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リボンはまだ、かけられない

「BUMP OF CHICKEN TOUR 2022 Silver Jubilee 」Zepp Nagoyaに行ってきた。叶うはずのなかったこのライブハウスツアーへの参戦が叶ったのは、トレードでチケットがご用意されたからだった。トレードの存在を信じていなかった私は、”ライブハウスでBUMP OF CHICKENと向き合える” という未来を、会場入りするまで信じられずにいた。

極度の緊張とありえないほどの幸福感により、すでに記憶が割れ散りかけているライブ直後の、いま。ドリンク券と引き換えにもらったコーラを飲みながらその欠片を必死にかき集めている。人間ってなんでこんなにも、どうしたって忘れちゃう生き物なのだろう。記憶力の脆さが憎くて切ない。でも、時間を流してしまえば記憶はさらに散らばってしまい、きっと取り戻せなくなってしまうから、まとまらないままの感情をまとまらないまま残そうと思う。すでに曖昧なので捏造のような気がしてならないけれど。

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⚠︎11月28日からライブの記録です。
⚠︎それ以前の日付はライブ参加までの経緯です。


8月14日

18:00から「BUMP OF CHICKEN LIVE 2022 Silver Jubilee at Makuhari Messe」がHuluでライブ配信されたあと、10月からライブハウスツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2022 Silver Jubilee 」を開催する事を決定したというお知らせが届いた。ライブハウス。箱でBUMP OF CHICKENと待ち合わせできる人たちって、前世でどんな徳を積んだのだろう。行けそうな日程は全て申し込んだが、そんなふうに諦めている自分がいた。超ビッグバケモンバンドがアリーナやドームではなく、ライブハウスをめぐるツアー。宝くじが当たるに等しいそのチケットの当選、なんてあるわけがない。そんな自信のなさの通り、1次も2次も全滅。落選の文字は痛かった、痛かったけれどどこかで仕方ないと思う自分がいた。それでも諦めきることはできず、トレードは始まった瞬間に申し込んだ。行きたい行きたい行きたい、仕方ない。行きたい。

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10月25日

前日からついにスタートしたライブハウスツアーのセトリに羨ましさを焦がし悶絶しそうになっていたところ、「BUMP OF CHICKEN TOUR 2023」開催決定のお知らせが届いた。あの夜、私はクローゼットの整理をしていた。中途半端なままの衣替えをどうにかすべく、雑に積み重ねてきた服をたたんでいたら、階段をものすごい勢いでかけのぼる足音が。「バンプ!ツアー!長野来る!!」母が部屋に飛び込んできた。今、なんて???????

「BUMP OF CHICKEN TOUR 2023」日程


NAGANO?????????????

いやいやいやいや、ちょっと待て、なんか異質な字面がありませんか?NAGANOだけ、いやあとTOKUSHIMA、違和感がすごい!!異質すぎる!!TOKUSHIMAにいたっては字面が最早気持ち悪くないですか(失礼)。しかしそれは、何度見てもNAGANOで(TOKUSHIMAはTOKUSHIMAで)、NAGOYAの間違いだったりもせず紛れもなくNAGANOで、BUMP OF CHICKENがここ、長野に来るのだという未来がつくられたことに嬉しくて居ても立っても居られなくなり、バンプファンの友人や、バンプファンではない友人にも鬼のようにラインを飛ばした。嬉しくて嬉しくて、とにかく嬉しくて仕方がなかった。まだチケットは持っていないのに。NAGANOの文字がたまらなく嬉しい。心が浮き足立って、どこまでも飛んでいってしまいそうだったあの夜。NAGANOで、BUMP OF CHICKENに会いたい。

その後、最速先行に申し込むためのシリアルナンバーを手に入れるべく、Blu-ray1枚とCD2枚を予約した。シリアルナンバー配布期間が終わる当日まで、CDをあと2,3枚買おうか………とギリギリまで悩んだけれど、狂いそうな手元を必死でおさえつけ、シリアルナンバー3つという武器でチケット戦争に挑むことにした。第5希望×3のうち、ほとんどをNAGANO希望にして、残りをTOKYO希望にした。


