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カブトムシ・ホイホイ。こんな方法でカブトムシが獲れるなら苦労しないよ。それが獲れたんですからばかばかしいからありゃしません。酔っ払いのじいさんだと言ってバカにはできないものです。

朝6時に起きて、6歳のマー君と虫取りに出かけました。目標はカブトムシです。グッズは、虫かごと虫網です。山の中に入って行くと、セミの泣き声が聞こえました。とりあえず、基本的なところからと
「セミから行こうか」
と私が言うと、マー君は
「うん」
と言って、虫網を振り回します。いや、どちらかと言えば虫網に振り回されていると言った感じです。もうすこし、柄の短い虫網を買ってやれば良かったと後悔している私に、マー君が
「ギャー、このセミ、おしっこかけやがった」
と叫びました。こんな感じで、悪戦苦闘しながら、やっとアブラゼミを二匹虫かごに入れたマー君でしたが、しばらくすると、
「かわいそうやから、逃がしてやるわ」
と言って逃がしてしまいました。
「もったいない」
と私が言うとマー君は
「セミの人生は、短い場合は3日やからな」
と真面目な顔で言うのには驚きました。
さて、問題のカブトムシですが、山で会った自称昆虫採集マニアの酔っぱらいのオジサンが、馴れ馴れしく言うには
「カブトムシ捕りに来たんやったら、この時間では遅い。ちょっと暗い時間、朝の4時から5時には来てないと無理やな」
でした。たしかに、私も、そうは思っていましたが、楽しみにしている若干6歳のマー君の前で、よく言えるものだと逆にムカッとしました。しかし、酔っぱらいのオジサン、マー君の残念そうな顔を見て改心したのか、ポケットから地図を取り出し、
「ええ方法教えたろう・・・いいか、こんな道路添いにカブトムシがいるわけない。もし、いるとしたら、この辺やな」
と、地図で教えてくれたのでした。マー君と二人、懸命に走って現地に到着すると、木という木を手当たりしだいに探してみましたが、とうとうカブトムシは見つかりませんでした。
「やっぱり、遅かったんやなあ」
とガッカリしながら、山を下りて来ると、また、さっきのオジサンが暇そうにしていまして、マー君の首からさがっている何も入っていない虫かごを見ると
「よーし、エエこと教えたろう」
と、オジサンは手に持っていたノートの白紙ページに何やら設計図を書き始めました
「これは、ワシの発明や。もし、誰かに言う場合は、私に許可をもらうように。この方法やと、少しくらい朝寝坊しても大丈夫や」
と言いました。そのオジサンの発明なんですが、
「虫かごに定価300円のメスのカブトムシのおもちゃを入れます。そして、そのメスのカブトムシのおもちゃに砂糖水をたっぷりかけます。そして、ちょっと薄暗い森の中にある秘密の場所にある木に、扉を開けっ放しにしたままセットうるそうです。名付けて、かの有名なゴキブリ・ホイホイならぬ、カブトムシ・ホイホイ」
たった、これだけなのです。私たちは案内されて昨日セットしたオジサンのカブトムシ・ホイホイを見に出かけました。なんと、その中に立派な角のはえた2匹のオスのカブトムシが入っているではありませんか。その二匹のオスカブトムシは、おもちゃのメスカブトムシが余程気に入ったのか、それとも、砂糖水が余程美味しかったのか、吸い付いて離れる様子ではありません。オジサンは虫かごの扉を閉めて、
「ほらね」
と、憎たらしい笑みを浮かべました。
さてさて、このようなわけでオジサンの言うとおりに、カブトムシ・ホイホイをセットしたマー君は、カブトムシを手にすることができるでしょうか?明日の朝が楽しみです。

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