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父親の悪口ばかり言っている女子がいた。その女子に彼氏ができた。学校で懇談会に来た彼女の母親がその彼氏を見て、お父さんの若い頃そっくりと笑っていた。

秋も深まって来ると三者懇談があった。
中学3年生の亜美は、お母さんと職員室の前で順番を待っていた。
3学期に、もう一度あるが、この話し合いでどこの高校を受験するか大体決まってしまう。
「もうちょっと勉強しておけばよかったなあ」
と亜美は照れくさそうにお母さんに言った。
「何言ってるの。これから挽回すればいいじゃないの」
「そう言っても、今日決まるんじゃないの私の人生・・・」
「大体でしょ・・2学期はまだだし・・」
そんな会話をしていると、同じクラスの大輔とそのお母さんがやってきた。
大輔たちは亜美の次なのだ。
大輔は照れくさそうに、
「オッス」
と言った。
亜美は、
「うん」
と頷いた。
お母さん同士が軽く会釈した。
実は亜美と大輔は付き合っている。
キスもまだだが、相思相愛は確認済みなのだ。
お母さんたちは、そんな二人のことは知らないはずだ。
連絡はLINE
高校に合格するまでは内緒にしようと二人で約束していた。
職員室のドアが開いた。
先生が顔をのぞかせ、亜美とお母さんが呼ばれた・・・
三者懇談が終わって、緊張から解放されてノビノビ気分の亜美とお母さんは一緒に家に帰った。
「似てるわ」
「ええ?」
「さっきの男の子」
「ああ・・大輔君ね。似てるって誰に」
「お父さんの若い頃によ」
そう言ってお母さんはニッコリした。
ドキッとした亜美はお母さんには話しておこうと思った。
 
        

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