トレード抽選待ちの日々は続いている。1日に何回もサイトを覗きにいくが、変わらない「申込中」の文字。衣替えは中途半端なままだ。

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11月11日

明日はいよいよ当落日だ。考えないようにしようとしてみても、心の隅っこでソワソワさんが毎日活発に動いている。今回すべての決済方法をクレジットカードにしたので、前日の夕方あたりからクレカ変動がこないかとさらに異常にソワソワ。日中から仕事の合間に異様な頻度でメールをチェックし(まだくるはずがないのに)、0時をすぎても、1時になっても変動はこない。やっぱりだめだったか……?と思いながら眠りについた。

11月12日

前日にあった嫌なことや、眠る前に思い悩むことがあっても寝てしまえば、目が覚めるころには忘れ、思い出しても大抵のことはどうでもよくなってしまう私だけど、このソワソワさんは私が眠っている間もどうもずっと動き続けていたらしい。目が覚めると同時にメールを開く。

新着メール、2件。「【ご利用のお知らせ】○○カード」の件名が!!!!利用先、イープラス!!!!S席1枚分の値段とぴったり同じ金額の利用通知。

(きっと)当たった……………

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来年の4月2日、BUMP OF CHICKENとNAGANOで待ち合わせの予定ができた。自名義で、自分のためのチケットがご用意された。4人が、NAGANOに来る。BUMP OF CHICKENが、NAGANOで。NAGANOで音を届けてくれる。半年先のことなんて分からないけれど、ただただ、待ち遠しい。4月2日の見え方だけがもう他の日とは違う。

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横浜にいた。山下公園のベンチで、イープラスのアプリでちゃんと当落を確認し、スキップしながら歩いて歩いて~ハンマーヘッドへと向かう。久しぶりにタピオカが飲みたくなって、THE ALLEYに並ぶ。並んでいる間、何気なくメールを開く。お、久しぶりにイープラスからの当選メールが見られるではないか。………………ん???????

「【チケプラトレード】チケット当選のお知らせ」

………………………??!?!!!!???!!?!?!!
トレード当選…………?エーーーーーーーーー!!!!

先に店内で座って待っている妹のもとへ、走るでもない距離をものすごい剣幕で走る。そこにいた全員が何事かという目で私を見る。信じられない。今日この日に、ライブハウスのチケットもご用意されるなんて、これ現実ですか?!??!信じられない信じられない信じられn〇?%△$◇!

こうして、その約2週間後に迫っているライブハウスツアーへの参戦が急遽決まったのだった。あの頃、会社でよくトイレにこもっては、rayと透明飛行船を聴いて自分の尻を叩いていた私へのプレゼントだと思った。present from you。

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ライブ参加までの経緯だけで3000字。前置き長くなりがち。だって、こんなのいくらでも書けてしまう。ライブ後「どうだった?」と聞かれるが、ラインなんかで語れるわけがない。何のこれしき!感想で論文が書けてしまう。

これは「BUMP OF CHICKEN LIVE 2022 Silver Jubilee at Makuhari Messe」についての記録だが、ライブ前の1週間のことを、あの1週間は本当に時間の流れが速まっていたように思う。時間の流れるスピードに変化ってあるのだなと切に思った。この1週間に。今日に。何度も戻りたくなるんだろうなと、楽しみと、切なさをすでに一緒に抱えて歩いていた1週間だった。と綴っている私。しかし今回は、トレードの存在を疑い過ぎていたあまり、 "チケットが当たった" という事実は信じられても(メールがきたし電子チケットも手元にあるから)、"ライブハウスでバンプ" という、ライブに行ける未来は信じられなくて、ライブ前といってもいつもと同じ1週間だった。戻りたくなるんだろうなとは思ったけれど、実感が本当に湧いてこなかった。

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11月28日

全身をバンプ一色に染めて名古屋へ向かう。当日になっても実感は湧いてこなくて、自分がなぜ名古屋に向かっているのか。目的の輪郭は見えるのにその中身がぼんやりとしていて見えなくて、空っぽみたいだった。

