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配偶者控除の存在意義と今後

日本特有の税制度として、配偶者控除・配偶者特別控除があります。世界中の税制度において全く存在しないかどうかは知りませんが、そもそもの導入の歴史として昭和中頃に農家や個人事業主から始まり、高度経済成長の中で進んだサラリーマンの夫、パートで働く妻というライフスタイルに合わせて変遷・拡充してきました。

ただ、もはや共働きの家庭も増えてきた現代においては、過去の生活形態に合わせた、配偶者控除・特別控除はもうそろそろ役割を終えるべきなのではないでしょうか。

フルタイムではなくパートで働く妻(母)の存在により、家庭の安定(幻想もありますが)・子どものしつけや教育についても夫が安心して働ける環境のための控除でもありました。

夫婦共にフルタイムで働かなくてもやっていける家庭が最も得をする税制度とも言えますが、見方を変えると低所得者層の夫婦が共働きになりやすいわけであり、所得が比較的高い家庭のための特別な控除は公平性に欠くとも言えるのではないでしょうか。

この控除のもう一つの問題は、パートで働く人が年間の収入を控除額の枠内に抑えるために勤務時間を制限しようとすることです。そのため、雇う側はそのために雇う人数を増やす必要もあり、シフトのコントロールも複雑になってきます。

そして最低時給も上がり続けているのですから、その分、控除の枠内で働ける時間は短くなってきています。

控除の対象になるように働く時間を制限する人が多くなってしまったために、結果的に労働者不足となるとしたら本末転倒でしょう。

働けば働いた分だけ得をする、というのが本来の形です。控除を無くす、あるいは大幅に変更することによって、事実上の増税になる世帯からの反発は間違いないですが、雇用保険や健康保険・厚生年金なども時間の短いパート従業員は無し、という形よりも、働いている人がその個人の権利として各種保険・公的サービスを受ける方が正しい在り方なのではないでしょうか。それこそ離婚した場合にややこしくもなりませんし。

もはや労働人口が減少をし始めた日本社会において、パートで時間制限しながら働く方が得になる税制度は過去のものではないでしょうか。

もちろん、そのためには託児所や幼保園も足りないでしょうし、じゃあ実際にどのように控除を減らす・無くしていくかはややこしい話でしょうけれど、労働者不足のために移民を受け入れるという方針を出すくらいなら、家庭に入っている専業主婦が働いた方が良いと考える人もいるのではないでしょうか。移民嫌いというのは思想的には問題あるでしょうけれど、労働人口の減少に対して打てる手は他にもあるはずです。

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