【アメリカ文化メモ①】アメリカのメディア環境

アメリカのメディア環境が気になったので、非常に雑なレベルで備忘録的にまとめてみました。

地上波三大ネットワークの時代

1940年代にABC、NBC、CBSの三大ネットワークが放送を開始します。
1949年に、規制機関である連邦通信委員会(Federal Communications Commission)は、Fairness Doctrineを導入し、放送の公平性を求めました。この点は、米国憲法修正第1条のFreedom of Speechに反しないか議論がありましたが、1969年のRed Lion Broadcasting Co. vs. FCCで、電波の希少性等を根拠に合憲とされていました。

なお、 現在、ABCはThe Walt Disneyが最終的には保有しており、また、NBCは、GEに売られて、Comcastが保有するNBCUniversalの子会社となっています。CBSは、Viacomと統合、分離、再統合をしていますが、Paramount PicturesやMTVなどを傘下に持っています。

公共放送PBS

商業放送に遅れて、公共放送が開始されたのは、1970年になってからでした。公共放送であるPBSは、受信料を徴収する仕組みではないため、寄付金などの脆弱な財政基盤で運営されています。

ケーブルテレビの普及

1970年代から80年代にかけて、ケーブルテレビが普及しました。
Ted Turnerは、父親の遺産を元手に、アトランタのテレビ局を買収し、それをベースにCNNを創業し、ニュース専門チャンネルとしました。

なお、CNNは1996年にタイム・ワーナーと合併し、現在はWarner Bros. Discovery, Inc.の傘下にあります。(WarnerはHBOも持っています。)

保守メディアの台頭とメディアの多様化

Reagan政権下の1987年に、FCCはFairness Doctrineの廃止を決めました。そして、三大ネットワーク(及びWashington Post並びにNew York Times)はリベラル寄りであり、保守の声を代表していないと感じていた保守層を掘り起こした保守寄りのトークラジオが人気を博すようになりました。

そこに登場したのが、ケーブルテレビであるRupert MurdochのFOXニュースでした。彼らは保守層をターゲットにして視聴者を獲得し、CNNを視聴数で追い越すまでになりました。なお、Murdochは、Wall Street JournalやNew York Postを保有するNews Corpの主要株主でもあります。

そして、マイクロソフトとNBCによるMSNBCが1996年に放送を開始しましたが、視聴者獲得のため、2000年代半ばからリベラル色を強めていきました。こうして、党派的メディアの存在がアメリカのメディア環境の特徴となっていきました。

この分極化は、ネットメディアでも進んでおり、保守寄りのDrudge ReportやBreithbart News Network、リベラル寄りのHuffPost等に分かれています。これにSNSの台頭が追い打ちをかけ、人々は自分が信じたい情報だけに埋もれて偏った立場に立ちやすい状況になっています。

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