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山本一郎氏による『日本人の給与がとんでもなく安い理由と、その問題の深刻さについて【令和の賃上げ・賃下げ論】』※文字起こし

https://www.youtube.com/watch?v=g2V24Pv8PrI から文字起こしさせていただきました。

『はいっ山本一郎でございますこんにちは。みなさんチャンネル登録とコメントの方よろしくお願いします。


ということでね、今日お話をしてきたいなあと思ってるのは、令和の賃上げ論っていうね、結構重要な話が出てきてですね。

淡路島の蟹工船(苦笑)

なんで出たの、って話からちょっと先にしたいんですけども。

どうもその、コロナで各社が相当の新卒採用の削減を行うようだ、まあ「ようだ」なので、まだフタを開けてみないとわかんないということはあるんですけども。

ちょっと前にね、淡路島に移転した、とある人材会社がですね(微笑)ある意味蟹工船みたいな(笑)安い値段で多くの人たちを養って、給料払うんだけどそのかわり住居費と研修費はお前ら払えっていう(苦笑)そういう結構な話をして。それでも募集した人数に近いだけの、就職が困難な学生が集まってしまいそうだみたい話があってですね。これはこれで人の選択なので、私から石投げたりするのはちょっととおかしいかなと思いながらもですね。やっぱちょっとこう世間の道理からするとそれちょっと違うんじゃないのって思ったりするんですよね。

それはあくまである程度社会経験があるからこそ、お前そんなお金でね、経歴書傷つけたくないからと言って無理に働きに行って、その後他のとこに移動しようと思ったら大変なことになるんじゃないの、っていう気持ちだってやっぱちょっとあるわけですよね。


賃上げに関する議論がようやく始まった

で、そこらへんで出てくるのは、これは本当に色んな議論があると思うんですが、あえてざっくりと言うと「賃金が安い」って話なんですよ。

で、賃金が安くても「働きがい」だとか「すぐ働ける環境がある」こと自体が大事だって言う人たちだってけっこういて。これは、昔から綿々と続いてきた日本経済の良いところでもあり、宿痾というか問題だった部分だっていうふうにも思うわけですよね。

これ何なのかというと賃上げに関する論争なんですよ。最近になってようやく、これ本当にようやく、賃上げとは何かっていうことと、あとその雇用情勢についてようやくまじめに調査しようやっていう話になってですね。「え、今から調査するの(笑)」って話はちょっとあるんですけども。

国のね、労働関係を一生懸命やってらっしゃる部門、これ本当にきちんとした議論をやっているので、ちょっとここで10分20分でお話を全部し尽くすのは難しいんですけど、結構真面目な議論を今までもやってきてですね。ようは働きたい側と雇う側のミスマッチのところどうやって上手くやっていくかというところで話をするにあたって、ちょっと前にリクルートキャリアさんがですね、エントリーシートをいろんなとこに使い回していたんじゃないかみたいな疑惑があって、働きたい人の情報を使うことによって、雇おうとする法人さん側に有利なことが出ますと。

労働紛争って基本的に雇う側が有利なんですよね。で、もちろん雇われる側は労働組合くんだりとかいろんなユニオンとかに相談したりとか、場合によっちゃあ労働基準監督署に行ったりとか、もしくは裁判に訴えたりとか様々なことがあったと思うんですけども、やっぱりこう自分の賃金を上げてください、もしくは自分が暮らせるだけのお金をくださいっていうことを正当に主張してしていくってのは長く日本の中でタブーとまで言わないまでもなかなかやりづらいことであったということは言えるのかなのかと思うんですよ。


さらには、最近ようやく男女共同参画とか、ある意味平等の社会に変わっていきましょうって話になると、男女の賃金の格差であるとか、もしくは昇進に関する差別みたいなものがクローズアップされることになるわけですよね。

で、これは当然のことながら、男性と女性ってはもちろん生物学的な機能は違うので、当然女性は、生きていくにあたっていろんなことを背負わされている側でもありますので。それこそ出産をうっかりしてしまうとですね、出産にかかる前後約2年間ぐらいはなかなか仕事が手につかない状態になってしまいますと。

場合によっては、みんながみんな健康な子供ではない。病気もしますし、もしくは何か怪我をしたとか、後は大学の進路だとか、いろんなとこで人間の育ち方だって千差万別だってところで、父親母親にかかる負担でいうと、特に母親に関する負担が大きくなるのって、ある種の性差の部分があるわけですよね。

