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言葉だけでは伝わらない!?大学愛を”量”と”縛り”でも表現する、青山学院150周年コンテンツをレビューする

大学の周年サイトは、伝えたい内容も、伝え方も、多種多様で、見ていて飽きないものが多くあります。少し前に大東文化大学の創立100周年サイトについてnoteに書いたところですが、今回もまた周年サイトを題材にしたいと思います。取り上げるのは、青山学院150周年特設サイト。このサイトも、なかなか熱量がありユニークです。

「青学マインド」を社会に伝える150周年記念事業

今回のリリースで取り上げられているのは、「青山学院150周年特設サイト」と、目玉企画(?)である「青学からの挑戦状 150クイズの盾」、そして青山学院創立 150 周年 キャッチコピーについてです。

キャッチコピーは「響け、青学マインド。」。響けという言葉に上品さがあるものの、どちらかというとオラオラ系といったらいいのでしょうか。我々が、社会に、世界に、アクションするというニュアンスがストレートに出ています。そして、よりキーになるのは「青学マインド」というフレーズです。「青学からの挑戦状 150クイズの盾」も、これを周知させることが目的にしていると書かれており、青山学院の150周年事業は、このマインドの周知、確認、醸成が大きなテーマなのかなと感じました。

キャッチコピーは、150周年特設サイトのトップにも象徴的に掲載されている

言葉や内容ではなく、ボリュームによって表現できる凄み

続いて、この青学マインドの周知をめざすコンテンツ、「青学からの挑戦状 150クイズの盾」についてです。このコンテンツは、タイトルからわかるように、青学にかかわる全150問からなるクイズです。これらクイズのなかから6ステージ×10問の合計60問と最終ステージの問題に答えると、抽選で2名に10万円の旅行券が当たるとのこと。

クイズは、幼稚園、初等部、中等部と、ステージが上がるごとに難しくなる

私も試しにやってみたのですが、まあぜんぜんわかりませんでした。卒業生ではないので、当然といえば当然です。ちなみに、学生が考えた問題には、「学生からの出題!」というアイコンがついていたり、クイズの問題や回答に新旧の写真がふんだんに使われていたりして、”関係者が愛を持って一生懸命つくった”というのが、ひしひしと伝わってきました。

クイズを通じて、青学の知識を伝える&確認させるとか、青学を思い出させるといった意味合いがあるのとともに、学院関係者の青学愛を感じ取ってもらうみたいな役割も、このコンテンツにはあるのかもしれません。150問という圧倒的なボリュームがあるからこそ、こういった言葉にならない凄みが生まれ、伝わるのだと思います。

周年を盛り上げるアンバサダーという存在

そして、最後、150周年特設サイトについてです。今年の11月16日にオープンし、公開されて日が浅いこともあって、コンテンツ数はこれから充実していくのかなという感じです。とはいえ、そのなかでも興味深いコンテンツがありました。ひとつは「青山学院150アンバサダー」。150周年を宣伝するアンバサダーとして、俳優の高橋克典さんがブランドアンバサダーに、名取裕子さんと杏さんが青山学院150周年アンバサダーに就任したとのことです。

3人のアンバサダー就任を伝える150周年特設サイトの記事

ブランドアンバサダーと青山学院150周年アンバサダーの違いはサイト上で説明されていないので、よくわからないのですが、かなり豪華な顔ぶれです。アンバサダーを立てて、大学の周年を盛り上げるというのは、これまであまり見たことがなく斬新さを感じます。また、たくさんの卒業生がいるなかで3名のアンバサダーがすべて俳優というのも、ちょっと面白いです。周年を盛り上げるには?という一点に特化した結果、あえて情報発信力のある人・職業に偏らせたのかもしれません。ただ、アンバサダーは3名のみであるとは書いてはいないので、今後、増えていく可能性もあります。どう展開をするのか、すごく楽しみです。

お題が難しいことで、目的がより達成できる?

で、もうひとつ、これは……と思ったコンテンツが、「Ever Green 150 わたしたちのとっておき」です。これは青学関係者が次世代に引き継ぎたい名作(書籍)を紹介する寄稿企画になります。面白いのは、単に書籍紹介をしたらいいのではなく、1・5・0にまつわるメッセージとともに伝えなくてはいけないことです。

Ever Green 150 わたしたちのとっておき」のトップページ

最初これを見たときに、え、何で?と首をかしげました。だって、寄稿してもらうだけでも、それなりにハードルがあるのに、さらにそこに1・5・0にまつわるメッセージで伝えろとなると、ハードルは爆上がりです。でも、そこからさらにじっくり考えると、これはこれでいいのかも…と思うようになりました。

少し考えてもらうと感じると思うのですが、このお題、そこそこ難しいんですよ。紹介したい書籍の概要であったり、伝えたいポイントというのは、わりかしすぐに浮かびますが、その書籍のどこが1・5・0と結び付けられるかというと、なかなかすぐには出てきません。だって、そんな視点で本を読んでなかったもん…。で、あらためて読み直したり、伝え方を考えたりすると、良くも悪くもそこそこ時間がかかります。ですが、それがいいんです。

今回の取り組みのそもそもの目的は「青学マインド」を思い返したり、周知させたりすることです。それで、寄稿する人は、普段あまり考えないようなお題をうんうんと悩みながら書くことになり、執筆期間中は頭のどこかに青学がある状態になります。こうなることによって、青学のことを思うし、青学に寄稿した事実も記憶に刻まれます。さらっと書籍紹介を書くだけでは、こうはなりません。

さらに、こういうややこしめのお題に対応してくれるのって、青学への愛の賜物でしかないと思うんですね。つまり、(書くのが大変な)寄稿文が増えるのは、コンテンツの拡充だけでなく、青学への愛が視覚化され積み上がっていくことも意味します。こういった背景をうまくチラ見せできたら、より説得力のある情報発信ができそうです。

非合理的だからこそ伝わること、価値が生まれること

「青学からの挑戦状 150クイズの盾」も「Ever Green 150 わたしたちのとっておき」も150(ないし1・5・0)にこだわらなければ、もっと手軽にできる企画です。でも、そこにあえて“縛り”を持っていくことで、青学愛がより際立って見え、関わった人も青学愛を否応なく再確認できる。こういう企画って、結果とコスパが重視される入試広報ではやりにくく、目的が漠然としていてエモーショナルなものも是とされる周年事業だからこそできるものだと思います。

多少非合理かもしれないけど、ガムシャラに熱量が高い取り組みをやり切るというのは、組織を推進していくうえで大事な儀式になりえます。今回の青山学院のように、周年を好機ととらえ、あえてハードル高めの企画をやってみるというのは、ぜんぜんアリなんじゃないでしょうか。

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