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#41 春、衰弱堂の呪い 再び

 三寒四温を経て、また春がくる。最近は声をかけてくるようなことはないが、ふっと思い出すのは相変わらずだ。慣れた。いや慣れない。

 しくじった。もう一歩踏み出していれば。俺のせいだ。いや違う。でもやっぱり。

 毎日、何度も思う。

 基本的に自死が報道されることはあまりない。幼子を道連れにする心中の記事は、読んでいていてやりきれない。分析ものや識者による、自死について書かれたものは、最近あまり読めなくなった。最相葉月の「母の最終講義」(ミシマ社)を読んでいて「この九年の間に、私は若い友を四人失った。二人は病、二人は自死だった」という、ただそれだけの一文に凍り付き、本を閉じてしまう。精神医療にこれほど精通した人でも、自死で友人を失ったりするのか。

 この感じ。一生抱えていくのか。

 いくんだよ。覚悟したじゃんか。

 ああクソっ、しくじったなあ。しくじってばっかりだよ。今日もまた独りごちる。黒田鉄山先生だって死ぬのだ。浮いて沈む春。

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