今期の数字を締めてから相談させてください。

佐藤氏:
ちょっとした宇宙旅行ですよね。ある意味、死の谷を越えている会社なので、次のステージで必要な支援というのもあるんじゃないかなと思うんですけどいかがですか。

岩谷氏:
アメリカだと政府から受注という形で企業成長に繋がって、そのまま上場までというような流れがあります。
日本もそういった流れはいずれできてくるのかなと思っています。
これからベンチャーをたくさん育てていくという国の方針は確実に履行されるはずなので、私たちはそこに応えられるような技術を着々と作っています。
足腰がしっかりしてる企業は必ず残るので、そういう企業になるために日々行ってますね。

佐藤氏:
政府の支援金がどんと入りはじめてその後、政府がお客さんになる、でも民事も含めて政府依存だけじゃこの業界は発展性がない。
そのときに、お金もしくはお客さんを集めるためにパブリックの人たちに宇宙を使ってもらうというブランディングとかマーケティングはとても重要だと思うんですけれども。ショートタイムでお金を集めたり、ビジネスの実装が難しいこの業界をどういう風にしていくと人やお金が集まってきますかね。

三浦氏:
宇宙サミットに参加してみて、いろんな企業が初期は広告でマネタイズしてるところが多いですよね。
ispaceとかも上場する前はロケットや部品にロゴをつけたりだとか、広告にマネタイズのポイントを置くことが多いじゃないですか。

でも、僕が見てて思ったのが、例えば縦にロケットを打つ、その技術をそのまま横に展開すると、例えばアメリカまで1時間で行けるよみたいな、移動に関するビジネスに変えることもできるわけですよね 。
宇宙と言うと、ついつい上の方に目が向いて、夢がある分、夢にしか見えないのが関係者以外の素人の感覚ですね。

堀江氏:
どうやったら理解してもらえますかね。
僕は理解されにくい産業の立ち上げをよくやってきているわけですよ。
28年前にインターネット産業の立ち上げ黎明期に同じようなことをやってたときにも「メールって何に使うの?」「ウェブでNASAのホームページ見れるって何が美味しいの?」みたいな。馬鹿にされてたわけですよ。
でも、今インターネットがなかったら生活できないでしょってなるんだけど。俺が何を説明しても誰も理解しようとしない。だから、理解されないものなのかなと思っていて。

三浦氏:
でも宇宙って、例えばカーナビも宇宙産業じゃないですか。

堀江氏:
カーナビって1980年代の技術なんですよ。1980年代に開発されたんですね。グローバルポジショニングシステムの略でアメリカ軍がまずそれを運用開始した。
あれはすごく簡単な話で、時計を積んでるんですよ。 6000万年に1秒しか狂わない時計を積んでいて。それを4つ以上捕捉すると、その4次方程式を解いて、軌道の情報と時間のデータを電波で流しているんです。そのずれを計算して自分の位置を特定するというシステムなんです。
要は時計が正確であればあるほど正確な位置測定ができる。条件がいいと、センチメートル単位、10センチを切るぐらいの性能があるんですよ。

ただ、その端末が8ビットマイコンとか、30年以上前のコンピューターで動くことを前提に設計されてるんです。
だけど今ってすごい性能の高いコンピューターを積んでるわけじゃないですか、GPU、いろんな計算ができる。
これを使って、GPSをアップデートするとミリ単位で測位できるわけです。自分の位置がミリ単位でわかったりとかするんですね。

堀江氏:
技術的にできることがたくさんあるけど、 それが産業として立ち上がっていない、みたいな話が山のようにある。
こうやって聞きに来てくれている人たちはなんとなく理解して帰っていってくれるんだけど、そこには相対性理論とか、結構難しい話がいっぱいあるんですよ。
その技術を使う、だから俺を信じろ、みたいな話なんだけど。その技術を理解できなかったから堀江を信じるか信じないかみたいな話で、信じてくれればいいのに、自分なりに考えて「いや、宇宙まだでしょう」と言うわけ。そういう人たちにどうやって対処すればいいのか教えてほしい。

三浦氏:
難しいですよね。堀江さんは説明が賢すぎるんですよ。
今の話とか僕はこういうのが好きだから、分からないなりにテンションは上がるんですよ。でも多分ほとんどの人が距離を置いちゃいますよね。

堀江氏:
例えば、「俺に1兆円預けてくれたら、1ミリ単位で測位できるGPSを作ります」って言ったらそれでいい?