お昼ご飯は、山本屋総本家の味噌煮込みうどんに。妹におすすめされている麺屋はなびに行くか直前まで迷ったけれど、3年前の9月「BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 aurora ark」で名古屋に来た時、私も4人も味噌煮込みうどんを食べていて、きっと今回も4人も食べているんじゃないかと思って3年前に来たお店と同じお店でいただきました。

普通煮込うどん、ネギ追加

MCで増川弘明が、味噌煮込みうどんについて「いいことが3つある!」と言っていた。1、あったかい、身体もあったまる。2、ご飯も食べられて、お腹いっぱいになる。3、おいしい。プラス藤原基央の4、栄養がある。うんうん、いいこといっぱいだよね、みそにー。4人も昨日食べていたと聞いて、増川弘明の相変わらずのゆるさにほっこりしながら、同じものを食べていたんだな、嬉しかった。4人が座ったという席には今回も座れず。いつか同じ席で食べたいな、あったかくてお腹いっぱいおいしかった。

ホテルにチェックインして、一度Zepp Nagoyaへ向かった。フォトスポットでスタッフさんに写真を撮ってもらい、雨が降ってきたので周辺を少し歩いたあとはまたホテルに戻って休むことにした。始まりの時間は刻一刻と、確実に近づいている。はずなのに実感はまだ湧かず。ベッドに寝転んで、持参していたスラムダンクを読んだり、ドラマを観たりしながら過ごした(ライブ前の過ごし方としてはちょっと違うような気がする)。

前日の15:00。スマホ上のチケットに表示された私の整理番号は、どうやらやばそうな匂いがした。私の運、どうなってるんだ???????というのも前日、シリアル先行の後の1次抽選の当落発表が。なんと、4月2日NAGANO公演に加えて、他の公演がさらに当たったのだ。運がおかしい。今までの反動でぐれたんか?その匂いが、余計に明日を信じなくさせた。そもそも都市伝説・リセールでチケットがご用意されたこと自体が驚き桃の木山椒の木なのに、整理番号にも恵まれた。このチケットを出品した方と繋いでくれた運、感謝してもしきれないです。これ、現実?

私の整理番号は、18:00に会場集合とのことだったので、17:15頃にホテルを出て、再びZepp Nagoyaへ。同じように、バンプを纏った人たちが同じ方向へと向かって歩いている。私の好きな景色。この人はどこから来たんだろう、いまどんなことを思っているんだろう、と周りを眺めつつ歩いた。

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番号が呼ばれてゆく。小さなドアをくぐり抜けると、すぐそこにステージが。夢中で前に進み、並んでみると、4列目。整理番号から大体予想できる位置だったが、実際ステージを目の当たりにしてみると、なんだこれ、近すぎる。そして前を向くと、目の前に広がっているのは、中学生の頃に机やノート、白文帳にいっぱい落書きしていたエンブレムだった。でっかく掲げられている。中学生だった頃のことを思い出してちょっぴり懐かしくなる。

のも束の間。体調がなんだかおかしい。緊張というものをこれが緊張だと、全身にあんなにも違和感をおぼえるほど感じたのは初めてだった。これほど緊張したことが今まであっただろうか?とライブが始まるまでの1時間、真剣に考えてみる。今までに感じたことのない違和感を全身。高校ボート部時代、レース前、Attention Go!の声が響き渡るまでの水上でのあの待機時間を思い出した。あの時と同じくらい、もしくはそれ以上緊張しているなと思った。ちなみにレース前のあの待機時間は、思い出すと未だに気持ち悪くなるくらい緊張していたな。

やばい。鼻水ダラッダラ垂れてきた。緊張する。息できない。やばい。ほんまにかこきゅう(過呼吸)。いきもしんぞうもとまりそう(息も心臓も止まりそう)。胃が気持ち悪い。緊張ほぐれない。吐血。かんちょうまっくす(緊張マックス)。手がふるててる(震えてる)。逝く。

