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バレンタインの手作りチョコに情熱を燃やすおじさんの生態と攻略法

「バレンタインコーナーで高級チョコふたつも買っちゃった!」
との私の浮かれた報告に。
「さくらは手作りのチョコをくれると思っていた…。」
と残念そうな彼の反応。

ちっ。←
数千円の高級チョコレート2つも買ったのによう。

でもまあ。
手作り希望とあれば叶えて差し上げましょう。

からの。
力作チョコレートムース。

自作スイーツを写真に撮って壁に貼ってある。
彼にあげたチョコレートムースもこんな感じ


「買ったんじゃなくて、これ、作ったの?さくらが??すごい!美味しい!!」
ってあんなに喜んでくれていた。

のに。

彼にとってそれは「バレンタインの手作りチョコ」のうちには入らなかったらしい…。
何が問題?
ラッピング??
「バレンタインの手作りチョコ」的には可愛さが足りなかったか…。

ちっ。←


とはいえ。
ふたりにとって初めてのバレンタイン。
彼の希望を叶えるべく、怒濤の三連チャン手作りチョコ責めにしようかと企てていたのだが…。

流行病に倒れる私。
計画は頓挫。

私「チョコ作ってあげようと思ってたのに、ごめんね」
彼「いいよ。今年は仕方ないよ。来年の楽しみにしておくから大丈夫。」

と。
優しく言ってくれた彼。

だが。

彼の手作りチョコへの情熱は、私の予想を遙かに超えたものだったらしく…。

バレンタイン当日。
高級チョコレートを手渡しても。

包みを開けてもくれない。

病み上がりにて脳がまわらず、あまり考えずにいたら…。

翌日。
酔っ払った彼が電話で。
「買ったチョコはしょせん買ったチョコでしょう?」
「恋人には手作りチョコをあげるモノなんじゃないの??」
と。
「手作りチョコがもらえなかった悲しみ」を。
切々と…。
(ぐちぐちと?)
私相手に吐露。

可愛いから許す!!
けど…。
端から見たら…。

ただの、超!めんどくさいおじさんである。笑
(端から見なくても、か?)


私の認識では
手作りチョコ=安価の大量生産
市販の高級チョコ=特別な人への贈り物
だったのだが。

彼の脳内では
手作りチョコ=恋人だけに作る特別なもの
市販の高級チョコ=お金がかかってるだけ
だったようで。

その認識の違いを。

酔っ払ってグチグチグチグチと。笑

めんどくせーけど…。
やっぱり。
超絶かわいい!!笑

うん!
かわいいいから…。

一肌脱ぐか!!

寝ながら「簡単チョコレートレシピ」検索。

次の日。
朝早く起きて。
家にある食材の在庫を確認。

・板チョコ3枚
・卵1個
・無塩ミックスナッツ

これで行こう!!

板チョコを溶かす。
室温に戻した卵を混ぜる。
ミックスナッツをバキバキに砕く。

混ぜて
パウンドケーキ型で焼くこと十数分。

粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やす。
切り分ける。

こんな感じ。

めちゃくちゃ簡単だが味は良い。
そりゃそーだ。
チョコとナッツだもん間違いないよね。笑

そして。
ネットで検索。
「バレンタイン」「かわいい」「ラッピング」

脳内にインプットされた情報をもとに100均にて「可愛らしいラッピンググッズ」入手。

おそらく。
バレンタインに手作りのチョコが欲しいと情熱を燃やすおじさんにとって。
手作りチョコの要は。
「可愛いラッピング」

それが51年生きてきた私の…。
「手作りチョコレート」への最適解。笑

「チョコレートと卵とミックスナッツを混ぜて焼いただけのもの」を切り分けて、超!可愛くラッピング。
が!
時間が無いのに箱にうまいことリボンが結べない!!
私、めちゃくちゃ不器用なの忘れてたよ!
くそー!!
負けるか!!!←何に?笑


からの。
週末のお泊まりデート。
リベンジの内容は極秘。

美味しくビールを飲んで。
楽しく酔っ払ったところに。
「そうそう、そういえばね?」
と。

可愛い紙袋を彼に差し出す。

「えええ?なになに??」
「可愛い袋」から「可愛い箱」を取り出す彼。
「こ、これ、もしかして??」

笑顔で「あけてみて?」と促す。

箱のリボンを開けて。
中身を確認した彼。

「これこれこれこれ!!僕が欲しかったのはこれなんだよー」
絶叫。笑
そしてすかさず自分の口に放り込む彼。
「さくら~。もう、大好き!超嬉しい!」からのハグ。

そうそう。
これこれ。
これなんだよー!!
私が欲しかったのは。

恋人の、この笑顔が見たくて、ラッピングの研究して、100均に駆け込んだのよ。笑

喜びを体現する彼。
マジで跳び跳ねている…。

こんな…。

板チョコと卵とミックスナッツを混ぜて焼いただけのものに…。
そんな情熱を…。笑

「今朝作ってくれたの?早起きして??大変だったでしょう??」
まだ興奮してはしゃいでいる彼。

作るのは全然大変じゃないんだよ?
むしろ大切で大変なのはラッピング…。

とは、もちろん言わない。笑

彼はチョコの箱をもったまま、ずっとにこにこして浮かれている。

そして…。
はっとした顔で言った。
「昨日…。僕、電話で…。かなりぐちぐち言ってた?んでしょう?ご、ごめんね?しつこかった?ごめんなさい~!!!」

笑。
言ってた。

でも!
彼の、こういうところが大好き!

はー。
なんてかわいいおじさんなんだろう。
あまりの可愛さにぎゅうぎゅうと彼を抱きしめた。


誰かの願いを叶えるのは喜び。

子どもたちは、いつか皆、巣立つ。

二十数年ずっと子どもたち相手に使ってきたこの「誰かの願いを叶える」能力を。
生きているあいだじゅうずっと、誰かに使い続けたい。
そう思った。

そうして。
せっかくその能力を使うなら、その相手は。
私の差し出したをものを心から喜んで幸せな笑顔を見せて受け取ってくれる人がいい。

恋人の素敵なかわいらしい笑顔を見続けたくて、私は彼を、最後の恋人にしようと思ったのかもしれない。

追記。
私からの手作りチョコをもらって気が済んだのか、恋人はようやく高級チョコレートの包みを開け、フツーに喜んでくれましたとさ。フツーにね?笑
おじさんの手作りチョコへの情熱、恐るべし!!!笑