HPV感染とHPVワクチンの安全性

こんにちは!
ハッチヘルスケアでインターン生として活動している松下華菜です!

皆さん、子宮頸がんは、全世界の女性が疾患するがんのうち二番目に多いがんであることをご存知ですか?

子宮頸がんの多くはHPVと呼ばれるウイルス感染が原因であり、早期に発見し治療が行われれば、子宮の一部をとる程度で済みます。一方、十分な予防策や早期治療が行われず、がんが進行した場合、子宮摘出や死に至る可能性もあります。(参考文献1より)

今回は、子宮頸がんの原因とされるHPV感染とHPVワクチンの安全性について紹介します。



はじめに

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、世界でも最も一般的なウイルスの一つであり、子宮頸がんの主な原因とされています。
子宮頸がんは、感染、持続、進行、浸潤(がん細胞が周囲の組織を破壊しながら広がること)というステップで進行していきます。ほとんどすべての男女は、性的接触によってHPVに感染するといわれておりますが、子宮頸がんを発症する女性はごく一部です。
HPV感染は一過性のものであり、約80%が二年以内に消失されます。ただし、
HPV感染が10〜15年続くと、子宮頚がんに進行する可能性が高くなりますが自覚症状がないため、気づくことが遅れてしまいます。(参考文献1より)




HPV感染後、子宮頸がんの発症を高める要因

HPV感染は、子宮頸がんの発症の原因ではありますが、HPVに感染したからといって必ずしも子宮頸がんを発症するとは限りません。感染リスクを高める要因を3つに分類してご紹介します。(以下参考文献1より)

1,環境要因(影響力は高い)
・タバコ喫煙
・避妊薬(5年以上の避妊薬の使用によりリスクは高まるが、避妊薬の使用中止後10年以上経つと一度も使用したことがない女性と同じほどまでリスクは低下する)
・他の性感染症(クラミジア、単純ヘルペスウイルス2、HIVなど)との重複感染
・多産(5回以上の出産経験のある女性はリスクが高まる)

2,遺伝要因(影響力は低い)
ホルモンバランス、遺伝的要因、免疫力に関連する要因

3,ウイルス(影響力は高い)
HPV16型及び18型は高い感染力と持続力を持ち、子宮頸がんの原因の70%といわれている。

子宮頸がんの制御と予防

子宮頸がんはほとんどの場合ワクチンで予防できるとされています。

HPVワクチンには2価、4価、9価の種類が存在します。ワクチン接種により*前がん病変を98%以上予防できるとされています。
また最近の研究では、9歳〜13歳の女児におけるHPVワクチン接種後の抗体反応は、HPVワクチンの2回接種スケジュールと3回接種スケジュールは同等であることわかりました。(日本での定期接種の対象年齢は小学校6年生~高校1年生相当の女子です。)
これをうけ、世界保健機構(WHO)予防接種専門家戦略諮問グループ(SAGE)は、15歳未満で接種間隔が6か月(ある場合には12か月まで)であるならば、2回の接種を推奨しています。それにより、多くのヨーロッパ諸国では15才未満に2回のスケジュールを推奨しております。(参考文献1より)

参考文献1より引用

HPVワクチンの有害事象と安全性

HPVワクチンの最も有害な事象として、注射部位の疼痛・腫脹や紅斑、頭痛、筋肉痛、倦怠感が挙げられます。
そのほかにも、発熱、嘔吐、下痢、腹痛、めまい、知覚異常などが挙げられます。(以下参考文献1より)

失神に関しては、一般的に思春期に対するワクチン接種で認められていますが、ワクチン接種後15分ほど経過観察をすることで防ぐことが可能になるとされています。

また、日本での身体障害や重篤な病状を惹起する重度の有害事象は、10万人当たり約5人の頻度であると報告されています。
HPVワクチン接種の後に起こる、ギランバレー症候群や自己免疫疾患や突然死に関して は、HPVワクチンとの間に因果関係はないと示されています。(参考文献2より)

日本ではHPVワクチン接種の積極的勧奨が中止されていましたが、現在はワクチン接種を逃した方に向けて公費で接種を行えるキャッチアップ接種が行われています。接種が受けられる時期としては令和4(2022)年4月~令和7(2025)年3月の3年間となっています。これらは、平成9年度〜平成17年度生まれの女性が対象となっております。(参考文献3より)
この機会に皆さんもワクチン接種を考えてみてはいかがでしょうか?


参考文献
1,e-oncologia 子宮頸がん予防コース
https://acvj.sharepoint.com/sites/hh/800_Teamculturehr/Forms/AllItems.aspx?id=%2Fsites%2Fhh%2F800%5FTeamculturehr%2F860%5F%E3%80%90%E5%85%B1%E6%9C%89%5F%E5%AD%A6%E7%94%9F%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%80%91%5F%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%9F%E3%83%B3%2F863%5F%E3%83%AA%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%81%2F%E8%B3%87%E6%96%99%2Fe%2Doncologia%5F%E5%AD%90%E5%AE%AE%E9%A0%B8%E3%81%8C%E3%82%93%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%B9%E6%95%99%E6%9D%90%2Epdf&parent=%2Fsites%2Fhh%2F800%5FTeamculturehr%2F860%5F%E3%80%90%E5%85%B1%E6%9C%89%5F%E5%AD%A6%E7%94%9F%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%80%91%5F%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%9F%E3%83%B3%2F863%5F%E3%83%AA%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%81%2F%E8%B3%87%E6%96%99

2,子宮頚がん予防についての正しい理解のために
Part1子宮頚がんとHPVワクチンに関する最新の知識
https://www.jsog.or.jp/uploads/files/jsogpolicy/HPV_Part1_4.pdf

3,厚生労働省 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種を逃した方へ~キャッチアップ接種のご案内https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_catch-up-vaccination.html


https://andscan.jp/about

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