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強くない(4)

当時、高校2年生だった私は

吹奏楽部で“学生指揮者”という役職をいただいていました。



私の吹奏楽部はおそらく特殊で、

普通は顧問や講師の先生がやるような楽曲や基礎合奏の指導、

部全体のスケジューリングなどを学生がやっていました。




学生指揮者は部活の要でした。




私はもちろん、指揮者は全くの素人。



音楽理論や各楽器のこと、わからないことだらけなのに

同級生と後輩達、50人の視線は全て

指揮台に立つ私に向いている。


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(指揮台に立っているの私です)



私は吹奏楽をするのが楽しかった。

指揮を振るのが大好きだった。

クラリネットを吹くのも大好きだった。


自分の一言でバンドの音が良くなっていくのが

楽しくて仕方なかった。





「部活が辛いんじゃない?」


と聞かれても


「こんなに楽しいのに辛いはずがない」


そう言い張っていました。







それでも体はしんどくて

食欲もなくなっていき

ひどい時は1日に

おにぎり一口しか食べれないこともありました。



そりゃ体重もどんどん減って

確か最低体重36kgだった気がします。



合奏中、手が震えたり痺れたり

息が苦しくなったりすることもありました。



それでも部員のみんなに心配をかけたくなかった。



具合悪い人が指揮を振っていても、

着いていこうと思えないでしょう。

音楽に集中できないでしょう。



私だったら嫌だもん。





弱い自分を見せたくなくて

人に頼ることができなかったんです。





私は無理して

気丈に振る舞い続けていました。





授業に行けなくとも

部活にはどうにか行こうとしてました。

(先生ごめんなさい)







「心配をかけたくない」







これは自分をどんどん追い込んでしまう言葉だと

その時はわからなかった。



もしかしたら当時の私が精一杯

強くなる方法だったのかもしれない。




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