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人財育成を軸にトライセクターで活動したことを書いてみた(その2)

Public SectorからPrivate Sectorへ

Hundreds Colorsです。 
活動領域であるセクターを越えてみたときの実際の話をします。
キーワードは私にとっての「学び直し」。

公教育である公的な領域から営利企業へ転職した。
これは、Public Sectorの視点から見ると、Derailである。
別の表現をするならば、脱線である。
よく言えば、進路変更とも言える。
この動機づけは学び直しの観点から見ると、「危機感」だったのだろうと思う。

現在の本業になっている組織開発や異なる企業文化の統合を実質的に統括するようになってはいるけど、畑違いの領域からということを考えると、やはり脱線である。

何かで読んだ話ではあるが、仮にヨーロッパの企業は社員一人あたり年間平均12万円くらいの教育費を割り当てると言われるが、日本企業のそれは平均2万円程度。

この本質は「金額の大小」が問題なのではない。

学びに対する主体者は誰か?」ということなではないだろうか?

実際に加速度的な変化の中でビジネスが行われているのを感じているのは、ヨーロッパの企業の方ではないか?ということである。
企業が人材は資産としてアップデートしてくれる仕組みが機能していれば、嬉しいことであるが、おそらくそれ以上に自分の劣化を感じるから、自然と大学院などの高等教育機関で学び直すことになるのだろう。さらに、かつてほどの右肩上がりの経済成長は、どの国も期待しにくいわけだから、学び直しへの需要は高まる気もする。

大学院へ戻るということは、人材育成業界でいうところの、どこでも通用する「知の武器」を再武装しに行くのだ(General Skill)。
これが意味するところとして、企業内部や業界独自の知識(Firm Specifc Skill)は重要であるが、それは劣化しやすいリスクが多分に含まれていることを認識しておかなくてはならない

一方、日本企業の中でも人材育成に注力する事例はあるが、それはGeneral Skillよりか?それともFirm Specific Skillよりかということは、被雇用者として、その割合を冷静に見た方が良い。

2019年に、日本の大きな自動車会社の社長が「終身雇用」を維持するのは難しいという発表をした。どこの企業も確かにその通りであるのは最近分かったことではない。
それよりもこの発表から「あれれ?」と考えなくてはならないのは、よくできた教育体系を持つ企業においてでさえも、雇用され続ける能力(employabilty)を高い人になることが期待され始めているということなのではないか?

個人にとって、自らの意志で高度な「学び直し」をすることは先送りできない課題意識となっているのである。

つまり、学び直しに対する主体者は個人に委ねられるようになったと言えると思う。

学び直しの原動力は危機感よりも怒りの時もある?

実態として、学び直しをする人としない人が存在する。
ところで、それは何故なのか?
世代、業種、最終学歴、性別などいろいろな変数が考えられる。
今回は、「動機づけ」について少し考えることにする。

古典的名著であるレビンソンの「ライフサイクルの心理学」には、「中年の危機」という概念が登場する。主に様々な業種や年齢の人を対象にしたアメリカでの研究ではあるが、今この書籍を読み返しても現代の日本とあまり違和感はない。
中年の危機は就職や結婚などの生活構造の変化によって、誰にでも訪れるものなのである。

「あー、やばいなー」「なんか学ぼうと思っていたけど、ズルズルきちゃったなー」という感覚は学び直しが避けられる時によく聞こえてくる話である。

私の場合は、危機感はもちろんあったが、どこからか湧いてくる「怒り」が原動力になったような気がする。
この場合の怒りとは、長めの時間軸において「いい仕事して貢献したいが、どうも、相手の話すことがわからないことに対する自分への怒り」に似たようなものである。

【考えたこと】学び直すために10年がすぎていた

「やばいなー」→「じゃ、資料請求して応募する」とはすぐに行動できないのが私の実態であった。これは、日本のビジネスパーソンによう起こりうる話であると思う。

結果として、私は大学院で学び直すまでに10年がすぎていた。
実際に、大学院への応募書類を一気に書くには書いたのであるが、締め切りギリギリのタイミングで、山手線の中で立ちながら書いていたくらいだったのである。

当事者として10年を振り返ってみると:

(問い)
何が、行動するまでの意思決定を妨げていたのか?

(気づき)
学び直しをしようとする時に、阻害要因は誰にでもある、と思う。
 →どうも、人間は課題を先送りするともっと先送りするようである。とても自然なことである。
 →ところが、阻害要因には何があるのか、個人の一例としては考えられるが「本当か?」と思う。

(気づき)
学び直しをしない時、ビジネスパーソンは、逃げているのではない
 →考える時間軸が短すぎるかもしれない?
 →自分が行動出来るに足る目的を言葉にするのに時間がかかっているのではないか?


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