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紹興酒初心者・ニガテな人向けの黄酒銘柄TOP8(飲食店・プロ向け・特典付)

突然ですが「紹興酒好きですか?」と聞くと、大体こんな回答が返ってきます。

「はい!中華料理店に行ったら、飲みますよ!」

続いて「家では飲まないんですか?」と聞くと

「う〜〜〜ん、そうですね〜飲まないですね〜。・・・。」

この流れになる経験上、確率は80%くらいを占めます(もっと高いかも涙)

このことからも分かる通り、今黄酒が日本でどのようなポジションにいるのかというと、"家で楽しむ酒"ではなく、"お店で楽しむ酒"というフェーズにあると断言してよいと思います。

だからこそ、言いたいのです。

黄酒文化の未来にとって、今はお店さんの存在が超超超重要!!!(この文字を10倍大きくしたいくらいの気持ちを込めて

黄酒の会を開催したときの写真。お店でたらふく黄酒を飲みました。

家で飲む機会が少ない中で、お店で初めて紹興酒を飲む、という方は少なくありません。

その出会った一発目で「美味しい!」と思ってもらえるかどうか。

最初の印象ってかなり重要で、その時点で「うわ・・・ニガテ・・・」と思われてしまうと、今後飲む機会はゼロに近いでしょう(人も酒も同じデス

そこで今回は、紹興酒が初めての方やニガテな方向けにおすすめの銘柄を紹介したいと思います。

特に今回は販売側の目線からお伝えするので、卸会社さんや、店舗で働く皆さんに向けた情報となります。(もちろん、黄酒にご興味のある一般の方でもお酒選びのご参考にはなるかと思います。)

▼掲載している情報
・銘柄名
・概要
・おすすめの温度帯
・おすすめした理由
・おすすめのグラス
・合う料理
・味のステータス(六味)
・原料や度数などの酒情報

僕はこれまで中国郷土料理店や黄酒専門店など中華業界に在籍して12年、さまざまな黄酒を呑んできましたし、お客さんの反応も自分の目で見てきました。多くのレストランさんの感想も自分の中に蓄積しています。そのため、主観だけではなく、客観的な意見も踏まえたセレクトになっています

お店で紹興酒のラインアップを考える際のご参考になれば幸いです。

なお、9月11日に黄酒入門を出版させていただきました!こちらでは日本で入手できる紹興酒を中心に黄酒約80種、テイスティングコメントと共に紹介しております。ご興味ある方はぜひご覧いただけたら嬉しいです。

いきなり銘柄を紹介する前に、なぜこのような記事をまとめようと思ったか、もう少しお話させてください。

※途中から有料記事とさせていただいておりますが、おすすめの銘柄を1種無料で公開しております。よかったらご参考ください。

※もしご満足いただけなかった場合は返金いたします。遠慮なくお申し付けください。

(2023年11月追記)有料記事としてご購入いただいた方に向けて3つの特典(黄酒虎の巻・黄酒チャート作成シート・無料相談)をご用意しました。お店の現場で気軽にお使いいただけると思いますので、お役立ていただけたら幸いです。下部の方に詳細を記載しております。

「紹興酒⚫︎年」「甕出し紹興酒」で訴求することの限界

現在、日本で紹興酒の違いや個性をどのような方法で表現しているかというと、以下の2点に絞ることができます。

・年数の違い
・甕か、瓶か

これは、中華料理店のメニューを見るとよくわかりますね。

紹興酒は、多くの中華料理店のメニューで「紹興酒5年」「紹興酒12年」「甕出し紹興酒」などと書かれています。

1合で400円、破格です笑

僕はまずこの点を変えていくことが、黄酒の未来を築いていく上でとても大切なことだと考えています。

今のままでも紹興酒を飲んで好きになる方はもちろんいるのですが、広がる数としては限界が出てくると思います。なぜなら選択肢が"紹興酒"から広がらないから。

選択肢が限られていると、さまざまな問題が起こります。

例えば最初にもお伝えした通り、初めて飲んだお客さんに「ああ紹興酒、ニガテだわ」と思われてしまった場合、今後飲む機会はゼロに近くなるでしょう。逆に紹興酒が好きな人も、それ以上深堀しようという意欲があまり湧かないので、深堀されづらくなります。(マッコリも同じかもしれない)

