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プロの仕事ってなんだろう?

実習先の指導看護師から、あるいは新人時代の先輩看護師から言われて恐怖だった言葉。
「根拠は?」
看護師の中には、「学生や新人のときに詰められる台詞」として認識されている方も多いのではないでしょうか(悲)。
大事ですよね、根拠。エビデンス。わかってます、わかってるんですよ。
でも、それ以上に怖かったんですよ、先輩から繰り出されるこの台詞が。

そんなひよっこだった時代を経て、根拠の大切さを身にしみて感じながら、日々勉強に邁進する看護師に(なんとか)成長しました。
最近、ふと「ああ、なぜ根拠が大切か、そういうことだよね」と改めて感じた出来事があったので、それについて書いてみようと思います。

根拠(ケアの目的・意図)を説明できるか

根拠(こんきょ)
ある言動のよりどころ。もと。また、議論などのよりどころ。

広辞苑より

根拠とは、何かを発言したり行動したりするときの拠り所となるものです。
看護の場合は、「ケアの目的・意図」といえるでしょう。
なぜ、そのケアを行う必要があるのか。そのケアが適切であることを、自分以外の人(患者さんだったり、家族だったり)に説明する必要があります。
正しいケアを提供するためには、自分自身がケアの目的・意図を理解していなければなりません。
適当に、思いつきでケアを提供しているわけではなく、患者さんをある状態まで持っていくために(それは治癒・回復だったり、苦痛の緩和だったり、穏やかな死であったりします)、計画的にケアを実践していることを証明する必要があるのです。

プロは根拠を説明できる

プロとアマチュアの一番の違いは何か、と問われたら、私は「自分の言葉で根拠を説明できるかどうか」と答えるでしょう。
学生時代、ナースステーションで「根拠は?」と詰められて、「うっ……」となっていた私は、間違いなくアマチュアでした。
あるいは、必死に勉強して丸暗記した「根拠」を、緊張してオドオドしながら答えていた新人時代の私も、形式上はプロの免許を持ったアマチュアでした。
学生時代は免許もありませんから正真正銘のアマチュアですが、新人看護師といえど国家試験をパスして免許を得た以上は「一応プロ」です。
でも、丸暗記して根拠を答えるようでは、プロではない。
(上から目線ですが、一応20年は経験積んでるので許してください)
勉強して、実践して、振り返って、自分の中であらゆる物事を消化しながら蓄積させた先に「自分の言葉」としての根拠がある。
経験知を、形式知として言葉にできるかどうか。
ケアの根拠を、「自分の中で消化した上で」言語化できるかどうか。
例えば、患者さんに「どうして酸素吸入が必要なの?」と問われて、生理学・疾患の特徴・予後・治療方針・最新のエビデンスを理解し、これまでの臨床経験を踏まえた上で、専門知識がない人にもわかるように説明できるか、ということです。
プロとアマチュアの違いは、ここにあると思っています。

「なんとなくわかってきた」、その先へ

最近の私の出来事で、とある診療科の方を担当しているのですが、私自身にその診療科の経験がなく、ケアの方向性が見出せない方がいました。
一般的な疾患の知識はあるのですが、常に「これでいいのかな?」と手探りの状態でケアをしている感が否めず、悶々としていました。
その方を担当して数ヶ月が経ち、先日ようやく「あ!なんとなくわかってきた!」と思える瞬間がありました。
個人情報に触れてしまうので詳細は割愛しますが、その方との対話や、他職種との対話を通して、なんとなく道筋が見えた気がしたのです。
感覚的に(本当に瞬間的に)、わかった気がしました。
でも、それは「わかった気になっている」だけかもしれない。
「なんとなく見えた道筋」が一体何なのか?正しいのか間違っているのか?ということを、いまだ言語化できずにいます。
きちんと言語化できなければ、それはただの感覚でしかなく、根拠とはなり得ません。
つまり、その分野において、私はまだプロではないのです。
日々、振り返って勉強です。それしか道はありません。

今やっていることは、プロの仕事と言えますか?
自分自身に、問いかける日々です。



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