ライブ前、友人に送っていたライン。緊張はいつまで経ってもほぐれないどころか悪化していく一方で冷や汗が止まらない、久しぶりのライブハウスならではの密集感に疲弊、一歩間違えたら本当に気を失ってしまいそうだった。さすがに1時間立ちっぱなしはきついなと思い始めたところでようやくオープニングSE、The Whoの「A Quick One」が流れてきた。

4人がステージ上に姿を現した瞬間、画面越しでしかちゃんと見たことのなかった4人の顔がはっきりと見えた瞬間、BUMP OF CHICKENって本当に存在してるんだ………しか出てこなかった。目の前に、いる。4人が存在している。息をしている。いまこの瞬間の私の目、キラッキラだろうな。
で、増川弘明、42歳はさすがに嘘。増川弘明、生身若すぎる。増川弘明、たぶん時空歪んでる。そして藤原基央、あまりにも美しすぎて「ドール………?」となった。歯も肌も真っ白。綺麗。美しい。美。全身で美を体現している。 ”美” というのは藤原基央から生まれた概念だったっけ。秀ちゃんの凛々しい眼差し。チャマの綺麗な目、笑顔。

藤原基央がギターを掲げた。いま目に映る光景、絵画のようだ。あの瞬間を切り取って、額縁に飾りたい。

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(⚠︎以下、MCの内容やセトリに触れながら記録しています。)

あのキラキラしたイントロ、『アカシア』、もう完全にあれは魔法だ。始まった瞬間、4人の手元から種が飛び出し、空間のあちこちであの日と同じように、色とりどりの花が咲き乱れる。涙が出そうになるほどたまらないぜ。

中学1年生の私、『グロリアスレボリューション』を初めて聴いた時の衝撃をいまもしっかりと覚えている。中学1年生の私、ある冬の夜、父に大プレゼン。これを聴いてくれ、と。音楽と記憶は本当によく結びつくものだ。
ライブハウスには行けないものだと思ってセトリはすべて踏みつぶしてきたから、セトリも知っていた。これが聴けることは知っていた。知っていて、だからどうなる。私の感情曲線、上昇角度がすでにえぐすぎる。

聴いたことがない日本人がいるなら会ってみたい『天体観測』。私にBUMP OF CHICKENの存在を教えてくれた音楽。星の数ほどある音楽、そのまさに宇宙のような中から、この音楽を "観測" できてよかった。

また会えた『なないろ』、私のプレイリストに在って、いつでも虹を架けてくれるから、この先つまずいたり転んだりしても、私はもう大丈夫。

『宝石になった日』を聴くと、”こんなに寂しいから大丈夫” じゃない、ぜんぜん大丈夫じゃないと思っていた高校2年生の夏、引退に向かっていく日々で毎朝聴いていた3年生の春を思い出す。宝石になった日。宝石は形を変えることはない。あの温もりは、何度も聴いた声は、君がいた事は、過去という宝石になった。変えられないし変わらない。それはこれからも輝くから、ずっと輝くから、掬われた未来がきっと何度もあった。”何度も撫でたよ 君の形に” と変えられた歌詞。

あまりにも綺麗なその始まりを、何度聴いても息をするのを忘れそうになる『Small world』。どんな人生を歩んできたら、こんなにも綺麗で透明な、やさしい音楽を紡ぐことができるのだろうか。 "どうしてわかるの 同じだったから" 最後の藤原基央の笑顔がいまも私をやさしく包み込んでいる。

"自分で選んできたのに 選ばされたと思いたい" 、きっと誰もが一度は思ったことがあることなのではないか。自由、それは間違いのない事実で、事実だというそのことが残酷。人間の一日の決定回数は35,000回と言われている。毎日、一瞬一瞬が選択、決断の連続で出来上がっているのだということを、こんなにもこなしていたら忘れそうになる。自分の選択の連続で道がひらかれる。知らず知らずのうちに何かを選んで、選ばなかった何かがあって。この道は、私が選んできたから出来上がってきた道なのだ。選ぶってものすごくこわい。こわいことだから、逃げずにちゃんと自分と向き合わなきゃ。”一歩も動いちゃいないのに ここがどこかさえ怪しい” が突き刺さった『(please)forgive』。

