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#4 ブラック勤めのオンナの逆襲 〜 オトコの嫉妬と逆恨み 〜

突然キレた女優A山さん。

「おまえっ!スケジュール組むっておまえがいったんだろーがっ、そこにあんだろっ!」

おや?おやおや?

いつものカメレオン七変化A山はどこへやら。声を張り上げ、細い目で私を睨む。

彼の本心で言いたいことは、

(なんでこんなヤツが選ばれたんだ。製造管理はオレがやってたのに)

(こいつの指示に従うのは気に食わねー)

(スケジュール通り用意はしたから、あとは自分でやりやがれ)

と、いったところだろう。でも、そこじゃない。論点はそこじゃない。社長が聞きたいこともそこじゃない。

いつもの流れで、決められた位置に置いていない。

→なぜそれは起きたのか?

→誰の、どこを改善するべきか?

おそらく、これを言葉にしたいのだろう。でも、女優A山は、自己主張真っ盛りである。そう、責任者なのに、年下オンナに奪われた自分の仕事。

おもしろくない、
面白くない、
悔しい。

見下している年下オンナが目障りで仕方ないらしい。

しかし、私は心配だった。これがほかの若い営業ならば、右往左往する。嫌がらせにも泣いてしまうかもしれない。最悪、退職してしまう。

そうなると、生産性も下がり、会社に入ってくるお金の周りも悪くなる。

金回りが悪くなれば、営業一人の目標金額も増える。たくさん売上を作らなければならなくなる。

めぐり巡って、負担が増える。

社長の爺やは黙っている。これは傍観に回ったな。私の立ち回りを見てるに違いない。

チキショウメ……。

こういうときこそ冷静に。

淡々と、事実だけを述べた。

「出来上がったらいつもの場所に置いて、営業が納品をします。そこからは営業の仕事です。」

「製造は、上げたものを梱包して、営業がピックアップしてバトンタッチするまでが仕事ではないですか?だから、場所を決めて、何が、どこまでできているのか?分けて、製造も営業もわかるようにしてあるんですよね?

作ったからもう知らないは無責任ではないですか?

その品物を、営業へ引き渡すまでがあなたの仕事です。いつも通り、決められたところに、期日までに置いてくださればいいと思いますよ」

社長の爺やは、ダンマリを決めこんでいる。心の中でニヤニヤしてるに違いない。絶対そうだ。真正のドSだもん。

女優A山の興奮は収まらない。

「おまえがっ、スケジュール組んでんだろ!自分で言ったじゃねーか自分でやるって!」

(だから、論点そこじゃないのに、まいったねぇ…)

と、そこで爺やが追い打ちをかけた。

「こいつにやらせたのはオレだ。管理しろと言ったのはオレだぞ。その文句、俺に言ってるのと同じじゃねえかぁ?ああん?」

キター!
メンチきってる(笑)
ギョロ目で迫力マシマシだ。

THE昭和の経営者
曲がったことが大キライ!

こいつへの文句は、取り決めた俺への文句。売られた喧嘩は買う主義だ。根性曲がった従業員への、指導という名のカミナリが落ちる。

「客に品物届けなきゃ金入ってこねだろーが!
 出来上がってるならそれでいい。あとは、お前たちがやれ」

その後、女優A山はスケジュール通り仕事をこなす。商品も決まった場所に置くようになった。しかし、彼の不満は収まらなかった。

しばらくして、爺や社長に呼ばれたことがあった。

「お前に教えてやろうか?A山がな、なんでおまえが総括して自分ではダメなのか聞いてきたぞ〜。お前のこと大嫌いなんだって」

「え?そんな事知ってますが。やることをやってくれればそれでいいんです」

「こう言ってたぞー、あの程度の営業腐るほどいる、たいしたことないってよ。」

「まぁ、そうですよね。自分で偉いなんて一度も思ったことありませんよ。あっ、じゃあ彼と私の立場交換しましょう、うん、それがいい」

そうなれば万々歳だ。営業しなくていい。アポも、新規獲得もしなくて済む。なんと天国だろうか。喜んでこの立場を交換するよ。

「お前、あいつに務まると思うのか?だからマン年雇われなんだよ大成しないぞ。A山は人の上に立つ器じゃねーだろ。現に見てみろ、パートたちみんなに嫌われてんじゃねーか」

辛辣である。誰よりも辛辣でズバッとはっきりモノを言う。その通りなのだけど。

爺や社長は、A山にこうトドメを刺したという。

「あいつがダメ営業と思うなら、おまえが代わりに外に行け。カツラかぶってスカートはいてアポイントこなして金作ってこい」

A山
「イヤだな社長〜面白いこといいますねぇ笑笑」

「できなきゃ代わりの営業連れてこい。あいつと同じかそれ以上取ってこれるやつじゃなきゃだめだ」

自分ではなぜだめなのか?見下している年下のオンナが、上司として威張っていると見えているらしかった。

でも、A山は営業は出来ない。新規の取引先すら探せない困ったちゃんだった。

その後、A山は社長の前では七変化して私の前では口を利かなくなった。さらに数年後、退職し実家の東北へ戻った。御年44歳。

なかなかインパクトある人だった。

女優A山は、東北のどこかでIT関係の仕事をしているらしい。

たまーに社長の携帯に電話があるけれど、社長はガン無視していた。THE昭和の経営者は、ごますり人間にはご興味ないらしい。

前回のお話 ↓ ↓ ↓


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