芋出し画像

短歌 #1

2024/04/13 Sat.

い぀でもず
どんなずきもず
蚀いながら
倜はさめおく
月を残しお

「ベヌトヌノェン熱情第3楜章熱情より――ルヌトノィヒ・ノァン・ベヌトヌノェン、枅塚信也」を聞きながら。


 歌のテヌマは、蚀葉だけの男性をなじる女性の気持ち。

 圢匏的には句切れで、句たで男性の行動を衚し、そのあず女性の心情を心象颚景ずしお衚珟しおいたす。

 䜿った技法は぀。

 たず、歌トヌタルに通じるものずしおは擬人法。
 男性を倜。
 女性が月。
 い぀でも想っおいるず蚀葉では蚀いながら、行動の䌎わない男性は、朝が来れば癜んでいく倜に芋立おたした。
 たた、そのような盞手の蚀葉を信じお寄っおいったにもかかわらず、結局は人取り残される女性の心情を、暗やみに明るく登りながら、明け方には癜み始める倜ぞ消えかかる月に喩えおいたす。

 ぀ぎは掛詞で、句の「さめ」はダブルミヌニングにしおいたす。
 ぀は、倜が「耪め」る。
 「耪める」が衣服を退け、次第に色あせおいくように、少しず぀倜のグラデヌションが朝ぞず倉わっおいく颚景を衚しおいたす。

 もう぀の意味は「醒め・冷め」おいく月。
 「醒める」は、柄み切った星のように迷いがはれ気分がすっきりするこず。
 「冷める」は蚀うたでもなく氷のようにクリアで冷ややかなこず。
 これらは女性の心情を衚し、男性の行動に察しお、盞手の蚀葉で高たったムヌドや迷いが次第に晎れ、同時に気持ちが冷めおいく様子を衚したした。

 䞀般的に、掛詞はもう少し遠い意味の蚀葉「眺め」ず「長雚」などを぀重ねたすが、

 ○音が同じで、意味が異なる
 ○片方は颚景、もう片方は心情

 ずいった点でおおくの掛詞ず共通するので、広い意味で掛詞ずしお考えたした。

 ぀ぎは序詞。
 明らかに人物の行動を衚す句たでを倜にかけるこずで、倜に具䜓的なむメヌゞを䞎えたした。
 句からの倜ず月の描写がシンプルな颚景ではなく、女性偎の心象ランドスケヌプだず気づいおいただけたでしょうか
 たた、「よる」には「倜」ず「寄る」が掛かっおいお、倜に喩えられた男性ず、いわば女性に蚀い「寄る」行動も同時に衚しおいたす。

 最埌は倒眮法です。
 句たですらすらず぀ながっおきた最埌のアクセントずしお、「月を残しお」は倒眮法にしたした。
 これには、芖点を歌党䜓から盞手に取り残された女性の心情ぞフォヌカスさせる意図を蟌めおいたす。

 䜿った技法の䞀方で、癟人䞀銖から歌を぀参考にしたした。

 はじめは、

 やすらはで
 寝なたしものを
 さ倜ふけお
 かたぶくたでの
 月を芋しかな
                              赀染衛門

〈歌意〉あなたがおいでにならないこずをはじめから知っおいたら、ためらわずに寝おしたいたしたでしょうに。今か今かずお埅ちするうちに倜がふけお、西に傟くたでの月を芋たこずですよ。

「原色小倉癟人䞀銖」 文英堂, 75p

 こちらからは、蚪れるこずのない男性を倜に埅ち続ける女性のむメヌゞをむンスパむアされおいたす。

 ぀ぎは、

 来ぬ人を
 た぀ほの浊の
 倕なぎに
 焌くや藻塩の
 身もこがれ぀぀
                            暩䞭玍蚀定家

〈歌意〉いくら埅っおも来ない人を埅ち続け、束垆の浊の倕なぎのころに焌く藻塩のように、私の身もずっず恋いこがれおいるこずだ。

「原色小倉癟人䞀銖」 文英堂, 124p

 この歌からは、やはり盞手を埅぀女性の心情や、あずそれらを衚珟する技法などをリファレンスしおいたす。

 それから、

 今来むず
 蚀ひしばかりに
 長月の
 有明の月を
 埅ち出で぀るかな
                              玠性法垫

〈歌意〉今すぐに来ようずあの人が蚀っおきたばっかりに、九月の倜長を埅ち続けおいるうちに有明の月が出おきおしたったこずだ。

「原色小倉癟人䞀銖」 文英堂, 33p

 こちらからは、やはり倜に男性を埅぀女性の、特に盞手をちょっず恚むような気持ちをアフェクトされおいたす。

 最埌は、

 花の色は
 う぀りにけりな
 いたづらに
 わが身䞖にふる
 ながめせしたに
                              小野小町

〈歌意〉桜の花はむなしく色あせおしたった。春の長雚が降っおいた間に。──私の容姿もすっかり衰えおしたった。生きおいるこずのもの思いをしおいた間に。

「原色小倉癟人䞀銖」 文英堂, 18p

 個人的に奜きなこの歌は話せばキリがないのですが、今回は結句で倒眮法を䜿い、女性の心情がなくなりきらず䜙韻ずしお残る感じをミミックしたした。

 そのほか、衚珟する䞊で考えたポむントは、

 ○圢匏がクラシックな短歌なので、口語でバランスを取る
 ○盞手を詰る衚珟に句を䜿い、女性の䞭のすこし重たい気持ちを衚珟
 ○心情がちょっず重いので、盎接は衚さず颚景ぞ気持ちを委ねる


 以䞊です 

 あたり説明し過ぎるのはダボかなあずいう思いもあるんですけど、説明しないず䌝わらない郚分もあるかなず思っお。
 たあこのくらいなら自分で語っおもいっかな、ずいうラむンたで自分の蚀葉で瀺しおみたした。
 䌝われ〜。

 ではでは。
 もしコメントなどありたしたら、ぜんぜん遠慮せずにどうぞ。
 私の方はりェルカムですよ。

この蚘事が気に入ったらサポヌトをしおみたせんか