恒美

Twitterでやかましく呟いたことをまとめて旅行記のようなものをやってみようと作って…

恒美

Twitterでやかましく呟いたことをまとめて旅行記のようなものをやってみようと作ってみました。去年のGotoトラベルを期に乗り鉄に回帰して、まずはJRの完乗をひとつの目標としています。

最近の記事

列島縦断18きっぷ-はじまり

2022年3月、今年も青春18きっぷのシーズンがはじまった。 青春18きっぷとは毎年学生の長期休みに合わせて春夏冬と期間限定で販売される、JR全線の普通・快速列車が乗り放題となる企画乗車券である。5回分で12050円(1回あたり2410円)のこの切符は使いどころも様々で、片道運賃が1210円を超えるような場所であれば日帰りでも元が取れるため小旅行に活用したり、乗り放題を最大限に活用して東京から九州までの大移動に用いたりと活用術は枚挙に暇がない。 さてこの切符で乗り放題と

    • 雨ニハマケル-3(終)

      止まない雨はないというが、実際その通りで尾道を出て東進を続けていると徐々に雨の勢いが弱まり始めた。山陽道も流れている。油断は禁物であるがなんとかなりそうな気がしてくる。 福山に11:30着、早速窓口に駆け込んでローズライナーの通常運行を確認し乗車券を買った。やや痛い出費となったがやむを得ない。再び雨足の強まることがないように祈りを捧げつつ、福山の駅前でバスを眺め続けるしかなかった。 幸いにも雨足は弱まり続け、眺めていたバスにスマホのカメラを向ける余裕も生まれてきた。主に鞆

      • 雨ニハマケル-2

        8月12日午前8時、豪雨の岡山駅は既に伯備線を終日止める準備が進められており高梁までの終電がしきりに案内されていた。山陽本線もいつまで持つか分かったものではないので、今すぐに西へ進み自宅へと向かわねばならない。都合がよければ可部線の新設区間である可部~あき亀山間1.6キロも乗ってしまおうかと企んでいたが、そのような余裕はなさそうである。駅には通勤通学を断念したサラリーマンや学生が不安そうにホームをキョロキョロしている。足早に新幹線に振り替えて乗換改札へ向かう者、電話口で見

        • 雨ニハマケル

          2021年8月12日 午前5時に宿代わりの快活CLUBを出てみると、既に本降りの雨で地べたは水浸しであった。始発時の岡山駅改札には豪雨予報による計画運休のお知らせがそこらかしこに点在していて物々しい。本来ならば寄り道せずに真っ直ぐ帰らねばならないところだが、どうしても乗っておきたい岡山地区最後の未乗線区があるため、せめてそれだけでもと思い四国方面のホームを目指す。 岡山で最後まで残った未乗、それは宇野線の末端区間にあたる茶屋町~宇野17.9キロである。かつては四国高松への

        列島縦断18きっぷ-はじまり

          海のある奈良-4(終)

          福知山より乗り換えた439M城崎温泉温泉行き電車がまもなく途中和田山に到着する。ここ和田山から分岐して山陽本線の姫路までを結ぶ播但線がこの日最後に乗る未乗線区である。 播但線はその名の通り「播」磨と「但」馬の陰陽連絡の役目を果たす65.7kmの路線で、途中寺前を境に電化と非電化に分かれ趣を異にしている。 和田山寄りは非電化であるのでディーゼルカーがエンジンを唸らせ待機している。珍妙な見た目をしている車であるが、どうやらキハ41といって元々2両1組で組成されるキハ47を

          海のある奈良-4(終)

          海のある奈良-3

          北陸の玄関口敦賀から乗換をせず1本で播磨の中核都市姫路へと抜けられる。「新快速」と呼ばれる乗り物は偉大であるといつも思う。船の中で想定していた行程を終えてしまったのでひとまずは関西圏のどこかに戻らねばならない。未乗を求めてこの時間から北陸へ繰り出しても暗闇のローカル線で虚無に浸るのがオチであるから都へ引き返すのが正しい選択だろう。 敦賀13:23発姫路行き新快速3177Mに乗り込んでひとまず京都を目指す。新快速と称していても湖西線の中間地点である近江舞子までは普通列車を

          海のある奈良-3

          海のある奈良-2

          電車は大きく分けると動力車(モーターの付いた車)と付随車(モーターのない車)が存在する。当然、動力車に対して付随車の比率が少なければそれだけモーターの性能が発揮できて加速力が上がる。車両の知識には疎いため迂闊なことは書けないが、都会で長大な編成を組むことを前提にした電車などは、最短2両編成で組もうにも構造の都合上、全ての車を動力車にせざるを得ない。付随車がないのでそれこそ最大の加速度を発揮できるようになるのだ。 何を言いたいかというと山陰本線を疾走するこの国鉄型113系の加

          海のある奈良-2

          海のある奈良

          2021年8月11日午前5時、数多のトラックドライバーに少しの旅客を混載した新門司港発大阪南港行きの名門大洋フェリーがまもなく目的地の大阪南港に入港しようとしていた。名門大洋フェリーは1日に2便あり、新門司港を17時に出るこの1便は観光や帰省の旅客輸送よりもトラックとそのドライバーを運ぶ意味合いが強い。船内は色黒で屈強な男たちが長い旅路の支度を済ませており独特の雰囲気が漂う。むさ苦しいと言ってしまえばそれまでだが。 眠い目を擦りつつ日の出を迎えた住之江のフェリーターミナ

