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脳も神経も鍛えられない

先日、大相撲で脳震盪による不戦敗の判定がありました。

今回の判断はその前に規則変更があったことからで、これまでの日本相撲協会が脳震盪に対していい加減だったわけではないでしょうけれど、実際に事例として発生しましたので、審判規則の変更を含めて、協会の判断としては正しいものだと思います。

時代が変わって単に根性で戦う時代ではなくなった、ということではなく、そもそも昔に比べると力士は巨大化しています。日々の稽古も科学的な手法が入っていますし、ウェイトトレーニングをしている力士も多いと聞きます。

筋肉は増大して、スピードとパワーが昔の力士よりも強化されていますが、人間の骨格は基本的には鍛えても変わりません。衝撃に対しての頭蓋骨や脳の弱さの方は昔と変わらないのですから、昔よりもより慎重に対応せねばならないのは当然です。

そしてそれは相撲に限ったことではありません。

野球でもサッカーでもあるいは他のスポーツでも、脳震盪を起こした選手に対する保護、プレー禁止のルールは増えてきたように思います。毎日激しいトレーニングをしていても、脳は鍛えられません。同じく頭蓋骨や神経も同様です。人によって個人差があるかも知れませんが、トレーニングを強くしていても脳や神経そのものを鍛えることは出来ません。

スポーツ科学は発展し続けています。効果的なトレーニングと効率のいい栄養補給によって、ほとんどのスポーツでスピードとパワーは進化しています。それに応じて人間の身体が強化されていればいいのですが、脳や神経の脆さは大差ありません。

このギャップは今後も大きくなるはずです。脳や重大な神経部位への強い衝撃に対しては、試合中止・プレー中止だけではなくて、そもそもそのような衝撃が起きないようにルールを改正していく動きは出てくるでしょう。

少し前に、サッカーでヘディングは重大な脳障害につながるという意見もありました。現時点ではまだ具体的にルール変更などの対応がなされたわけではありませんが、時間の問題でしょう。

プロ野球では打者の頭部へのデッドボールは危険球退場というルールが整備されています。当たってからでは遅いですが、これも一つの予防措置ではあります。

スポーツの醍醐味が損なわれると言う人もいるかも知れませんが、選手の本当の生命と引き換えにしてまで見るもの・するものでもないでしょう。人同士やボールがぶつかったりする以上は危険をゼロにすることは出来ないですが、出来るだけ重大な危険を減らすことは、選手はおろかファンやスポーツそのものを守るためにも必要なはずです。

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