企業の持ち主である株主が心酔するCEOはどこまで権限を持つべきか

テスラやX(旧Twitter社)の大株主かつCEOであるイーロン・マスク氏は、本当に話題に事欠かない人物です。最近では、テスラ社での報酬が高すぎることへの株主訴訟において、デラウェア州の裁判所が総額560億ドル(8兆3千万円)の報酬支払取り消しを命じられました。

このことでマスク氏がX上で、デラウェア州での企業はオススメしないと言ったことを書いていて、よっぽど腹を立てているのでしょうけれど、8兆円に見合った職責を果たしているかというと、赤の他人としてみるとそうも思えません。アメリカではかなり売れているテスラですが世界的にはそうでもなく、中国製のEVにはまず間違いなく価格の問題で全世界的には勝てないでしょう。

テスラ社での保有株式の割合が減ったのは、自分がTwitter社の買収に必要な資金を得るためにテスラ社株式を売ったからなのに、自分の株保有率が低いから機動的に動けないとか文句言ったりしているのは、自作自演にもほどがあると思いますし、最近では薬物疑惑も取り上げられました。

しかし、大多数の少数株主や、同社のEV購入者は彼のことを信頼しています。というか信仰に近いものがあるかも知れません。

マスクの主張と世間の法律や判決が食い違った場合、彼らはマスク氏を支持して、法や判決自体が間違っていると決めつけます。この辺はトランプ支持者に近い感じですね。

薬物疑惑があってもCEO職を勤めていられるのもその州が寛容だからだと思うのですが、その辺はマスク氏が絶対的に正しいと思っていたら、州や連邦が寛容かどうかも関係ないのでしょう。

資本主義においては株主に非常に大きな権限があります。その株主の大半が、破天荒だけどカリスマ性のある創業者兼CEOを支持していたら、どこまで世間(あるいは裁判所)は認めるべきなのか、難しい問題ですね。8兆円の報酬だって、全株主が認めたら通る話です。従業員がどう思うか知りませんが。

WeWork創業者でエキセントリックだったアダム・ニューマン氏は、やらかしすぎてCEO職を追われ、WeWorkも結局破綻しましたが、マスク氏が彼の後を追わないとも限りません。信者は決して認めないでしょうけれどね。

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