年数別で風味の違いは確かにありますが、そこで味の差別化をしようとすると「5年は⚫︎⚫︎な味」「20年は⚫︎⚫︎な味」と年数毎で味を定義化するしかなくなり、横の広がりを作るのが難しくなります。

もう一つの「甕か瓶か」というのは「甕出し」であることを売りにしているということです。「甕だから美味しいよ!」という論理ですね。

この点に関しては、この論理を覆してしまうような知られざる事実があるのですが、話がズレてシャボン玉のようにフワフワ飛んでいってしまって迷子になりそうなのでまたの機会にします。

2019年、浙江省温州にて撮影した発酵中の甕たち。

大切なのは"縦"よりも"横の広がり"

要するに、年数別や甕で紹興酒を訴求すると、どちらにしてもお客さんの頭には「紹興酒」としか印象に残りません。

なので、僕がとても大切だなと思うのは、横の広がりを作ることなんです。

縦じゃない。横。

ここでいう横とはつまり、銘柄(ブランド)です。

紹興酒と一言で言っても、日本酒やワインと同様にさまざまな銘柄が存在します。しかし、あまりその銘柄で表記されることは多くありません。たとえ銘柄が書いてあっても、それらの味わいの違いについて認識しているお店さん、お客さんは少ないのが現状です。

はっきりいって、同じ銘柄の年数違いをブラインドでテイスティングして100%当てられる人は少ないと思います(僕も20年物を「これは5年!」と言い切ってしまったことがありました。失格。

現在準備中の紹興酒侍酒師(ソムリエ)講座にて。

それよりも、銘柄毎に味を見た方が明らかな違いが感じ取れます。それは当然ですね。製法が一緒とはいえ、作り手は蔵毎に違いますし、蔵内にいる菌も違います。この点は日本酒やワイン、ビールなど他のお酒と一緒です。

銘柄で見てもらえるようになると、「古越龍山、好きだな!」「今度は会稽山を飲んでみようかな〜」「塔牌は酸味がガツンと感じられるから紹興酒好きなお父さんなら気に入りそう!」などなどなど、世界は広がる!はず!なんです。

「黄酒入門」に掲載した銘柄は約120種。でも黄酒の銘柄はまだまだたくさん存在しています。

縦、いわゆる年数による個性の違いは、その後で訴求した方がいいんじゃないかなと思います。「古越の20年は軽やかだけど、会稽山の20年は飲みごたえあるな!作り方違うのかな?」とか、考えるようになりませんか?

お酒好きな人って、こういう深堀する余地がないと興味を持ってくれないと思うし、すぐに飽きられてしまうよなと思うんです。

だから、少しでも同業の皆さんに、まずはこの銘柄(ブランド)の存在を意識してもらえたらなと思った次第です。

もちろん、現在年数の違いで楽しんでいる人を否定しているわけではなく、あくまで黄酒をもっと楽しむためには?という観点での意見ですので悪しからず。

元紹興酒嫌いな人が語る、ニガテになる理由

僕は紹興酒が嫌いな人の気持ちがよく理解できます。

なぜなら、元々ニガテだったからです(笑)

僕が初めて紹興酒を飲んだのが12年前の2011年、前職の中国郷土料理店に入ったときでした。

当時の旦那さん(※俗に言う社長)が勤務初日の僕に「ホールに立つのなら味を知っておいた方がいいよ」と紹興酒を味見させてくれたのです。

そのときは正直

「ゔえっっっっ」

と思ってしまいました・・・(ごめんなさい、紹興酒)

「本当にこのお酒好きな人なんているのか?!」と不安な気持ちで勤務スタートしたことを今でも覚えています。(ほんとにごめんなさい、紹興酒)

でも、その不安はすぐに払拭されました。勤務初日から「紹興酒くださーい!」というお客さんがとても多かったからです。まぁ、ワインも日本酒もウイスキー焼酎も置かず、中国酒メインのお店だったのでそうするしかないのかもしれませんが(笑)

