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養生訓 巻第八 養老 鳳凰堂流解釈⑰


原文を現代文に改変

朱子六十八歳、其子に與うる書に、衰病の人多くば飲食過度によりて病くわわる、殊に肉多く食するは害あり。朝夕肉は只一種少食すべし。多く食うべからず。

あつものに肉あらば、(さい)に肉なきがよし。晩食には肉なきが尤もよし。肉の數多く重ぬるは滞りて害あり。

肉をすくなくするは、一には胃を寛くして氣を養い、一には用を節にして財を養うといえり。朱子の此言養生にせつなり。わかき人も此の如くすべし。

鳳凰堂流意訳

朱子が六十八歳の時、朱子の子に与えた書に書かれていたのは、老衰していく際の病の多くには飲食過度によるものが加わっている、特に肉を多く食べるのは害がある。朝夕肉は1種類のみを食べる方が良い。多く食べてはいけない。

汁物に肉が入っていれば、副菜には肉がない方が良い。晩飯には肉がない方が最も良い。肉の数が多くなれば滞りも多くなり害となる。肉を少なくする意味は、1つは胃を寛がせて気を養うこと、もう1つは節度を持つ事で無駄な散財を避け、蓄財を助けるということである。

朱子のこの言葉はあらゆる方面の養生の節度を示している。若い人であってもこれを見習う方が良い。

鳳凰堂流解釈

朱子とは尊称であり、本名は朱熹。南宋代の儒学者で、北宋から始まった学問を発展、完成させ朱子学を創始した人物。

理気二元論、性即理、格物致知、大義名分論等を提唱した。この後、王陽明が陽明学として大成し、江戸時代の中心思想となっている。

高齢者の節度としては、肉はできるだけ少ない方が良いと言うのは、身体にとっても心にとっても財政面でも有意義なものだと思います。

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