見出し画像

高齢者施設でのとある臨床例(2)

IFA認定アロマセラピストとして活動を始めた後、再び、母校で介護現場でのアロマテラピーについての学習をし、しばらくしてから、委託業務として、都内の立地的にも高級な感じな所と、庶民的でアットホームな感じの所の『介護老人保健施設』で、アロマケアを担当させていただいていました。病院ロビーと緩和ケア病棟は、ボランティアでしたが、気楽な感じではなく、行ってみたらひとりで任されてしまうことも多かったです。(苦笑)

今日は、そんな中から、施設スタッフ様から、便秘の薬を処方量の最大まで出しても効かないと言って、さらに薬を要求してきて困っていると紹介されたご利用者様のお話です。

施設で高齢者が便秘になる理由のひとつに、運動量が足りないと言うことは考えられるのですが、その方は自立歩行もでき、ADLに問題のない方でした。
薬剤師さんが、若い男性だったので、もしやこの人とお話ししたいだけでは?とも思いました(笑)
高齢になったら、性的に達観するという事はないので、アロマケアのボランティアにドレスコードを設ける理由もそこなんですけれども。

しかし、この方は、それはそれで楽しかったかもしれませんが、便秘は便秘で事実のようで、薬が効かないのに、治るわけないじゃん。という怪訝そうな様子で椅子に腰掛けました。
ご気分やご体調の話をしながら、便秘の原因を探り、『抗不安』『消化器系の不調の緩和』『血行促進』などを加味して精油をブレンドし、植物油に希釈して、ハンドマッサージを行いました。
ハンドマッサージは、お話もしやすい距離感で、クライアントご自身でケアできるポイントを伝えることもできます。二人でクライアントご自身の手を観察しながら、手の反射区を確認することもできます。たまに、ご利用者様に手相占いと思われることもあります(笑)
何はともあれ、短い時間で信頼を獲得し『抗不安』の解消にも一役担えれば、アロマテラピーとも相乗効果が期待できます。
芳香成分による嗅覚から大脳辺縁系(主にコレ)、呼吸による肺でのガス交換(とても微量)、塗布とマッサージ(軽擦が中心)による触覚の刺激と、タッチケアによるオキシトシンの分泌促進と複合的な作用による補完療法として、全ての要素に理由があることを知っているのであれば、誰でもできるという点で、ハンドマッサージは、とても有用だと思います。
ちなみに、消化器官は副交感神経が支配しており、入居して間もないクライアントに、抗不安は、有用だったのではないかと、私は記録していました。
翌月、同施設を訪問すると、私を見つけたクライアントが、寄ってきて「トイレで爪プッシュすると調子いいの。いいこと教わった!もう、薬は飲んでないのよ。またやってもらおうと思って、申し込んであるの!」と嬉しそうでした。

様々な方が、様々な事情で暮らすタイプのこの施設への訪問は、経営者判断で契約終了になるのですが、経営努力なしに継続できない介護業界で、アロマケアを継続していくには、まだまだ多くの方のご理解をいただくことに尽力しなければならない状況です。
アロマテラピー自体が、ピンからキリまである中で、何が正しく、何がエビデンスや理論に基づいて実施されているのかを、経営者が知る機会は少ないと思います。現場スタッフの定着、燃え尽き症候群を減らし、心のケアをする事と、ご利用者様へのサービスのセットでアロマケアを導入していただくこともご検討いただければ、福利厚生費の予算枠はあるのではないでしょうか?経営者の皆様。是非。

そして、現場で理論的に、エビデンスベースに対応できる介護アロマセラピストは、長い時間とそれなりに費用もかかるものですが、しっかりと自立して対応できる介護アロマセラピストを目指したい方を対象に指導をしています。
ご興味のある方は是非、ヒーリングスペースオルカも選択肢の一つに、ご検討ください。

フォロー&いいね、コメントなどで応援してくだれば、気が向いて、仕事と研究の合間に、研究成果を書いていくと思います。
ただ、ヒトミシリーなので、気軽にお返事はできないかもしれません。
あらかじめご了承ください。

ご支援ありがとうございます。いただいたご支援は精油の購入や「アロマケア」の臨床研究費としてありがたく頂戴して、研究成果を発表していけるように頑張ります。今後ともよろしくお願いします。