見出し画像

Andezzzが語るジャカルタのハウス・ミュージックの現状


8月23日(木)〜25日(土)の3日間、都内3ヶ所で来日ツアーを敢行するROKUM RECORDS。インドネシアの首都ジャカルタを拠点とし、現地をはじめ、欧米や日本のプロデューサーのトラックもリリースしているハウス・ミュージックのレーベルだ。本稿では彼らと日本の音楽ファンの架け橋として、レーベル・オーナーでDJ/プロデューサーのAndezzz/Departure Peopleに行ったインタビューをお届けする。
(取材・翻訳・文:HOUSE VIOLENCE

ジャカルタでもハウスは二分している
アンダーグラウンドなものとEDMだ

●ジャカルタではどのようなハウス・ミュージックが人気なのですか?
Andezzz/Departure People(以下Andezzz)
 他の国の大都市がそうであるように、ジャカルタでもハウスのスタイルは大きく2つに分かれている。一つは商業的なもの……ビッグルームやフューチャー・ハウスといったEDMだね。そしてもう一つはアンダーグラウンドなスタイル。ディープ・ハウスやテック・ハウス、それからもっとテクノに近いものだ。僕らは後者に属している。アンダーグラウンドなハウスはパーティの数も多いし、若者のフォロワーだって増えているから、元気なジャンルだと思うよ。

●Andezzzさん自身は、普段どのようなトラックをプレイするのでしょう?
Andezzz
 どんなパーティでプレイするかにもよるけど、僕はソウルフルなハウスを愛している。メロディがダイナミックで、パーティの序盤に最適なんだ。でも、ソウルフルなものだけじゃなくディープ・ハウスも好きで、ブロークン・ビーツやディスコ、ファンク、アフロ・ビートなど、さまざまな要素が入ったものをプレイしている。

●最近お気に入りのトラックは?
Andezzz 
以下にリスト・アップしておくね。今回の来日ツアーでも、こういったトラックをかけるかもしれない。
Micky More, Andy Tee, Roland Clark「The Rhythm(Original Mix)」
Serge Funk「Can’t Get Enough(Original Mix)」
Folamour「Jazz Session For No Future People(Original Mix)」
Angelo Ferreri「I’m Surprise(Studioheist Remix)」
Shuya Okino「Still In Love Feat. Navasha Daya(Dr Packer Remix)」

●インドネシアのDJは、欧米のトラックだけでなく、自国のプロデューサーが手掛けたものもDJプレイするのでしょうか?
Andezzz 
もちろん。多くのDJがインドネシア産のハウス・トラックをプレイしているよ。


ラウンジやレストランでハウスをかけるのが
今のジャカルタでは一般的だよ

●Andezzzさんはこれまでに、ジョーイ・ネグロやジャイルス・ピーターソンなど、さまざまなインターナショナルDJと共演してきましたが、その機会はどのようにして得たのですか?
Andezzz
 最初に夢が叶ったのはSOVAというニュージャズのユニットをやっていたころで、ヴィクター・デュプレやジャイルス・ピーターソン、マーク・ド・クライブ・ロウらと共演することができた。僕は当時、アーティスト活動の傍ら“Cloud Lounge & Dining”というレストランの音楽ディレクターを務めていて、店に合う音楽をかけたりDJパーティを企画するなどしていたんだ。そこにジンプスターやジョーイ・ネグロ、グラント・ネルソンにテレンス・パーカー、Mr. V、オポロポ、アーラン・ロスにフェイズ・アクション、Man Without A Clue、マーティン・アイキン、ステファン・ポンポニャックなどを招聘したわけだね。

●レストランと言えば、あなたのInstagramなどを見ていると、ジャカルタではハウスDJの活動の場として、レストランやラウンジ、ダイニング・バーなどが一般的であるように思えます。
Andezzz
 残念ながら、ジャカルタにはハウスに適したクラブが無いんだ。もしクラブに見えるような店があっても、バーやレストラン、ラウンジといった業態を採っている(以下の1〜2枚目の写真はその一例である店“Henshin”。なんと日本料理店である)。ジャカルタの音楽業界は、トップ40に入るような流行りの音楽をかけて金銭的な利益を得るのに躍起さ。でも僕にとって、それは問題じゃない。僕は常にクオリティの高いハウスをプレイするだけなんだから……会場がバーであっても、ラウンジやレストランであっても、はたまたルイ・ヴィトンやディオールの店内であってもね。


