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いまもっとも引く手あまたの職業 ~保育士のエンプロイアビリティはあきれるほど高い~

待機児童対策としての全国的な保育所開業ラッシュを背景として、保育士の求人倍率は高止まりの状況が続く。全職種の平均有効求人倍率が1.3程度であるのに比べ、保育士のそれは3倍前後で推移している。資格を持ちながら就業していない潜在保育士が90万人以上もいると言われ、この人たちの復職が大きな課題となっている。

現場に入ってしみじみと思うのは、保育士という職業の人たちのエンプロイアビリティ(=職場や仕事のために必要とされ続ける能力)は本当に高いということである。人を雇い入れ働く環境を整える人事という仕事に携わり、自らも何度か転職を繰り返した私から見ても、あきれるほどはちゃめちゃな高さである。前述した需給のひっ迫もさることながら、子どもの発達や学習を支援するための専門的な経験や技能の高さは本当に貴重だ。そうした人たちが、さまざまなタイプや規模の保育施設において必要とされているのである。

例えば、認可保育園や認定こども園、認可外の保育所に学童保育やその他の社会福祉施設など。それに正規雇用だけでなく、非正規雇用や人材派遣・人材紹介などの形態でも働くことができる。保育士がその気になりさえすれば、自分に合った働き方をいくらでも選択することができるはずだ。にもかかわらず、就職して数年で職場を離れ潜在保育士が増える状況が続いているのは、保育士が希望する働き方の多様なニーズ(きちんとした給料や休みが欲しい、という待遇面の改善も当然含む)に比べ、雇用する側が設定する働く場の多様性が十分でないことが主要な原因だろうと強く思う。

保育士の働く職場のあり方のバリエーションをもっと劇的に増やすことで、保育士の側の「こう働きたい」という思いや行動を促しそれに応えていく。そのために人事労務パーソンであり保育士でもある自分に何かできることがあるのではないか、という気持ちで、今この文章を書いている。

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