ジェンダーロールだなんだっていろいろ言いますけども、やっぱねわが家でも子供がなんかわーわーやってるとですね、やっぱ最初「ママ」って言うのですね。で、父親のやるべき役割をもっと増やすべきだって口では言うけれども、でもやっぱり子供はママの方に行っちゃう以上、もうどうしようもないんですよね。

そういうこともあって。働ける人たちが、自分たちの生活を守るためにきちんとしたお金をもらえるようにするってこと、いわば労働政策の「基本のき」を、最近になっていろんな人たちがようやくまともに議論しますようになったと。

賃上げ抑制の結果、有技能者の給料は海外のほうが高くなった

その中で各会社さんが払ってる賃金のあり方みたいなことで、昔ながらで言うところの賃金カーブと言われるものですよね。長く勤めれば勤めるほどある程度昇進していって、昇進の中身に応じて基本給が上がっていって、それによってあなたはこの会社に長く勤めてそれなりの貢献することによってこれだけのメリットが与えられるんですみたいな形で日本型企業が形成されてきたという側面があります。

これはもちろん、日本型企業全てがダメだ良いだっていうような簡単な議論でなくて、社会での働き方の理想ってものはそこにけっこう投影されているわけですよ。要は「働かざるもの食うべからず」で、働いてる人がきちんと汗水流して成果を出して、初めてそれに関するメリットがいただけるんだみたいなところが、やっぱり日本人の固有の価値観としてあるんじゃないのかななんてことは思うんですよね。

そうなってくると、本来社会保障だとか、他のいろんなことのだけの問題でなくて、いわゆる働く側のセーフティネットで言うと、これ以下の賃金で人を雇ってはいけませんとかそういうレベルの話とちょっとまた別にですね、他の国との賃金格差ってことがいろいろ問題になってくるわけです。

特に日本においてはですね、しばらく賃金が、それこそ1990年代ぐらいから大きく上昇する局面というのはなかったわけなんですけども、その間に東南アジアだとか、特に中国や一部インドの都市なんかではバーンと給料が上がるわけですよね。そうなってくると、むしろ日本人プログラマーの方がインド人や中国人を雇うよりも安いってことが発生するわけですよね。さらには日本の中で比較的冷遇されてきた、特にエンジニアの方とかプログラマーの方もそうですけども、例えばアニメーターとか、もしくは電気技師だとかそういったところではむしろ日本の方が賃金安いので、海外に行ったほうが稼げるっていう事が出てきてしまうわけですよね。

それこそNTT だとか東京電力だとか、いろんなインフラに携わってらっしゃる方々、例えば電柱に登る仕事をやられる、そういった人たちが手際よくやっていく、ある意味職人的なスキルを持ってる人が、わずか月額たかだか稼いで平均35万円ぐらいしかもらってないっていうのが問題になってるわけですけども。

そうなってくるとじゃあそういう有技能者がですね、例えば東南アジアの国、タイとかですね、もしくはシンガポールとかインドとかですね、まあ中国だともう高くなっちゃうでしょ。そういうとこに行くと今の1.2倍から1.3倍ぐらいの給料が普通に払われると。下手すると日本で暮らしているよりも物価安いので、彼らからすると可処分所得が上がるっていうことが往々にして起きるわけですよね。気がついてみると、企業が賃上げ圧力を一生懸命抑えこんできた結果として賃金が上がらなさすぎて、むしろ海外の方が、技能持ってる人にとっては賃金が高いってことになっちゃったんですよね。

これはとりもなおさず技能のない人と技能のある人の賃金の格差みたいなものを埋めていく作業だったわけですよね。それこそ技能を持ってる方々てのは、10年15年その会社に勤めて力を養ってきた方もいらっしゃればですね、いろんな業界を渡り歩きながらそこにおちついた方もいらっしゃる中で、その人を正当に評価する、もしくはその人のその職能に応じた給料をきちんと払うってことがなかなか今まで考えられてこなかったっていうことがあるわけですよね。

そうなると、わが国は実は賃金の安い国なんじゃないかって話になるわけですよ。海外技能者研修制度みたいのがあって、外国からいろんな人たちが、有技能者がやってきますよみたいな話があったとしても、実はたとえば、タイで働いている看護師の方が日本で働いてる看護師よりも時給換算したら給料もらってるって話になっちゃうんですよね。

