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重松清『疾走』書評

今から15年程前だろうか、ストーリーをはっきりとは覚えていないが読み終わった時の気持ちを今でもはっきりと覚えている。

『心が疲れた』

なかりの長編で読み終わるまでにかなりの時間がかかった。しかし、体感としてはあっという間の様に感じた。まさに『疾走』だ。

この作品は映画にもなっているが、映画ではとても表現できない生々しい描写が次々と描かれている。

今少しパラパラとページをめくるだけで吸い込まれていく様な、心の中にズシンと何がか入ってくる。そこには喜怒哀楽では表せない何かもっと複雑な思い。 

人間が生きていく上で、様々な感情を持ち生きている。小説ならではの非現実的な話ではあるが、どこか懐かしく誰しもが持っている感情を一気に浴びて疑似体験し駆け抜けた、そんな作品だ。

時間が出来たらもう一度、読んでみるのもいいかもしれない。

その時も同じ気持ちになるのだろうか?

『心が疲れた』

と。



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