三浦氏:
ぶっちゃけそうですよね。
あと例えば、イーロン・マスクってすごいじゃないですか。地球上で人類が向かうべきだって方向はやっぱあるわけじゃないですか。炭素を減らしてほしい、みたいな。 アメリカの国としての方向もある。国としてはエネルギー政策においてポジションを取りたい。で、彼自身はテクノロジーで新しいことをやってお金持ちになりたい。そこの本筋が通ってるじゃないですか。
そこのマクロの地球の事情と国の事情とビジネスの事情を繋げて語れる人は少ない。技術だけの話をしたり、あるいは地球だけのSDGsみたいなお題目になっちゃってる部分があって、 地球、国家、個人のストーリーを語ることが大事なんじゃないかなって僕は思ってます。

堀江氏:
なんかふわっとした話をすればいいの?

三浦氏:
もうちょっとふわっとしても良いかもしれないです。

佐藤氏:
さっきの堀江さんの例えって、テッキーにテクノロジーで面白そうなことができるぞってアプローチだったのに対して、三浦さんの話は社会課題から入るイメージですよね。

三浦氏:
もう1つは1兆円払えば1ミリ単位の精度のGPSを作れるよっておっしゃってくれたじゃないですか。
それ生活者のベネフィットになってないんですよ。それって何が良くなるんだっけ、みたいな。どうなるんですか。

堀江氏:
そこまで分解して説明してあげなきゃダメ?

三浦氏:
それはそうですね。
マーケティングってやっぱりベネフィットがどうかなので。

堀江氏 :
例えば、それができると地震が予知できるかもしれない。

三浦氏:
めっちゃいいじゃないですか。そういう話をしてください。

堀江氏 :
でもそれ以上の話になると、またテクノロジーの話になるよ。

三浦氏:
でも、1兆円くれたら地震を予知できるかもしれないテクノロジーがあるんだけど、ちょっとやらしてみてくんないって。

堀江氏:
でもそれ以上の話をすると難しくなっちゃうよ。
なんで地震の予知ができるのかっていうのは、めちゃくちゃ難しい話の連続なんだけどできるのよ。

三浦氏:
堀江さんってコピーライターの友達います?

堀江氏:
いるよ。

三浦氏:
常に仲のいいコピーライターを隣に置いといて、堀江さんの考えたテクノロジーの実験を生活者のベネフィットに言い換えるっていうのをもっとやった方がいい。

佐藤氏:
今日の他のセッションでも、実はアナウンサーがすごく重要なんだとか、コピーライターみたいな方が重要なんだっていう議論が出て。そういう人たちはテクノロジーで頭いっぱいの人たちのそばにいてほしいですよね。

堀江氏:
それを作ることはできるんだけど、例えば「地震の予知ができます」って言っても、地震の予知なんかできるわけねえだろうって思うわけじゃない。

三浦氏:
できるわけねえだろうか、か。

堀江氏:
どう思った?俺が今「地震の予知ができるかも」って言ったら、できると思った?

三浦氏:
僕はできると思いました。

堀江氏:
思った?じゃあ、そこで終わろう。

三浦氏:
だって人間が想像することはできるから。逆に俺、なんで未だに地震の予知もできないんだろうなって思ってますもん。だって浮気とかだってバレるじゃないですか。

堀江氏:
あ、でもね、浮気もバレるようになる。言い換えよう。ミリ単位でできると、あと何ができるかっていうとね。例えばワープできるかもしれない。

三浦氏:
それはちょっと。

堀江氏:
ほらー、絶対信じてないじゃん。

三浦氏:
浮気バレる、地震予測するまではいけるけど、ワープはちょっと分かんなかった。

佐藤氏:
ちょっとこの場で解決案が出なさそうなので、この続きは楽屋か、皆さんとの名刺交換の際にお願いできればと。でも重要なポイントをあげていただいたんじゃないでしょうか。

宇宙業界は年齢も専門分野も関係なし!誰でも宇宙に関われるチャンス!

