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変化と多様化が押し寄せる今こそ考えたい。大東文化大の就活イベントから連想する、今後の就活支援の在り方

就活支援や就職実績といった“卒業後”にかかわる情報は大学選びにおいて、とても気になる情報です。私が受験生だった20年以上前でも、こういった情報は積極的にアピールされており、今も昔もその重要性は変わらないように思います。一方、今と当時では社会状況も学生の価値観もかなり変化しており、中身についてはけっこう変わったのかもしれません。今回、見つけた大東文化大学の就活イベントのプレスリリースを見て、これをしみじみと感じました。

今の学生にはぶっ刺さる?タイパ重視の就職イベント

では、どんな就活イベントなのかというと、端的にいうと283の企業・団体が参加する「WEB学内就職セミナー」です。このイベントのどこに時代性を感じるかというと、「WEB学内就職セミナーのメリット」と銘打たれたイベントのポイント部分です。

■WEB学内就職セミナーのメリット
・離職率が低い、給与・福利厚生が充実、卒業生が活躍など【大東生の希望に合致するマッチング可能性の高い企業】をキャリアセンターが厳選
・毎年多くの卒業生が内定を獲得しており、効率よく【タイパ就活】ができる
・LIVE視聴限定情報や選考優遇などの【LIVE視聴特典がある企業】あり
・知名度は低いが福利厚生が充実していたり、優れた技術力を持つ【見つけづらい優良企業】も招待

大東文化大学プレスリリースより

……どうでしょう。「タイパ就活」というのが、かなりのパワーワードです。「LIVE視聴特典」というのも、なかなか。これら言葉の節々からは、“お得感”みたいなものが漂ってきます。そもそも、こういったポイント出しの表現に “メリット”という言葉を使うこと自体、そういう視点を重視していることの表れなのかなという気がします。

私自身の学生時代を振り返ると、就活は早めにはじめて最後まで頑張り抜いて、自分に合った会社に行くべし!みたいな雰囲気がありました。でも今は、賢く、早く、効率よく、というニーズが強いのかもしれません。もちろん大学のキャリアセンターは、新卒時の就活がいかに大事なのかは重々承知なはずです。このプレスリリースでもそこをちゃんと言及しています。とはいえ、それがわかった上で、あえて今回のような表現を使ってくることに、良い悪いは置いておいて学生のマインドは変わってきているんだなあとしみじみ感じます。

今後の就活支援ではコンセプトが重要になってくる?

このプレスリリースを読んでもう一つ思ったことがあります。それは、先ほども少し触れたのですが、「大東文化大学では、卒業後の最初の就職先『ファーストキャリア』を大切にした就職支援を行っている」と、何度も繰り返し書かれていることです。つまり同大学が、何をコンセプトに就活支援をしているのかが、すごく明確に伝わるし、伝えようとしています。

思えば、キャリア感が多様化した現在、“良い企業”とひとことで言っても、その定義は一律ではありません。私の学生時代であれば、多少の個人差はあれど、誰しもが名前を知っている大企業が“良い企業”とされていました。でも、今は福利厚生であったり、SDGsであったり、働きがいであったり、ミッションとかパーパスであったり、人間関係であったり、何に“良い”を感じるかが、人によってけっこうな差があります。加えて、インターンシップと就活が直結したり、就活エージェントが台頭してきたり、オンライン面接が一般化したり、生成AIでエントリーシートを書く学生が出てきたりと、就活にまつわる状況もすごいスピードで変化しています。

こういった多様化&変化が激しいなかで、全方位的に学生の就活をサポートするのって、そろそろ厳しいんじゃないかと感じています。であれば、我々が何を大切にして就活支援をするのかというコンセプトを持つことに意味が出てくるように思うのです。そして、できればそのコンセプトが、外部サービスでは代替できない、大学だからこそやるべきこと、大学でしかできないことであれば、なおいい気がします。もしそういったコンセプトを立てられるなら、そのコンセプトに共感する学生がキャリアセンターに来るし、そうでない学生は外部サービスを利用する、といったような棲み分けができるようになるからです。

本当の意味で、学生たちに誠実な就活サポートとは

学費を払っているんだから、どんな学生もしっかりサポートして欲しいという声も出てくると思います。でも、これからの社会状況を考えると、それに頷くほうが返って無責任な気がするんです。それより入学段階から、大学としての就活支援のコンセプトをちゃんと打ち出して、それに納得してもらった上で、学生に進学してもらう方が誠意があるし、トータルで見たときに効果も上げられる気がします。

就活支援やキャリアサポートは私の専門ではなく、あくまで学生や職員を取材するなかで知り得たことをもとに、今回のnoteを書いています。とはいえ、これら限られた情報からでさえ、今後はより考えないといけない分野になるのは間違いないと、そうすごく感じているのです。

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