黄酒のラインナップが豊富なお店なのです。

今となっては"嫌い・ニガテ"から入ってよかったなと思っています。なぜなら、紹興酒が嫌いな人の気持ちがよくわかるし、それを踏まえた上でお酒の提案ができるからです。

「ゔえっっっっ」ってなってしまう要因は何となくわかります。全ての方が僕と同じではないと思いますが、紹興酒がニガテになる人は下記の点が要因だと思います。

・酸味がキツイ
・漬物みたいな香りがする
・醤油みたいな香りがする
・お酢みたい
・ボディが重くてしんどい
・甘い

これらの味わいや特徴って紹興酒特有の個性でもあるのですが、他の酒にはあまり感じられないもので、だからこそ好き嫌いが分かれてしまいやすいのだと思います。

ただ、これは捉え方次第でもあると思います。

ワインや日本酒は香りや味をさまざまな言葉で表現します。「メロンのような」「華やかな」「アプリコットのような」・・・化学的な研究が進んでいるからこそだと思いますが、すごく前向きな取り組みですよね。お酒の捉え方が変わりますし、理解しやすくなるし、楽しみ方が膨らみます。

だから、言葉の表現って大切だなぁと強く感じます。紹興酒にはまだそういう美味しく捉えてもらえるような表現が一般的にはありません。これは今後の課題。

ちなみに最後の「甘い」についてだけ、僕は感じたことがないのでちょっと共感しづらいのですが、よく言われるので一応記載しました。

余談ですが、僕が"嫌い・ニガテ"という段階から、どっぷりハマるに至った理由は2つあります。

1つは本当に美味しい紹興酒と出会ったこと。この辺りを話しだすとまた長くなるので今回は深く触れませんが、もう1つは慣れ。仕事で毎日のように味見していたのも理由の一つかなと思います。

紹興酒初心者・ニガテな人におすすめの味わいとは?

では、紹興酒がニガテという人におすすめの味わいとはどんなものなのでしょうか?

答えは簡単。

先ほど説明した「紹興酒が嫌いになってしまう理由」として挙げた要素があまり感じられない銘柄をセレクトすればいいのです。

具体的には、以下のような。


・酸味がキツイ→優しめな酸味
・漬物みたいな香りがする→イヤな香りがしない
・醤油みたいな香りがする→同上
・お酢みたい→酸味が穏やかで旨味や甘味が心地よく感じられる
・ボディが重くてしんどい→ライトなボディ感
・甘い→軽やかな甘味


嫌いになる要素に合わせて書くとちょっとわかりづらいかもしれません。僕なりの言葉で定義すると以下のようになります。

紹興酒初心者・ニガテな人におすすめな味わいとは
▶︎
酸味が穏やかでキツくない
▶︎ライトなボディ感
▶︎余韻が伸びやかで心地よい
▶︎爽やかな甘味や旨味
▶︎ジューシーさが感じられる

「ジューシーな紹興酒なんてあるの!?」

そんな声が聞こえてきますが(笑)あるんです。オレンジや完熟した蜜柑のようなジューシーさを感じるものが。いや、僕だけが感じる風味なのかもしれませんが・・・でもそう感じる紹興酒はご提供すると「これ飲みやすい!」と言ってもらえることが多いです。なので自分の中では「ジューシー感がある」という認識で収めています。

それともう一つ、ボトルデザインも大切です。

黄酒は瓶や陶器を中心に、さまざまな形のボトルがあります。このビジュアルもお酒に対する印象に大きく影響します。

花瓶として持ち帰る方もいらっしゃいます。


今回はこの点も踏まえて、銘柄を厳選しました。

紹興酒初心者・ニガテな人向けの黄酒銘柄TOP8

さて、長々とお読みいただいありがとうございました。ようやく厳選した銘柄を紹介します。

今回は紹興酒だけでなく、黄酒全体からセレクトしました。

ちなみに、8つの銘柄を全て取り揃えた方がいい、というわけではありません。この中の1〜2つがあれば十分かなと。理由は、紹興酒が好きな人に対しての銘柄も取り揃えた方がいいからです。

以下の8銘柄は、伝統製法で造られた紹興酒と全く異なる個性を持っています。そのため、紹興酒好きな人が飲むと「ちょっと物足りないな」と感じられてしまうこともあります。