佐藤氏:
最後のアジェンダ、人材の話をしたいと思います。
5か年計画の中にもありましたが、産業に関わる人を増やしていくのがとても重要です。
宇宙業界は日本だと1万人いかないぐらいです。
自動車業界が圧倒的に大きくて500、600万人ぐらいの規模と呼ばれています。
ちなみにアメリカの宇宙業界は日本の10倍、10万人ぐらいって言われています。だから、盛り上がってるんですけど圧倒的に少ない。
ポテンシャルがあるけれども、先ほどからみんな言っているように人も金もないという中で、人がすごく問題になっていると。

ここにどうやって人を連れてくるか。
3つぐらいパターンが必要かなと思っていて、1つは他の業界から連れてくる。
ロケット業界だと自動車との親和性が強いなんて話があるんですけど、自動車に限らないんじゃないかなと思っています。
もう1つは若い世代ですね。大企業志向が抜けないみたいなことも言われたりしますけど、若い人がもっと入ってくるのはとても重要ですし、大学の中で航空宇宙学科がまだまだ少ない。他の学科から宇宙に触れる機会もない。そういうところで、若い世代がどういうふうに入ってくるか。
そして、3点目がグローバルだと思っています。
外国人の社員も含めて、いかに優秀な人を世界中から集めてきて、世界で戦えるスタートアップを作るか。
どの観点も重要ですけど、現場で採用に関わられてるお2人にお話を伺いたいと思います。最初は岩谷さん、CEOとして人数もどんどん増えていると伺っているんですが、メディアにも露出していて、楽に人が来ている感じなのか、実態としてはどんな感じですか。

岩谷氏:
ありがたいことにうちの会社はメディアで取り上げていただいているので、 比較的苦労していない会社だとは思っています。
ただ、地方のベンチャーの社長さんとお話すると、全然人来ませんって結構悩まれてますよね。

私たちも本社が札幌なので、似た傾向はあるのかなと。その分、メディアに取り上げていただくことでカバーできているという状況なのかなとは思っています。
ただ、若者の獲得が必ずしも重要とは私は思っていなくてですね。若い人は勿論良いのですが、若い人には若い人の役割があって、シニア層にはシニア層の役割があるんですよ。
例えば、私たちはめちゃくちゃフィールドワークをやるんですよね。夜中の0時とか1時からとかに実験するんですよ。 若い人たちにはそういったところに来てもらったりとか。シニアの方は、若い人たちが持っていない経験を持ってるので、若い人たちを伸ばすということで入ってもらったりしていて、若い人たちは逆に教えてもらって伸びる。
自分自身もどんどん年齢が上がって入れ替わっていくじゃないですか。その中に人間の仕組み、みたいなものを1つ固定化するために社会に小さな人間コミュニティーを作ったのが会社だと思うんですよね。それを作り上げているということで、どちらも大事だと思う。

佐藤氏:
悩んでいるポイントってありますか。

岩谷氏:
課題は勿論たくさんありますが、丁寧に解決すればいいやぐらいのものばかりではありますね。
スタートアップの場合は、死の谷を越えるまで人が来ないんですよ。その辺は越えてきたんで、少し良くなったんですけど、 1-2年前は募集してもきませんでした。

あとは、組織を作るにあたっても、普通の会社はピラミッド構造になっていますが、そのピラミッドを作り上げるのにも、育てる人だったり、率いる人がいませんというところで、船頭なしになってしまったり、組織を展開していくと、誰かが特別みたいな形になってしまう。それでは組織にならないので、ちゃんとした評価システムがあって、会社らしい指揮命令系統があって、報連相があってという、昭和じゃないかそれって言われるような組織を作ることは比較的重要なことかなと考えています。