ROKUMには優秀なA&Rチームがあって
厳選したトラックをリリースしているんだ

●ROKUM RECORDS設立の経緯を教えてください。
Andezzz
 僕は2003〜2005年にGetReady Recordsというレーベルをやっていたんだけど、時代の流れでCDやカセットの売り上げが振るわなくなり、終了させることにしたんだ。その後は自分の音楽活動に専念し、自らの作品をリリースするための配信レーベルLaxity Recordingsを始めた。結局、そのレーベルは人に譲ることにしたんだが、しばらくしてハウスDJのFickryと共に新しいレーベルをやろうということになってね。それがROKUM RECORDSなんだ。インドネシアの音楽ファンがハイクオリティなハウス・ミュージックを求めていると感じたからスタートさせたのさ。幸運なことに、今ではVirtue Mediaというポスプロ(CMや映画などの映像/音声編集)の企業が持ち株会社になってくれて、彼らのサポートを受けながら活動できている。

●毎日のように数多くのデモが送られてきているようですが、リリースするものは、どのようにして選んでいるのですか?
Andezzz
 ROKUM RECORDSには優れたA&Rチームがあって、送られてきたトラックの中から、どれがリリースにふさわしいのかを判断している。僕らにとっての良いトラックとは、聴き手を陶酔させつつ楽しませるような、ヒプノティックなものなんだ。もちろん、アレンジとミキシングの両方が優れているのは大前提だ。あと大事なのは、レーベル・カラーとマッチしていること。だから厳選してリリースを決めることにしている。

●それは新しくリリースされたレーベル・コンピレーションを聴いていてもよく分かります。ROKUM RECORDSは“Virtue Sound”(以下の写真)というスタジオを所有していますね。どのような機材があるのですか?
Andezzz
 DAWはAvid Pro Tools|HDとApple Logic Pro X、Ableton Live、Image-Line FL Studioを完備している。MIDIコントローラーはKORGやNOVATION、M-AUDIO、NEKTARのマシンを揃えていて、モニターはYAMAHAとJBL PROFESSIONALのスピーカー。それからEPIPHONEのギターやFENDER Jazz Bassなどの楽器類もあるよ。Jazz Bassは僕の私物だけどね(笑)。僕らはこのスタジオに色んな人を招くし、みんなにも来てもらって一緒に音楽を作りたいと思っているよ。

●最後に、日本の音楽ファンに向けてメッセージをください。
Andezzz
 僕らは日本のカルチャーと日本人を本当にリスペクトしている。だから来日ツアーをできることになって名誉に思っているし、来てくれた人たちを必ず楽しませてみせるよ。BECAUSE WE BELIEVE IN HOUSE MUSIC!

【ROKUM RECORDS来日ツアー開催概要】

ROKUM LABEL NIGHT PARTY

08/23(木)渋谷 THE ROOM
OPEN 17:30 ~ CLOSE 23:30
入場料1,000円(1ドリンク込み)
※17:30~19:30はエントランス・フリー

ROKUM SUNDOWN PARTY
08/24(金)高円寺 SUB store Tokyo
OPEN 18:00 ~ CLOSE 24:00(18:00~ レーベル・クルーによるトラック・メイクのワークショップ、20:00~ DJパーティ)
入場料1,000円(1ドリンク込み)

GROOVE NATION
08/25(土)中目黒 solfa
OPEN 23:00 ~ CLOSE 05:00
入場料 ADV 2,000円(1ドリンク込み)/ DOOR 2,500円(1ドリンク込み)

●出演
<ROKUM RECORDS Crew>
Andezzz / Departure People
Fickry
Liza Rachel
Micko
Hugo
HOUSE VIOLENCE(JAPAN)

<Support>
gara (CANDY / ゆらぎ)
ekim
rinnai (混乱 / Spicy Sunday)
※8月25日のsolfa公演のみ

●リンク
Official Web Site
Facebook
Instagram
Resident Advisor


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?