非効果的利他主義に基づく動物愛護もどき

突然ですが、効果的利他主義という考え方・運動があります。ただ単に寄付をするのではなく、最も多くの生命を救うことが出来る、あるいは最も効率よく貧困を救うことが出来る、という観点で、寄付や慈善行為を行うものです。

単純化して言うと、先進国の貧しい人一人を救うのに必要な金額と、発展途上国の100人を救うのに必要な金額が同じであれば、ためらいなく後者を選ぶことになります。

同じリソースを使うならより多くの人を救う方が良いという考えは、ある意味分かりやすいでしょう。

とあるニュースを見たときに、この「効果的利他主義」のことを思い出しました。

このニュースのことですが、1匹で3万円もするロブスターを海に投げ入れるのと、その3万円で市場にある100匹の小魚を海に放つのとでは、後者の方が100倍、効果的と言えなくもありません。効果的利他主義の考えに立てば、1匹のロブスターを救うために出した金額が高すぎます。自己満足のためだけにやっていることですし、多くの命を救う気もないのでしょうけれど。

そもそもニュース中にもありますが生態系の破壊の恐れがありますし、動物が可哀想というヴィーガン的な考えとも相容れませんので、個人的にはどっちもクソだと思いますが。

日本でもヒグマが可哀想といって、人間の命よりヒグマを大切に考えているっぽい人たちもいます。

記事中にもありますが、熊の餌としてドングリを余所から持ってきてばらまくという環境テロみたいなこともしていたそうですし、話が通じないのでしょうね。

環境保護を訴えながら名画を汚そうとしたりスポーツ大会に乱入したり交通を妨害したりするテロリストもいますし、ある意味「流行り」ではあるのですが、反感を買う行為は逆効果になりかねません。というか逆効果です。

別にロブスターを放流している動画を見たところで、ロブスターを虐待する人間を増やしはしませんが、ヴィーガン批判のネタを増やすことにはなります。

動物愛護だろうと環境保護だろうと、どんな運動・活動でも基本的には理解者と賛同者を増やすことで広がっていきます。逆に理解者と賛同者を増やさず、批判と反感を増やしていくのであれば成功はしません。

そう考えると、「非」効果的動物愛護・「非」効果的環境保護と言った方が適切でしょうか。数年前だったか、フランスでヴィーガン団体が精肉店を襲撃して破壊したなんて事件は運動ではなくただの犯罪ですけれどね。

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