中世ヨーロッパと現代日本の労働力不足の問題解決能力

先日書いたnoteの、

にも関連するのですが、建設業・運送業の残業に関して、この2024年4月1日から法改正が適用されます。

いわゆるサブロク協定で、原則月45時間&年360時間(特別条項で1月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内、年720時間以内)という上限がありましたが、上記2業種では2019年の改正以降5年間の猶予措置がありました。

この猶予が終わるのがこの4月からで、それでも建設業・運送業では年960時間という上限になっているので、他業種の仕事よりは辛い労働時間となっています。

その一方で、これまで少ない運転手を、規制の無い長時間の残業で働かせてきた雇用主側にとっては、いよいよ罰則付きの規制が始まり、会社存続の危機に陥ることになります。

ただ、前述のnoteにも書いたように、かつての中世ヨーロッパにおいて、ペストなどで人口、特に生産階級、労働者、農奴が激減し、農業従事者の地位が向上して無理をさせられなくなったことでその労働環境が改善されたという歴史から考えると、人間というのはあまり進歩していないのかなと感じさせられます。

封建制から囲い込み、さらに産業革命に続いていき、生産性を高めざるを得なかったことが、西洋社会が他地域に先んじて発展し先進国化した理由でもあります。

これからの日本でも生産人口は減少していくのですから、生産性向上は急務であるし、せざるを得ないはずなのですが、肝心の労働者自体の地位向上・環境改善は後回しの状態が未だに続いています。

単純に、労働時間を減らして給料・報酬を上げれば労働者は増えます。それでも増えなかったら種々の対策を講じる必要があるでしょうけれど、労働力も資本主義経済に取り込まれて労働市場が存在する以上、需要と供給のバランスを取る以上の解決策はありません。

安い給料で文句も言わずに長時間働き続ける労働者を求めるのは、宝くじに当たることを望むようなものじゃないですかね。少なくとも、現代日本の一部の企業・雇用主は中世ヨーロッパの封建領主よりも問題解決能力が低そうです。

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