佐藤氏:
着実にやってきているということですね。
堀江さんにも人材のとこで伺っていいですか。会社の規模もどんどん大きくなっていると思うんですけど、今はもう人の採用とか雇用とか順調ですか。

堀江氏 :
全然順調じゃないですね。順調ではないんだけど、前よりはマシかなみたいな。SBIRの20億円が決まったのはグッドニュースで、僕はベンチャー企業をいっぱい立ち上げていってるんで分かるんですけど。有名になったりとか、上場したりとかするまでは保守的なんですよね。

なんでこんな面白い会社なのに来ないのかなとかって逆に思っちゃったりもするんだけど。だってね、もう2年とかで自分たちが開発に参加してるロケットが飛ぶんですよ。多分、飛ぶことはある程度信じられていると思うんですけど、それまでに会社潰れるんじゃないかとも思われてるんですよ。で、 本人は良くても配偶者の方とか、お母さんが反対したりもするんですよ。親ブロック、嫁ブロックみたいなことを言ってるんですけど。それはすごくよくあって、そこを解決しなければいけないというところはあるかな。
大樹町に行くのが無理だっていうのは思ったよりもなくて、意外と東京の喧騒を離れて自然と毎日戯れられて嬉しいみたいな人もまあまあいたりとかして。

 でも、上場したり、ロケットがバンバン打ち上がるようになると、手のひらを返したように来るのも僕は知ってるので、僕はそこに関しては全く心配していないですね。
さっき言った、宇宙が身近じゃない、コピーライターが必要だってところは、実は採用に関しても誤解している人たちがいて。ここの誤解だけはどうやって解いていいのかなって、もっといいコミュニケーション手段があると思っているんですが。それは何かっていうと、ロケット開発には東大工学部宇宙工学科みたいな人しかいないんじゃないかと思ってるわけです。

三浦氏:
思ってます。

堀江氏:
僕なんかできないんじゃないかと思われている。でも、ロケットといえどもただの工業製品で、車とかと一緒なんで、板金みたいな仕事をしている人もいれば、溶接をしている人もいれば、 切削加工と町工場みたいな仕事をしている人たちもいれば、コンピューターのプログラミングをしている人もいるし、ロケットの射場のプラントエンジニアみたいな人たち、火力発電所を作っている人もいるし、総務の人もいるし、営業の人もいるし、財務の人もいるわけですよ。なので、 誰でもチャンスはあるということをより伝えたい。

三浦氏:
めっちゃいい話ですね。誰でも宇宙に関われるよってことですもんね。

堀江氏:
そうです。当たり前と言えば当たり前なんだけど、僕は東大の航空工学科とかじゃないんでって言う人が多い。

三浦氏:
ピクサーはアメリカで最高のアニメーションスタジオなんですけど。そこが同じで、トップのクリエイターしか採用できないっていう悩みがあったんですよ。
普通の経理とか財務とか、小さい色を塗ってくれる大学生でさえ欲しいわけですよ。で、何をやったかっていうと、映画のエンドロールに財務とか経理とか総務とか全員載せたんですよ。そしたら、その人たちがめちゃくちゃ喜んで周りに広めてくれて、バックオフィスの応募が増えたことがあって。
例えば、ロケットを打った時にどうやって名前を広げるか、媒体はわかんないですけれども、いろんな人が関わっていることを広めていくのはめちゃくちゃ大事な気がしますけどね。

佐藤氏:
宇宙スタートアップっていうと、どうしてもCEO、ファウンダーがキラキラしているように見える。業界が小さいこともあって、その人たちにスポットライトが当たりがちですよね。
ようやくそれぞれのチームで活躍してる人たちが露出したりとか伝える機会も増えてきましたが、そういうところって大事ですよね。他の業界では当たり前なんだと思うんですけど。

