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横川巧というランナーについて

結婚して明日で1年になります。
今日は旦那の横川巧というランナーについてと、自分たちの1年について書いていこうと思います。

「何で引退しようと思ったの?」

久しぶりやね〜から会話が始まる間柄の友達と会って話すと、ここからが本題で、みたいなトーンでこの質問をされることがこの1年よくありました。
引退した時に回りくどいnoteを書いて去っただけだったので、実際のところ何が決め手だったのかはあまりちゃんと表現してこなかったなぁと思い、久しぶりにnoteを書いています。

私はいつも「良いものも悪いものも含めて、続ける理由も辞める理由もどちらもあって、その両方が積み重なっていく中、天秤がカタンと傾いたのが去年というタイミングだった」というような返事をしていますが、その中の良い理由の一つに彼との出会いがあったことは間違い無いでしょう。

現在の彼は元いた職場を退職して、貯金を切り崩しながら毎日一人で練習をし続けています。
私がやっているのは生活の基盤を支えることと必要があれば運転するぐらいで、あとは特に何もしていません。
彼は自分でメニューを考えて一人で走っています。

彼と初めて出会ったのは、フルタイムで働きながら日体大記録会で5年半ぶりに5000mで自己ベストを更新した1ヶ月ほど後のことでした。
ランニングチームを引退してからベストを出すまでの9ヶ月間の話を聞いた時、彼の中に孤独を味方につける心の才能と独創性があると感じました。

当時の彼は自信を失い、練習時間を失い、やっとの思いで出した自己ベストも「結局趣味だよね」と言われて心が折れかかっていたのです。
私は「目の前にいる人は紛れもなく天才なのに、誰からも理解されずその火が消えかかっている」とも思いました。

「この人に必要なのは、答えを与えてくれる指導者でも、切磋琢磨出来るチームメイトでも無く、ただ一人きりで走ることに向き合う時間と環境だ」と会ったその日に直感しました。

仕事やスポーツに情熱を注いだことのある人ならば、あるいは自分の意思と現実の狭間で揺れ動いたことがある人ならば、彼と話すとその視点と考え方に驚き、たちまち彼を応援したくなることでしょう。

実際にそういう人を近くで何人も見てきました。
そして私もその一人となって、今の生活を送っています。

自分の頭で考えて、やりたいことを自分のスピードでやっていけば良いのだと、彼を見ているとそんな風に励まされます。
自分の頭で考えて、自分の体を動かす。
その中には、おびただしい数の判断と、どんな時も自分を信じる強さが必要だったりします。
私には中々それが出来なかったと感じている分、それをそのまま体現している彼の姿には勇気づけられもするし、羨ましくもあるし、その先を一緒に見てみたいという楽しい気持ちにもなるのです。

慣れない暮らしのリズムを作ることにも初めは苦労していましたが、去年の10月ごろ、急にトレーニングが軌道に乗ったと感じた瞬間がありました。
その時に「今すぐにでは無いが、このまま時間を経過させていけば必ず伸びていくだろう」と感じて、そのタイミングで結婚を決めました。

今年は自己ベストを3度更新して、徐々に存在感を放ってきているのでは無いかと思っています。
体つきも、フォームも目に見えて変わりました。

彼の走りを観ていると何だか自分も走りたくなるような、楽しそうに飛ぶように走っているように見えます。
それを伝えたら「それは自分の走りが伝えたいことの一つだよ。楽しみながら強くなれることを見ている人に伝えたい」と喜んでいました。

もちろん彼はまだまだこれからです。

「きっと何かを起こしてくれる!」そんな思いにさせてくれる面白アスリートです。

今後も横川夫婦をよろしくお願いします!

サポートのお金は、夫の競技活動経費にさせて頂きます。一緒に応援して頂けると嬉しいです!