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オリンパスのコンデジTGシリーズの写真に映り込む円形ゴーストを画像処理で消す技

昆虫の生態や標本の手軽なマクロ撮影に,顕微鏡モードを搭載したオリンパスのTGシリーズのコンパクトデジタルカメラを使用している方は多いだろう。TGシリーズは,顕微鏡モードに深度合成機能も併用することで,体長数ミリの小さな昆虫でも手軽に鮮明な拡大写真が得られるので大変便利なのだが,高倍率で撮影すると,画像中心に青味がかった円形のゴーストが映り込みやすい欠点がある。自分はTG-5を使用しているが,特に,微小甲虫を,TG-5を双眼実体顕微鏡の接眼レンズに直接乗せて撮影すると,確実にゴーストが映り込む問題を抱えていた。深度合成処理を行うには,収差の小さい視野の中心に被写体を入れる必要があるが,このゴーストは必ず視野の中心に出現するため非常にたちが悪い。また,野外での撮影において,背景が明るい状況で高倍率で撮影すると,顕微鏡モード/AUTOモードによらずゴーストが映り込む場合があり,これには対処のしようがない。

そこで撮影済みの画像に対する後処理で,この円形ゴーストを目立たなくするソフトウェアを自作してみた。以下,使用例。処理後の画像のみを見ると,ゴーストがどこにあったのか判別は困難であろう。特に,印刷物にした場合,まったく分からないレベルと思われる。
実装はGNU Octaveを使用。詳細は以下を参照(アルゴリズムの原理、ソースコードの記述あり)。
齋藤孝明, 2021. TGシリーズで撮影した写真に映り込む円形ゴーストを画像処理で消す技. 神奈川虫報 (204): 57-62.

双眼実体顕微鏡併用、接眼レンズ10倍の例(処理前)
画像中央に青い円形ゴーストが写りこんでいる。
上記写真のゴースト消去処理後
双眼実体顕微鏡併用、接眼レンズ20倍の例(処理前)
顕微鏡の倍率を挙げるとゴーストがより小さく強く映り込む。写真はトリミング済。
上記写真のゴースト消去処理後
顕微鏡モードを使用せず、単純なAUTOモードでゴーストが映り込んだ例(処理前)


上記写真のゴースト消去処理後

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