三浦氏:
僕は博報堂っていう広告代理店出身なんですけど。僕の友人で博報堂の同級生がispaceに転職して、広告営業をめっちゃ頑張って、すごい成果出していると聞いて、いい話だなと思ったんですけど。堀江さんが言ったように、ロケットには1番真ん中の技術者以外にもいろんな人が必要なんだということはもっと色々な言い方ができる気がしました。

佐藤氏:
鈴木さん、これまでの話を聞いて人材を集める宇宙業界において政策の面でどのような支援をしていけそうでしょうか。

鈴木氏:
宇宙に特化しているわけではないですけど、グローバルの人材という視点でいくと、アメリカの創業者、ユニコーンの創業者は半分が移民です。55%なんですけど。アメリカのユニコーンの創業者の半分は移民で、そのうちインドとイスラエルで30%を超えるんですよね。

彼らがアメリカで創業してユニコーンになって、本国に戻って引き続きアメリカのVCとかいろんなネットワークを持ち続けながらインドとイスラエルでまたさらに大きいビジネスを展開していく。
日本はグローバルの人材を惹きつけたり、グローバルな展開をしている場所にどんどん創業したい人、起業家になりたい人を派遣していくことで、グローバルのエコシステムの中に入っていくことを応援しようというのは、今回の5か年計画に入っています。
人材を作っていくことと、他産業からの転換ということでいけば、例えば洋上風力は造船業の技術が結構使えるので、 韓国は造船業から洋上風力に釜山とかをものすごい投資、応援しています。
自動車もこれからEVになって内燃機関の人材や企業の行き場がなくなっていくとするならば、そういう人たちの転換なんかもいいのかなと。
あとはいろんな人材に宇宙を分かりやすくみたいなことと同様に、いろんな場に宇宙のことが出ていくような形が大事だなと思っていて。10月2日からCIC Tokyoっていうところに航空自衛隊が宇宙協力オフィスを出します。 そこでいろんなスタートアップとか人材とか、お金を出す人とかとの交流を進めるみたいな露出をしていくようなこともやっています。
そういうところで人材を確保していくのも大事だと思いますね。

佐藤氏:
いろんなポイントを挙げていただいたんですけれども、最後の宇宙協力オフィスのところですね、CIC Tokyoのようににいろんな業種の人たちが集まる拠点というのは重要で、北海道、特に札幌はいろんな業界の人たちが集まる場があるので、そういうところで宇宙のコミュニティが根付くようになるといいなと思っています。

これまでの歩み、今日の1歩、10年後、20年後の未来へ向けて

佐藤氏:
最後に今日の話を踏まえて、この北海道十勝、スペースポートに対しての期待などがあればぜひコメントをいただいて、終わりにしたいと思います。

三浦氏:
僕自身は宇宙に関してそこまで専門家でもなければ、まだまだ全然遠いところからなんですけれども。宇宙という100%伸びる市場に早いうちからクリエイティブディレクター、マーケターとして関わりたいと思って、一丁噛みするつもりでここまで来ました。皆さんに優しく受け入れてもらって、すごくありがたいなと思っています。

僕がよく言うブランドアクションという概念があって。ブランディングは言葉とかデザインじゃなくて、実際の行動でしか表現できないということをよく言うんですね。
その意味で北海道大樹町が宇宙産業についてこれだけやっているというのは町とか土地のブランディングとして、ものすごい価値のある取り組みだと思っています。僕はすごくリスペクトしていますし、逆に僕は東京でマーケティング、ブランディングの仕事をしているんですけれども、何かお力添えできることがあったら、なんでもやりたいです。
宇宙の入り口としての北海道大樹町、素晴らしい取り組みなので、これからも応援していますし、何かあったらまたお手伝いさせてください。来年も来れたら嬉しいなと思ってます。

