時かけ

時をかけるおじさん 20 / 介護認定ってなんだ

イガイガ期の話に戻る。私は、焦ってもいたし、あっという間に迫り来そうな限界を、先んじて感じていた。

父に福祉的なサポートが必要なことはもう明らかだったし、もともと父の主治医からは「介護認定を受けたほうがいい」ともすすめられていた。結局母の病気のことが大きく背中を押す結果となったが、「みながすなる介護認定といふものを、我が家も受けてみむとてすなり。(土佐日記風)」ということに。

しかしそれってなんぞや?とまったくわかっていなかった私は、別分野ではあるが福祉関係に明るい伯母に付き添ってもらい、まずは地域の包括支援センターへ相談に行った。
記憶が曖昧な部分もあるが覚えているままに介護認定までの流れを書いてみる。

(1)介護認定をしたいという申請を提出。
包括支援センターでその場で書類を提出。なるべく早く施設を使いたいので早めに認定調査をお願いしますという希望は伝える。後日認定員の方から連絡がきて、一、二週間以内にはアポが取れた気がする。

(2)福祉サービス利用のため、ケアマネージャーを探す。
リストを渡され、この中から選んで、つてがあるようならそこを辿ってみてくださいと言われる。
いやいやつてなんかありませんがな、どこかおすすめありませんか、と食い下がる。家の立地などから一箇所おすすめをいただき、その場で電話してアポが取れた。

(3)後日、ケアマネージャーが家までくる。
父は世代が近い男性を嫌がる傾向にあるので、「ケアマネージャーは女性がいい」と強く希望させてもらうと、希望通り女性のケアマネージャーがきてくれた。こちらの要望を詳しく話し、制度について教えてもらう。他の方にも言われていたが、介護認定の度合いが「要支援」と「要介護」では大きく違うということを知る。すなわち「要支援2」になるか「要介護1」になるかによって、使用できる施設の条件や日数などが変わってくるということ。

おそらく父は「要介護1」が出るだろうと医師からも言われていたが、市区町村によって認定の厳しさも異なるらしく、我が区は比較的厳しいという。介護認定が降りていない段階ではあるが、まあ「たぶん要介護1が出るだろう」という前提でも見学は可能とのことなので、結果を待たずに通所施設は探し始めることにした。

何も知らないことで、全てが学びである。中でも当たり前と言われることではあるが私的に目からウロコだったもの。

介護の世界では「キーパーソン」というものがいるらしい。つまるところケアマネージャーと連絡を取り合って連携していくキーになる人間。どの段階だか忘れたが、つまりわたしがキーパーソンとなった。なんか変な言葉だな。私は3人兄弟の真ん中の長女であるが、やはりこういうときにキーパーソンとなってしまうのは女性が圧倒的に多いんだろうな。ほぼ諦めである。

ヘルパーさんなどを利用するのにも関わる介護度だが、「がん」は「末期ガン」でない限り該当しないということと、同居家族がいる場合は料理をつくる、掃除をするなどの家事的な介助はしてもらえないということを初めて知る。極端な話、ステージⅣだが末期ではない母と認知症の父が二人暮らしだったとしても、家事の介助はないということだ。うーん殺生な話。

文 / ほうこ

絵は少しおやすみしていてごめんなさい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?