ワインや日本酒もメニューを考えるとき、きっとそれぞれ違った個性のものを取り揃えたりしますよね。それと一緒です。

最初にも書いた通り、このあとから有料としております。すみません。その理由は2つあります。

有料にした理由①中国酒活動をもっと活発に行っていきたい
有料にした理由②自分が培ってきた経験や知見を結集させたものだから

僕が一番やりたいことは、中国酒にまつわることなのですがまだ何か事業を起こして利益を生み出しているわけではなく、全て別の仕事で得た報酬からポケットマネーで行っています。

最近この方法に限界を感じています。やりたいことは頭に山ほどあるのですが、お恥ずかしいことに資金が追いつきません。

なので、今の自分なりに価値を感じていただけるもの作って、得られるものがあるならばそれが一番だなと。ご購入いただけた分は、中国酒活動に充てていきます。

お約束通り、1銘柄は公開いたします。6位の銘柄ですが、この辺りからは「これを飲んでダメなら紹興酒引いては黄酒自体が合わないかも」と言い切ってもいいレベルです。

では、いきます!

6位 西塘本酒10年

この時は、グラタンと合わせてますね。

◆西塘本酒の概要
通称、シータン。紹興市の北部、浙江省嘉興市産の黄酒。原料は大米(うるち米やインディカ米)で、麦曲で糖化発酵させます。ノンカラメルタイプで、黄金の酒色がとても綺麗です!価格も10年物なのに1000円ちょっと(小売価格)で入手できるため、かなりリーズナブルでコスパ最強です。

◆おすすめした理由
とても爽やかでクリアな味わいで雑味がありません。最初のアタックはレモンのような柑橘系の風味すら感じられます。アルコール度数も12°と優しめで、ワインに近いような感覚で楽しむことができるので紹興酒がニガテな人でも飲みやすいでしょう。

◆温度帯
冷酒(15度程度)がおすすめ!

◆グラス
ワイングラス(ボルドー型)、シャンパングラス

◆合わせたい料理
豆腐干の冷菜、青菜の塩炒め、チーズなど。お酢系の料理とも相性が良いす。

◆酒の味ステータス
甘 ★★★☆☆
渋 ★☆☆☆☆
辣 ★★☆☆☆
苦 ★☆☆☆☆
鮮 ★★☆☆☆
酸 ★★★★☆

◆酒情報
銘柄名:西塘本酒10年(シータンラオジョウ)
産地:浙江省嘉興市
原料:大米、麦曲
度数:12°
型:半干型
価格帯(小売):¥1,100〜
購入場所:東方新世代

有料記事ご購入 3つの特典!

❶10分で理解!オリジナル「黄酒 虎の巻」
黄酒に関する基礎知識をA4で2枚にまとめました。「紹興酒って何からできてる?」「どうやって作られてるの?」「本を読む時間がない・・・」そんな方々にお役立ていただけるのではないかと思います。印刷していただき、店舗に置いていただければスタッフさんへの教育にも繋がります。黄酒リテラシーの向上にお役立てください!

❷提案力向上に!「黄酒チャート作成シート」
黄酒は六味のバランスが重要とされていますが、最初からそれを感じ取るのは困難です。そこで、各銘柄の個性を感じ取るために最低限必要な4項目だけを厳選し、空白のチャートを作成しました。実際に試飲しながら、このチャートを埋めていくことでその銘柄の個性が掴み取れるはず。お酒の個性がわかれば、お客様のニーズに寄り添った提案が今まで以上にできるようになるでしょう。

❸無料で中国酒に関する相談を承ります
「紹興酒や白酒を置いてるけど注文が入らない…」
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「レストランにもっと中国酒をPRしていくためにどうすればいいか?」

そんなお悩みを持っている業界の方は少なくないのでは、と思っています。よかったら一緒に打開策を考えませんか?LINEを通じて無料のミーティングを受付いたします。お気軽にご利用ください。登録先は有料記事部分の最下部に記載しております。

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主に中国酒にまつわる活動に充てさせていただきます。具体的にはグラスの仕入れやYouTubeの制作費用、中国酒に関する企画全般を実現するための費用にさせていただきます。現在は全て自費で賄っております。お力添えを頂けたら嬉しいです!干杯!