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医心方 巻二十七 養生篇 言語第八 鳳凰堂流解釈

  言語の養生については、基本妄りにしゃべるのではなく、要点をゆっくりと相手に響くようにしゃべること。

冬は気が蓄積される季節である為、自分からしゃべることは極力少なくし、質問に対して答えるようにしゃべること等と書かれています。

又、他の行動と言語を同時に行わないこと、しゃべるときには気海丹田から行う事、朝は気の出始めなのでなるべく大きな声を出さず、良い事を発する様にすること、次の日の気が蓄積し始める夜には冬と同じようになるべくしゃべらないこと等全て言葉にも力があり、気が備わり、妄りに使う事で浪費していることを誡めています。

現代では分かりにくい事ですが、この事に関しても、東洋医学では声が小さい人は気も少ないと判断する事等に反映されています。

養生要集からの引用
中経には、人は語ることと笑うことをなるべく少なくするようにする方が良い。

高い声を出そうとしないこと。声が高いのは善し悪しを論議し、自説を主張し、周囲を説き従わせようとするときであり、醜悪で互いに罵り合うときに使うからである。
このような会になったら、その度に心を空虚にして気を鎮める事。人と競争してはならない。もし言葉が過ぎ、笑い過ぎれば、肺を損ない、腎を傷つけ、精神が安定しなくなる。

千金方からの引用
冬の日には語るのがよい、言うのはいけない(自分からしゃべることを言うと言い、人に答えるのを語ると言う。


「冬の日に冷たい外気に触れて歩く時は、たくさん返事したりしゃべったりして口を開いてはいけない。」


「人の質問に答える場合は、鐘の響きを含むように語るようにするべきである。」


「歩きながら返事をしてはいけない。返事をするときには必ず立ち止まって語るべきである(歩きながら語ると、気が失われる。)」


「たとえ言語を読誦する時でも、常に声は気海(臍下丹田)にあると思え。」


「朝起きた時には、専ら良いことを口にするように心がけよ。先ず金銭や財産を計算しようとしないこと。」


「朝ベッドから降りた時、叱ったり大声を出したりしてはいけない。又、悪口をいってはいけない。」


「朝溜息をついてはいけない。」


「およそ清々しい朝には、いつも良い事を口にせよ。悪い事を聞いたら、来た方向に向かって三回唾を吐けばよい。」


「日が沈みはじめてから後には、話をしたり読誦したりしてはならない。もしどうしても読誦しなければならないことがあったら、むしろ平旦(午前四時頃)まで待つようにせよ。」


「寝てからは話をしないこと。(寝ると五臓は鐘のように身体に懸かっていないから声を出してはいけない。)」


「夜の夢は人に話してはいけない。朝になったら東方に向かって水を注ぎ、悪い夢は草木につけ、良い夢は宝となれ。と言えば即ち咎がない」


「夢の善し悪しを話してはいけない」

養生志からの引用
「朝起きた時にあれこれ言ってはいけない。又歌ったり詩歌をくちずさんだり、口笛を吹いたりしてはいけない。名づけて「請福の吉」という。」


「眠りから覚めて大言してはいけない。精気を損ない、氣力を減らす。」


「眠る時は歌を詠じてはいけない。歌を詠うと悪い事が起こる。」

枕中方からの引用
「道を行う者は、いつもそのことを内密にするように心がけ、一言も日地二言ってはいけない。一言言う事は、すなわち一算を減らす事であり、一算とは三日の事である。」

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