堀江氏:
すごくたくさん人がいらっしゃって、来年の会場、ここキャパ足りないだろうなと思って、次どこでやるんだろうなとかって勝手に、 僕あんまり関係ないんですけど、心配しているくらい。
HOSPOが主催でこういうイベントをされて我々以外にも例えば台湾からロケットを打ち上げようという会社が来たり、様々な人たちに北海道スペースポートっていうインフラがだんだん注目されてきて、ここ結構いいじゃん、使いやすいじゃん、寒いと思ったけどそうでもないなとか、十勝晴れの話も僕ずっとしてたんですよ。この地方って、日本でトップクラスに晴天率が高い場所なんですね。だから、ロケットの打ち上げにめちゃくちゃ適してるんですよ。
「北海道は雪がいっぱい降るからロケットは難しいんじゃないの」と言われるけど、雪が降るのは札幌とかニセコで、こっちは降りませんからっていう。そんな話からはじめなければいけなかったんですが。北海道宇宙サミットも3回目になって、だんだんそれが世の中に、少なくとも日本中の人たちには知られてきて、台湾とかまで知られるようになってきて、僕は嬉しいなと思っています。切磋琢磨するライバルでもあり、仲間たち、そういった人たちが北海道の大樹町を盛り上げてくれると、さっきの採用の話じゃないですけど、人がたくさん集まって、なんか盛り上がっていると、人って人がいっぱいいるところに行きたがる。このサミットにもなんでみんな来てるかって、人が集まってるから来ているわけで。 大樹町にももっと人が集まって、十勝全体を盛り上げて、我々がロケット「ZERO」を打ち上げる頃には、昔は大変だったけど、今は完全に宇宙の街として定着したよね、というような話ができるようになればいいなと思いました。

岩谷氏:
私は今回初めて参加しました。十勝で宇宙サミットをやってるらしいというのは聞いていたんですが、実は北海道スペースポートについては昔から知っていて、私は北海道大学出身で、在学中から北大の先生たちが、一生懸命やっているみたいなのは近場で見ていて、スペースポートが本当に形になるのかな、と思ってたんですよ。そうしていたら、どんどん形になっていって、こんなに大きなイベントもやっていて、長い努力の結晶でここまで来た。ずっと形にしてきた努力も含めて、ここまで来て、勢いづいているので、ここから先、さらに行くんだっていうところも含めて、感慨深いなと思いながら見ていました。

海外では、アメリカや中国、それにインドも宇宙に対してものすごく投資をしていて、日本は技術立国と言ってましたが、今はそれが昔になりつつあります。
海外には非常に強い競合がいる中で、日本国内で争っていてはとても勝てない状況になってきています。なので、こうやって集まって同じ方向を向いて戦っていけるような環境があるのはとても素晴らしいと思うので、これからの発展を願っております。

鈴木氏 :
大樹町には3月にお邪魔させていただいて、 期待というか羨ましいですよね。たくさん新しい家が建って、お店もできて、 若い人たちがたくさん来て、僕は国会議員になる前は三重県知事をやっていました。僕の今の選挙区は三重県の中でも、人口減少が1番大きい場所なんですよね。
だから、他の地域が憧れるような、そんなまちづくりをこれからもやっていってほしいと思うし、僕も国会議員という立場、スタートアップ、宇宙大好き、そんな立場から応援していきたいと思います。
実は僕の選挙区の中に、大紀町があるんです。海沿いにあって一次産業体験とかで外国人がいっぱい来る、なかなかいい町です。大樹町と大紀町で何かコラボレーションできたらおもろいなっていう風に思っています。
最後、蛇足でしたけど、みんなに憧れられる街になることを期待しています。

佐藤氏:
皆さんがおっしゃられているように、この流れがこれまで続いてきて、これから10年、20年続いた時に十勝、大樹町がどうなっているか、 あの時はこんなだったねっていう歴史もですね、私も一緒に伴走していきながら一緒に盛り上げていけると嬉しいなと思っています。
今日はその途中の1歩を一緒に踏み出せたと感じております。本当に皆様、ありがとうございました。登壇者の皆さんもありがとうございました。

※本記事はカンファレンスでの発言を文字に起こしたものです。編集の都合上、言い回しを調整している場合がございます。

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