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Episode 647 強気と弱気が同居します。

私は小さな頃から自動車が大好きでした。
読書が得意ではない私は、文字からの情報を蓄えるのに苦労したからか、ダイレクトに目に映る「形あるもの」に安心感を感じ、そこから吸収できる情報に大きく依存したのだと思います。

ですから、自動車や電車の型式に拠る形状の違いとか、もの凄く敏感だったのだと思います。
どうしても細部の違いに目が行くのは、「自動車がすき!」ということだけではないと感じています。
文字で表せる自動車や電車は、その視覚的な情報を完全に表現することはできません。
うまく文字をミックスできれば、もう少しザックリとした自動車や電車のイメージで落ち着いたかもしれません。

先日、過去のnote記事の整理作業をしていて、こんな記事を発見しました。
3年ほど前に書いたこの記事はASD的な「自己肯定感」のハナシであり、型落ちのクルマが放つオーラに「世の中に迎合しない」ギラギラした部分があって、そのギラギラ感にASD的な魅力を見出す場合がある…という内容のモノです。

でも…改めてこの記事を読み返してみて、「おや?」と思う部分があったのですよ。

職場の駐車場に停められたブルーバードが、「私はこれで良い」という強烈なオーラを放つのです。

パートナーに気のある私は言い出せなくてマゴマゴしていたワケでして、その一方でパートナーは世の中の流れに迎合しない私に興味を持ち始めたワケでして…。

note記事 「クルマがオーラを放つのです。

型落ちのクルマの放つ「強気な私」がある一方で、彼女に声を掛けられない「内気な私」が同居しているのではないか…と。

私にとって自動車とは、単なる移動手段やモノを運ぶための道具ではありません。
どちらかと言えば移動手段や道具ではなく、「衣類」に近いものなのかも…と思うことがあります。
その一方で、私にとっての衣類とは、身に纏う「社会的な常識」であったのだろうと思います。

会話を中心とするコミュニケーションが苦手な私は、衣類を自らの社会性を保証する道具として利用したのだろうと思います。
「制服」などというものは、その社会性を身に纏うという意味では最高に都合の良いものでして、ダサかろうが何だろうが「私の意思」とは関係なく身分の保障になる隠れ蓑ととして機能できたワケです。
その身分保障がという特典のあった制服を脱いだ時、私は時代に流されないベーシックな衣類と、ベーシックゆえに信頼されるブランドを拠り所にせざるを得なかったワケです。
この思考パタンは完全に受動傾向のASDスタイルです。

我が家の長女は子どもの頃からオシャレに興味があり、タンスの中から自らのセンスで服を選んで着る子でした。
衣類に対して積極的で能動的な彼女は、今でもセンスの良い服を選び、組み合わせるのです。
それがたとえ「ユニクロ」や「しまむら」のセールで売られているものでも、「おっ!」と思うくらい上手に美しく着こなすのですよ。
私にはこの衣類に対しての能動的なセンスがありません。
この長女の衣類に対しての能動性が、私は自動車に対して働いた…とすれば、どうでしょうかね。

長女はちょっと「天然」な部分はあっても、私のASDを遺伝的に引き継いでいるとは思いません。
長女は長女で得意と苦手は当然あって、それに伴う悩みはイロイロとあるのでしょうが、決して彼女の「自己肯定感」が低いとは思えないのですよ。

それに引き換え私はどうでしょう。
人に迎合することで居場所を作ろうとする受動傾向が基本であり、自分を押し隠すことで居場所を作るワケですから、表に出る「自己肯定感」が強く働く…とは考えにくいのです。
それは他者から見ていても明らか…大人しくて引っ込み思案、ひとりでいることが多いからからね。

ところが、自動車に関しては、長女が能動的に服を選んだように、私も能動的に車種を選び、それを私の納得いくようにキレイな状態に保った…雨粒を全てキレイな水玉にしてしまうほど念入りに塗られたワックスが効いたクルマがあなたに見せつけるものは、やはり「おっ!」という感情だったように思うのです。

ASDは「発達凸凹」と表現されるように、できることと出来ないことの差が激しいのだと思うのです。
そして、出来ないことはなるべく避ける様になる…だとした時に、出来ることへの能動性が発揮されたら、周囲から見てそれがどのように映るのかと考えます。
もしかすると、この出来ることだけに発揮される飛びぬけた能動性が「ギラギラした自己肯定感」の正体だとしたら?

出来ないことが多いから、そこはそれで諦めて、できることだけに楽しさを集中するとした時に、好きなことをする時だけ「自己肯定感」全開の別人格の私が表れる可能性はありそうな気がします。
秋本治氏のマンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に登場するバイクに乗ると性格が変わる白バイ警察官・本田速人みたいなアレ、私のなかにもありそうだなぁ…などと思うのです。

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