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#36 最近よんだもの(9)

 フロム・ソフトウェアのゲーム、エルデンリングは面白い。死にゲーは嫌だと腰が引けていた我が不明を恥じるほかない。

 「鵼の碑」(京極夏彦、講談社ノベルス)を半分ほど読み進めたところで、「成瀬は信じた道をいく」(宮島未奈、新潮社)が発売になってしまったので、近所の書店に注文し入手。ネタバレを目にしてしまう前に読もうと思い、京極を中断して成瀬に着手。そんなところで予約した本がきた。成瀬はめちゃくちゃ面白いけど、これも中断。そして、ようやく本題に入ります。

「わたしたちに翼はいらない」(寺地はるな、新潮社)

 地域社会の人間関係の息苦しさを描いた傑作。この狭い社会の閉塞感がすごい。なぜか高村薫の「照柿」(講談社版。全面改稿の新潮社版は未読)を思い出す。いじめ、不倫、毒親、モラハラ。並べてしまうと陳腐だが、このすべてが呪いと化してゆく。

 あの閉塞感はなんだったのか、と思える時代がくるといい。クドカンの昭和ハラスメントドラマを笑いながら楽しめるように。

 つらい思い出のある地元など離れてしまえばよい、とも思うが、人は様々な理由で土地に縛りつけられる。友人などいなくても、生きていくことはできる。光はある。

 エルデンリングも、何度も何度も絶望の谷底に突き落とされる。もう這い上がる気力がない、と思っても、捜せばかすかな光はあるんだよね。恐るべきゲームです。

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