そうすると、日本がいくら外国人の人たち来てよーって言ってもですね、有技能者ほど日本に来ないってことになるわけですよね。これは本当にとりもなおさず日本ではやっぱりベースアップ、賃金を企業の業績を問わず上げていくためにはいくらぐらいの賃上げがあるべきかみたいなことを、どちらかって言うと労働組合横断でやっていたんですよね。それはいい意味でも悪い意味でも硬直化されて賃金上昇カーブが結果として、全体的な給料の抑え込みになってしまって、結果的にみなさん給料もらえないと。

政府が賃上げを言い出した理由

でその上で、でもねお前ちょっとさあ、日本で暮らしていくからには結婚せなあかん、家も持たなあかん、車を買わなあかんて話になってくるとですね、当然のことながらどんどん経済萎縮していくわけですよねと。これはある種の、全部ではないわけですけどもデフレの正体の一端だったんだろうって、最近政府の中でもよく議論されるようになるわけですよ。我々は賃金を抑えこみ過ぎたんじゃないかって。

政府が「お前ら賃金上げろ」って言ってですね、それこそ旧安倍政権がですねホワイトカラーエグゼンプションとかいろいろ課題が与えられてる中でですね、その後同一労働同一賃金とかいう話も出てきて、最近になってようやく、賃金は会社ごとに上げられるものはちゃんと上げていかないと、魅力のある職にもつけないし人も雇えないし、今人手不足かどうかは別として、色んな業種の中でみていくと、自分たちの業種はこういう良いところがあるんですよなんてことで、業界じたいに魅力がなくて業界全体が沈没していくというようなことに対する危機感が言われるようになったと。これはもうホントにようやく、ようやく需給に見合った賃金を会社が払えるような時期がきたんじゃないかっていう風になるわけですよ。

でやっぱ中国だとか、他のそれこそマレーシアだとかシンガポールだとかって国々ってのは、労働者の側がいくらぐらいの賃金でなければ働きませんと。もしくは他の所からこのぐらいの賃金で引っ張られたのとかで簡単に移っていくわけですよね。でそれは当然その企業の競争力という点からするとマイナスになるんだけども、労働者からしたらよりよいところで働くのは当然の権利だと考えているわけですよ。

日本で給与が上がらなかった事情

で日本ってのは、勤続して何年いるのが美学だとか、もしくはせっかくこの会社に入ったんだから、一定の年齢まではいるのが筋だろうとかですね。もしくはせっかく会社に入ったからには経歴を傷つけないために三年いなさいみたいなことって結構平気でおきるんですよね。

でも、一理あるんですよ。私もそれは全部は否定しないんだけれども、ただ、諸外国の労働環境と日本の環境があまりにも違いすぎてですね、結果的に、働く側が相当会社に対し譲歩する形で我慢をしていると。譲歩するという形で我慢した結果として賃金上がらなくて経済はデフレになって企業の生産性は下がるということもまた起きるわけですよね。

でこれは本当に冒頭にも申しましたけども会社の側がやっぱ強いわけですよ。強かった結果、賃金を抑えることによって有利だった業種って何なんだっけってなると、輸出産業なんですよね。輸出産業からするとやっぱり社員の賃金を下げてですね、コストを下げて輸出競争力を保つと。他の国々の会社との戦いの中で安い値段できちんと戦えるようなね、産業構造にしていくみたいなことに関しては、いちおう理があったんですよね。

生み出す価値にきちんと給与を払う国に

ただそれはあくまでその日本がその輸出産業によって経済を支えていた時代の話なのであって、ことに最近のサービス業中心の経済であるとか、もしくは付加価値を非常に重視するべき社会になってくるとですね、まあそれこそ、データサイエンティストを800万円で雇いたい(笑)とかですね、なぜならば他の同じクラスのエンジニアってだいたい850万ぐらいの給料なのでそれよりやや少ない給料で雇いたい(苦笑)とかの話になるわけですよね。

さらに私の身近なところで言うと警察庁の技術者採用で、他の年次の警察官がこのくらいの給料なのに、たかがホワイトハッカーに1,000万払うのは無理だみたいな話になったりですね、ホワイトハッカー雇うのに650万とかの求人出して誰も来ないみたいな(苦笑)そういう話になるのですよね。

これってやっぱり我々は何に対してお金を払ってるのか、ただその人の能力にお金を払ってるんだっていうことだけじゃなくて、その能力を使うことによってどういう価値を提供してきたのかっていうところから人智が考えていかなければならないと。それについてしかるべきお金を払っていけるような経済体制にならない限りは、自分が勉強して、いい仕事をするためにこういう技術を身につけようっていうインセンティブにもならないわけですよ。

