見出し画像

猟記(二)

猟の日記。猟記。
銃を持つというのは、かなり特別なことだ。その人それぞれで感じ方は違うだろうけれど、僕はまず「無敵じゃん」と感じる。どんなやつがどこから襲いかかってこようが銃を持っている自分のほうが強い。でも、実際銃を持って歩いているといつも思うのだけど、自分の銃が暴発しないかどうかめちゃくちゃ怖いのだ。この弾が当たるだけでどんな敵でも倒せてしまうということは、つまり自分に当たったとしても100%死ぬ。そんなことはほとんどないと分かっていても怖いものは怖いのだ。こんな情けないことを考えている人って僕以外にいないような気がしているのだけど、でもこれが自分の本心なので仕方がない。銃に弾を込めているときの緊張感はさらに特別だ。敵が出ることよりも銃を持っていること自体に緊張する。今期中にその恐怖心からは抜け出したいなあと思っているけれど、根本がびびりなので少し時間がかかりそうだ。

とはいえ、やっぱり銃というのは、未踏破な場所を歩く勇気をもたらしてくれるものでもある。「小岱倉林道(こたいくらりんどう)」という場所がある。地元の人たちがよく使う林道で、車でかなり長い距離を進むことができるので、けっこう簡単に奥山に入っていくことができる。でもその林道はかなり崩れやすい林道でもあるので、たいてい途中までしか行けない。釣りのできる沢が豊富にあるので、自分も何度もこの林道を使っているけれど、林道の終点まで行ったことがなかった。きっと誰もあまり行っていないだろうし、銃を持ってないとなかなか行こうとも思わない林道終点。せっかくなので行ってみることにした。

距離は往復で3キロ程度。しかも林道なのでめちゃくちゃ歩きやすいし見通しもいい。前回とは比べものにならないくらい楽だった。その分狩猟に集中することができたし、行く場所ってめちゃくちゃ重要なんだと再認識した。途中藪になっていて少し歩きづらいところはあったけれど、あっという間に林道の終点に着いた。特に疲れも何もなく、そして動物の気配も感じることもなく終わってしまった。いくら人が来ていなくても、やっぱり林道みたいにわかりやすいところには今年は降りてこなさそう。いい沢があって、来年ここに釣りにくることは確定したけれど、それ以外はあんまり収穫がなかった。まあそんなもんかなあと思う。もっと深いところに行くにはキャンプの技術が必要だなあ。何度も書くけど、根がビビりなのでそこまで踏み出せるかどうかわからないのだけど、もっと奥に行くためにいつかやるぞサバイバルキャンプ。

・・・

ベタだけれど、山に入っているとRPGのゲームをしているような気分になってくる。前まで行けなかったところに行けるようになったり、レベルが上がって気づかなかったことに気づけるようになったり、道具が少しずつ進化していったり。今のところは、まだ開けていない扉をゲーム感覚でどんどん開いている最中なので、それだけでたのしい。開けるたびに発見があり、レベルが上がっている感覚もある。まだまだいっていない場所もそれこそ山ほどあるので、行ってない場所が尽きることはなさそうだ。
ただゲームとは違う怖さもある。死んだらまじで死ぬし、寒いとか怖いとかそういうことだってついてまわる。自分の限界をどんどん突破したいなあ、という思いはあるのだけど、死んだらどうしよう〜みたいな気持ちはなくならないし、万が一でも死ぬかもしれないことをやるのってめちゃくちゃ怖いんですよねー。いやあ誰か一緒に山に入って泊まってくれる人いないかな。ひとりじゃ挑戦するのも怖いよー。

っと、なんか猟記から内容がかなり離れてきたのでこの辺で終わりにしておきます。今日もまた猟に行く。猟期の猟記は続きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?