          海のある奈良

          陰陽を辿る-2(終)

          津山線・姫新線・因美線、3つの路線が四方に交わるこの津山駅は今ではすっかりいちローカル線の乗換駅としてしか機能していないように見える。しかし2両編成や単行のディーゼルカーには不釣り合いなほど長大なホームなど見ると、かつては少なくとも10両編成の列車が発着していたことが見て取れる。調べるとかつての急行みささとみまさかの分割併合などがこの長大ホームで行われていたようでその名残なのだろう。 それにしても暑い、昨日駅前に出たときも暑いとしか言葉を発していなかった気がする。午前9時だ

          陰陽を辿る-2(終)

          陰陽を辿る

          旅費の大半を交通費に費やす貧乏大学生の懐はビジネスホテルの宿泊にも事欠く有様となる。鳥取の宿泊先も脳内予算会議の末に、駅から徒歩35分の立地にあるネットカフェ快活CLUBとすることで決着した。寝起きに35分歩くのは辛いので最寄りのバス停から鳥取駅行きのバスがあることを確認し就寝、朝には恙無く鳥取の駅へと降り立った。 今日の目的は鳥取駅を出発して先ず智頭を経て津山までの因美線70.8キロ、津山より岡山へ至る津山線58.7キロ、更に岡山から吉備路を横目に走り伯備線の総社へ至

          陰陽を辿る

          中国山地を制覇せよ-終

          3段式スイッチバックを越えても木次線はそこかしこで徐行を繰り返す。落石や倒木の危険がある箇所が山ほどあるが、大赤字である木次線に対してそこに満足な対策を設けることは難しい。保線も当然満足に行えないわけで、だからこそ保線費用を抑えつつ何かあったらすぐに止まれるスピードで走ることができる時速25キロの必殺徐行が重宝されているのだろう。既乗でロングシートかつ単調な緑の車窓がゆえにスマホに目をやる機会も多いのだが、こと木次線は圏外になるエリアで必殺徐行など始まるものだから目も当てられ

          中国山地を制覇せよ-終

          中国山地を制覇せよ-3

          岡山は新見市の備中神代駅から中国山地の庄原市、三次市を経て広島に至る159.1キロの芸備線は、最近になってついに閑散区間に事実上の余命宣告が下された。特に新見寄りの備中神代~東城~備後落合にかけての山間部路線は列車本数も日に数本、東城~備後落合にかけては1日3往復という有様で、正真正銘瀕死の状態であった。コロナ禍によってとどめを刺されるかもしれないというのは誰もが考えることで、7月の4連休は18きっぷを片手に鉄道マニアが押し掛けて都会の通勤ラッシュを彷彿とさせる大混乱の様相を

          中国山地を制覇せよ-3

          中国山地を制覇せよ-2

          時速25キロでゆったりと流れていく景色は眠気を誘う、スピードを落として加速してまたスピードを落として、これが繰り返されるうちにすっかりうたた寝してしまい目が覚めると半分ほど進んだ先にある林野駅だった。 林野駅は隣に勝間田駅という縁起の良さそうな駅があるせいか、戦時中林野は「早や死の→早死に」を連想させるとして避けられ、徴兵に駆り出された地元の人々は隣の勝間田から出征していったという逸話があるらしい。このあたりになると少しずつ地元の利用客も増えてきて徐行をすることはなくなって

          中国山地を制覇せよ-2

          中国山地を制覇せよ

          快活クラブは「夜を明かす」という用途に絞ればこれ以上ない良質な施設と言える。シャワーで汗を流してマットの敷かれた個室に寝転べば全て事足りる。必要最低限の「滞在」なので貧乏臭いと言われればそこまでだけれど、これで疲れが取れるうちは使わねば損だ。フライドポテトとトーストのモーニングも寿命を縮めている感覚がしてとてもよい。 今日の目標は姫新線の全線と芸備線の最閑散区間である備中神代~備後落合間、目的地までの移動で付いてきた山陰本線の米子~鳥取間の計295.4キロになる。姫路駅

          中国山地を制覇せよ

          完乗修行のはじまりを-2

          福山と塩町を結ぶから福塩線、こういう分かりやすい路線名は好きだ。元々両備軽便鉄道として福山-府中が開業して国有化後に福塩北線として塩町-府中が開業したこともあり、この福塩線は府中駅を境界として同一の線名でありながら性質の全く異なる路線が出来上がってしまっている。山中のローカル線を抜けたと思うと唐突に都市部の郊外にある駅をこまめに停車する線へと様変わりするのだ。 福塩線本来の起点は塩町だが、日に6往復の列車は全て芸備線三次駅まで乗り入れを行う。三次14:43発1728D府

          完乗修行のはじまりを-2

          完乗修行のはじまりを

          ブログやTwitterで宣言して逃げ道を塞いでおいた。こうなれば後は有言実行するだけである。まずは未乗線区の中でも最も近くそして厳しい区間である中国地方のローカル線群を何とかしなければならない。というわけで25~27日で18きっぷを握りしめ旅に出た。実は前の記事もその道中で書いている。決意表明なのでお暇があれば一読してくださると嬉しい。 旅の始まりはいつも下関駅から115系に乗り込む。ここから広島まではもう何度乗り通したかも分からない青春の路線だ。6:36発の岩国行きが定番

          完乗修行のはじまりを