で結果として、あと付けのようにプログラミング学校に行ってみたりとかですね、もしくは資格を取ってですね、この会社の転職に有利だみたいなことで自分なりの勉強して行くみたいなことを後付けでやっていかなければならないとなるとですね、これ本当に生産性という観点でいうとマイナスに効果してしまうということは間違いないであろうということは言えるわけですよね。

賃上げを政策で後押しすべき

なので、一連の労働改革だとかまあ色んな様々な議論の中から出てくるこれからの話としたらですね、やはりその賃金はちゃんと上げていけるような社会にしてかなきゃいけないよねと。でそのためには、会社の側も単純に、労働生産性ってのは賃金を抑えることによって発生するのではなくて、ちゃんと賃金を払って意味のある、価値のある企業活動をやることによって収益を上げていくんだみたいなことを、ちゃんと考えていくべきなんじゃないのかなと。

往々にしてファミリー的な企業、アットホームな会社ほどですね、社員の賃金を抑えようとする傾向が強いと。さらには同族系企業の方がやや賃金が低いとかの様々なデータがいま出始めているので、そういったところから考えるとやはりその我々の働き方ってものに対してもう少しこう政策面でも後押しできるような、賃金をきちんと上げていくような社会にできるような、さらにはいろんなスキルのある人たちが自分たちのスキルに見合った給料を得られるような、スキルのない人はそれなりに訓練ができるような、セーフティネットを作るような、そういう労働政策のほうにガバって転換させていく必要があるんじゃないのかなーっていう風には思うわけですよね。

霞ヶ関から始めましょう

なのでやはりこれからの産業政策だとか、雇用政策みたいなものを考えるときには、もちろんセーフティネットはちゃんと考えたうえで、ちゃんと給料を上げられるようにですね、やらないとだめだよねって言う、霞ヶ関の中心にいる人も増えてきたってのは、僕個人としてはいいことなのかなっていう風には思いますね。これと表裏一体なのはですね、もう死ぬほど働かされる国家公務員の人たちってのがいてですね(苦笑)共産党がなかなか質問の予定表を出してくれませんとか言って残業したりしてるわけですよ。

そんなのを考えると、やっぱりこうまず霞ヶ関から始めましょうと。さらに人が足りない、戦力が不足しているたとえば厚生労働省とか、もしくはまあ文部科学省もそうかな、そういったところの国家公務員を少しでもちゃんと戦力になる人を増やしてあげられるように。それもいわゆる国Iプロパーが出世レースに勝ち残るような人事体系だけじゃなくて、いろんな民間との交流がもっと増えたりとか、もしくは民間からガサっと必要な分野においては人が取れるようになるとか、もしくは警察庁・警視庁の必要な技術的人材に関してはいわゆる一般的な雇用情勢の中から遜色ない金額のお金が出せるような、そういうような国家公務員改革なんかもやってかなきゃいけないんじゃないのかなと思うんですよね。

政策立案してる本人から「ボク低賃金なんですよ」っていう話をされるとですね、「お前が低賃金じゃないか(笑)」「やってらんないですよねー」みたいな話になるわけですよね。

キャリア官僚のインセンティブ

まあちょっと最後蛇足になるんですけども。キャリア官僚の方々が、今までどうやってあれだけ働いて帳尻合わせに来たかと。結局天下りなんですよね。退職金と天下りでどうにかしてきたんですよ。

それこそ、それまで馬車馬のように働いて、身体を壊すような国家公務員たちがごろごろいる中でですね、出世レースを勝ち残れなかった人でも、何とか自分の人生を振り返った時にああ官僚になって良かったなと思うのは唯一、退職金なんですよね。でその先の天下り先からもらえる、座ってるだけでウン百万ウン千万っていうような仕事が出てくるから俺は頑張れる(苦笑)みたいなのがちょっとあるんだと思うんですよね。

それを、公務員の天下りは「渡り」になるからやめろあっせん禁止だみたいな話があってですね、様々なとこでモラールダウンしてですね、まあろくな人が国家公務員にならない、官僚にならないってなると、この国の基本の統治機構は官僚が担ってる部分が大きいので、その辺はやっぱりもう少し考えてあげるべきなのかななんてことはちょっと思ったりもしますけどね。ちょっとね。うん。

ということで、まあみなさんこの辺りの議論はこれからおそらく向こう半年ぐらいでバラバラっと賃上げに関する論争として出てくると思うのでですね、頭の片隅に置いといていただければ、そういえばああ山本一郎が言ってたなあってことを思い返していただけるんじゃないかなあなんて思うので、是非気にしておいていただければいいなというふうに思います。どうもありがとうございました。』

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