コナンを観ていなくても、知らなくても関係ない『クロノスタシス』。2回目なのでリズム掴めた気がする。クロノスタシスとは、時計を見た直後に秒針の動きを遅く感じる錯覚のことだ。僕は僕をどう救えるのだろうか。なんだか歯がゆくなる。もう後悔は、できるだけしたくないな。

<虹を作ってた、やっぱやめた!体調悪い人いない?俺、ギター、ボーカル、心配担当だから>で作り直しの虹が架かった『ハルジオン』。中学生の頃、何度ウォークマンで聴いては泣いていただろうか。あの頃の私が思い浮かぶ。あの頃の私の中のハルジオンが、いまも根を張っている。あの頃の私に会いに行きたい。いまこの瞬間のこと、教えてあげたい。

自信がないと言いつつ、トレード当選に一縷の望みをかけることはやめられずに、毎朝通勤中に積み重ねてきたクラップ練習。その成果を発揮する本番を迎えることができた『SOUVENIR』。”あなた” に向かう ”帰り道” 、とにかくしあわせを感じられる音楽。いつか "あなた" のもとへ帰るときにはこんなふうにしあわせで、たのしくて、ワクワクするのだろう。

『話がしたいよ』。”どうやったって戻れないのは一緒だよ じゃあこういう事を思っているのも一緒がいい” 一緒がいいよ一緒がいい。話をしないと、一緒だとしてもそのことに、どんな言葉をいくつ見つけて出会ってたのかに、気がつけない。他人同士元気でいることを、知っている。まだ覚えているんだよ、話がしたいよ。ねぇ一体どんな言葉に、僕ら出会えるんだろう、これから。

最後に聴いたのがいつだったかわからない、本当に久しぶりに聴くのがライブハウスで、という贅沢『カルマ』。ずっと忘れたままの、何かわからないなんだけどなんだかすごく大事な気がする何かが蠢く感覚。私のなかに確実に爪痕を残して、雷のごとく一瞬で消えてしまった。

大切だって事は分かっているのに、大切にするのはどうやら相変わらず下手なままの私。正しく届いてほしいものだって、間違って届いてはいないか、届いてすらいないのではないか。いつだって不安になり、自分を自分で闇の中に落としがち。その闇の中で、足場を探すけど見つけられなくて泣いたり怒ったりすることもある。”考え過ぎじゃないよ そういう闇の中にいて 勇気の眼差しで 次の足場を重ねるだけ” 、見つからないんじゃない、ちゃんと重ねているんだ。また『Aurora』に "大丈夫" にしてもらった。

一音目が弾けた瞬間、たくさんの音符がキラキラと飛び出してきて至る所で跳ねているような『ray』。お揃いのPIXMOBが光る腕を、みんなで左右に振る。チャマとヒロがピョンピョン。もうとにかくたのしかった。チャマサイドにいた私、すぐ目の前でピョンピョンしているチャマが本当にたのしそうで、その姿を目にする私も無意識に口角が上がる。アウトロのアルペジオ、その後の藤原基央拍手くれくれ仕草、すべてをひっくるめたこれがrayだ。左右両手に穴が開くくらいに手を強く強く叩いた。

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体感30分。楽しい時間というのは本当にあっという間に終わるものだ。「俺たちズルしてないよ?1曲飛ばすとかそういうズルしてないからね」とライブ中、藤原基央は言っていたけれど、本当は1曲くらい、いやそれどころか3,4曲くらい飛ばしちゃったりしてるんじゃないの、と思うくらいにとにかく本当にあっという間だった。

