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イールドワークで学ぶ空間身体学 第7回 実践編 「間」(Ma)を見つける 01

「言っていることや方法は正しいのになぜしっくりこない」
普段生活するなかでそんなことを感じたことはありませんか?

それとは逆に、

「理由はないけれどこの人といると安心できる」

ということもあるのではないでしょうか?
その理由は、私たちの身体が無意識のうちに相手や自分がいる環境に対して常にアンテナを張り、そこが自分にとって安全で「身を委ねられるか」を判断しているからです。

この「身を委ねる」という行動は「イールド」と呼ばれ、私たちは生まれた瞬間から身に備わったこの能力を使って積極的に安心できる相手や場所を選んで生き抜いています。

この連載ではこの能力「イールド」を知るとともに、上手にそれを使って自分を安心させたり、他人をリラックスさせたりする方法を、イールドワークの第一人者である田畑浩良さんにご紹介いただきます。アシスタントはイールドの達人(?)である猫を代表してニャンコ先生です。

連載 安心感と自己調整能力の鍵は「間合い」

イールドワークで学ぶ空間身体学


第7回 実践編 「間」(Ma)を見つける 01:自分の固有の間合いを見つける

文●田畑浩良
取材協力●半澤絹子

からだをゆだねて自己調整力を引き出す「イールドワーク」の連載。

今までは理論を主に紹介してきましたが、今回から実践の細かいポイントを解説していきます。

ご家族やご友人と一緒に「間合いの妙」を試してみてください!

自己調整力を引き出す「安心・安全」という基盤


地球上の生き物は、魚であれ、哺乳類であれ、生き延びることが最大の目的です。

無意識のレベルで常に外部の状況を察知して、環境に適応しようとします。

それは現代社会の私たちにおいても同じでしょう。

唯一、適応から逃れられるのは、休息のときだけ。

周囲に敵がいないと認識したときに、ようやくからだは防御を解いて、休息・メンテナンスを始めます。

それは「自己調整力」とも言い換えられます。

身体指向のトラウマ療法の一つであり、自己調整力を引き出すSomatic Experiencing®(SE)でも強調されるのが、「安全」という要素です。

クライアントの身体が、深い安全と安心を感じている場では、自己調整によるトラウマの解放や未完結の身体反応を完結させようとする内発的な作用が促進されます。

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