4人がステージ上を去った瞬間、1秒の空白をつくることなくすぐに湧き上がる手拍子。速くなっては遅くなり、遅くなったかと思いきや速まる手拍子に思わず笑みをこぼしたら、4人が再びステージ上にやってきた。と思ったら4人で目の前に。うわああああすぐ目の前に、そこに4人がいる………………4人が並んでいる姿をこんなにも近くで見られることはこれからまたあるのかもしれないけれど、ないかもしれない…。目が焦げるほど焼き付けたい。これで "ヒデちゃんを見た側の人間" になりました。


アンコール1曲目は『スノースマイル』。”冬が寒くって本当に良かった、なんてことはないんですよ” と言っていたCDJ1819の時の藤原基央を思い出した。この曲を聴くのにぴったりな季節がまためぐってきたね。最後のラララ~ラララ~~ラララ~で青白く輝く藤原基央、美の絶頂の瞬間だった。

『ラフ・メイカー』をラフ・メイカーだと認識した瞬間、隣には中学生の私がいる。手をつないでいる。隣で聴いている。目も口も閉じようとした私がつくった部屋。そこに閉じこもって、本当はずっとノックの音を待っている私。開けようともせずに鍵があると思い込んで、うずくまるばかり、気づけば大洪水の部屋、ぶち破ってきたのはBUMP OF CHICKEN、BUMP OF CHICKENがラフ・メイカーだった。あの頃の私を私のこの手で抱きしめてあげたくて、ここで涙が出た。ありがとう、ありがとう。

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「会場の大きさというものを考えたことがなくて、大きいから嬉しいとか、近いから嬉しいとかなくて、いつでも1対1だと思ってやっているから。そういうスタンスは26年ずっと変わっていない。今まで距離なんて意識したことなかった。でも、今日のこの物理的な距離が、この近さがすごく幸せだった。(覚えていない中略)音楽って、衣食住の中には入らなくて、衣食住と違って、無くても生きていけるかもしれない。嫌だって切り捨てられてしまうこともあるのが音楽だけど、そうならなかったのは君たちが音楽を守ってくれているから。君がこのステージに、いや君じゃない(笑)、俺たちがこのステージに立てるのは君が俺たちの音楽を守ってくれているからなんだよ。僕たちの音楽を信じ続けてくれた君たち自身に今日1番の拍手を!」というようなことを藤原基央は私たち、私に向かって言った。それでもやっぱり私は、4人に拍手を送りたい。私たちが守っている、というのも本当のことだと思う。でも守りたい、そうしたいと思うのはそうしてもらっているからで、aurora arkからのこの3年、色々なことがあったけれど4人が4人を続けているから守られているんだよ、4人が守っているんだよ!!!!変わらず席を空けておいてくれる。はやくその席に座りたい。思いっきり声を出したい。

「新曲もあるよ、作ってる曲もあるよ、まだ発表されていないけどそれは然るべき時に僕たちの元を旅立って、君たちに届く日が来るので、その時には君たちの耳貸してください。今の時代、短い音楽が好まれる中で僕はたまに6分7分とかそれ以上の曲を書いちゃうよ、その時は6分でも7分でも僕たちに貸してください」

もちろんだよ!!

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BUMP OF CHICKENのライブは流れ星のようだと思う。それは私たちの前を、目映い煌めきを放ちながら流れていき、気がつけばあっという間に去っていく。それを見た事は本当だ。本当なのに、記憶は自分のなかにしかなくて、実体がないから夢だったのかもしれないと思ってしまう。悔しい。

BUMP OF CHICKEN。私たち。私。息をしている、生きている。
ライブハウスで、あんなに近くで、BUMP OF CHICKENと向き合える日が来るとは思いませんでした。

もうこれ以上は、人に説明出来るような言葉に直ってたまるかよです。

「君たち」のあとに必ず「君」と言う藤原基央、そういうところがたまらなく大好きなんだ。ばいばい、おやすみ、またね!ありがとう。

次の待ち合わせまで。続けよう。リボンはまだ、かけられない。思い返してみても、present from you。

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チャオのあんかけスパゲティ


チャマが満面の笑みで「あんかけスパゲティ!」と言ったあの瞬間、明日あんかけスパゲティを食べて帰ろう、と決めた私だった。おいしかった!

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