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『デジモンアドベンチャーtri.』&『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION-絆-』簡易感想〜全王様に消滅させてほしい最悪の世界線と壮大な茶番劇を見せつけられる世界線〜

つ、遂に禁断の黒歴史である『デジモンアドベンチャーtri.』と久々に関弘美がスーパーバイザーとして監修した『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION-絆-』を同時視聴したので簡潔に感想をば。

『デジモンアドベンチャーtri.』評価:X(ブラックリスト入り)100点中-1億点
『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION-絆-』評価:E(不作)100点中30点

マジでさき姫さんが仰っていた通り、この2つどっちも見るのきつかったのだが、その中でも「tri.」だけはマジで誰がどう見ても絶許の黒歴史オブ黒歴史としか言いようがない産廃レベルの汚物
こんなジャンクフィルムがこの世に存在するだけで汚らわしく、もはや手遅れの世界線でまさか無印・フロンティア・ゼヴォ以上の最悪の世界線を見ることになるとは思わなかった。
ネットで調べると「マジで大輔たち02組に助けて欲しい」「芽心とメイクーモンは大輔じゃなければ救済不可能」という意見もあったのだが、さしもの大輔&ブイモン推しの私でさえそれはないと断言する
これはもはやデーモン・バルバモン辺りの暗黒の力による汚染が進み過ぎていて、『ドラゴンボール』でいうところの未来トランクスの世界並かそれ以上にもうどうにもならない世界ではなかろうか。

頼むから全王様、この世界こそいっそのこと消滅させてしまってくれ!

ヒカリは暗黒進化するわ(しても不思議じゃない)、太一もヤマトもこぞってメソメソウジウジしてるわ、アポカリモンの転生体だからとメイクーモン&芽心を殺すことを「覚悟」だとか言ってるのは何なのだ?
まあそれを言ったら私は『デジモンアドベンチャー』『デジモンアドベンチャー02』に出てくる「デジモン殺しの覚悟の是非」という中途半端な要素の扱い方からして気に入らないのではあるが。
そもそもいくら転生可能とはいえ基本的に「デジモンアドベンチャー」の世界の倫理観では殺すことでしか浄化しようのない魂以外は「殺さない」のが普通であって、それを太一たちがああだこうだ言うのがおかしい
「大輔たちは戦うと言ってるけど、あいつらは所詮ダークタワーデジモンしか倒したことがない。だから甘ちゃん」みたいなことを言ってたのだが、だったらキメラモンはどうなるのか?

キメラモンにしたっていくらデジモンカイザーが作ったとはいえ「生命を宿しているデジモン」であることに変わりはないのだし、ダークタワーデジモンだから殺していいというのもズレている
そもそも私はアニメの「悪意を持って襲ってくるウィルス系のデジモンだから殺していい」という倫理観のあり方自体が根本から偏っているのであって、それは即ち太一の提唱する「勇気」の価値観が単なる「破壊と殺戮」しか生まない証である。
なぜアニメの方の八神太一が漫画版の方と違い「ヒーローになり損ねた英雄未満」なのかというと、「光の側である」という大義名分に名を借りた単なるデジモン殺しという私刑を執行する生物兵器だからである。
だから私にとって無印組が劇中で積み上げてきて、本作で改めて「覚悟」とかいう言葉で提示された価値観の本質は単なる悪意と狂気でしかないという身も蓋もない事実が明らかになった。

しかし、その価値観では何も生まれずデジタルワールドには破壊しか生まれないから「02」で奇跡の輝きである本宮大輔とブイモンを中心にした古代種デジモンとテイマーが必要とされるのである。
人間とデジモンの架け橋にしてエターナルヒーローである大輔たちがいなければ、いつまで経ってもデジタルワールドは救われないし、無印組がやらかした歪みを修正するには25年もかかってしまった
だから「tri.」はそういう意味で、せっかく02で多少なりとも是正されいい方向に行き始めたデジタルワールドが暗黒の力の陰謀によって大輔たちの居ない世界という絶望に変わってしまったのである。
それは正に『ドラゴンボール』の世界において孫悟空とドラゴンボール・神龍が居ない未来世界のようなものであり、完全な「最悪の未来」に進んでしまったのだ。

因みに本作に関して「無印はこんなに最悪ではなかった」「こんなのは完全な別物だ」と言っているが、私に言わせれば無印からしてそもそも大輔たち02組がいない最悪の世界線である。
「tri.」に関しては意外と作品の世界観や話の筋そのものに違和感はなかった、だって大輔たちエターナルヒーローのいないアドベンチャーの世界線なんて絶望しかないのだから。
矛さんもXで書いていたが、大輔がテレビ版や劇場版「ディア逆」で3秒程度で解決し、「02 THE BEGINNING」でも開始15分程度であっさり導き出した解決策を無印組は悩んで悪化させてしまっている。
挙げ句の果てに「フロンティア」「ゼヴォ」よろしくロイヤルナイツ同士で殺し合う最悪の展開にまで発展しているのという目を覆いたくなるような大惨事が次々と繰り広げられてしまった。

まあその大輔たちは「tri.」の世界線では完全に無力化されてしまったのだが、この設定にしたことでかえって「ディア逆」以上に有能な02組と無能な戦犯だらけの無印組という格差が広がった
そしてその格差は「tri.」から切り離された「ラスエボ」で余計に顕著になっており、私の隣で同時視聴した弟は「いや無印組全員普通に戦犯やろ、特に八神太一はガチで究極の戦犯」と容赦なく扱き下ろしている。
私が「ラスエボ」を見て面食らったのは無印組が街への損害に目もくれずに無茶苦茶なパロットモントのバトルを繰り広げる冒頭の一幕であり、バトルシーンそのものは迫力あったが私はどうかと思った。
光子郎が的確に指示してタケヒカコンビがサポートしていたが、それにしたってあれは無駄に被害を拡大し過ぎであり、しかもトドメの段階で完全体という「ウォーゲーム」の時と同じ失敗をやらかしている。

そもそも太一はテレビ版の時からそうだったが、カリスマ性やリーダーシップに誤魔化されがちなだけで、よくよく見るとヤマトや京以上にやらかしの多い戦犯であることに気づくだろう。
スカルグレイモンへの暗黒進化、ナノモンに連れ攫われた空とピヨモンを救えなかったこと、妹を死なせかけたこと、ダークマスターズでヤマト・ミミ・丈の離反の遠因に自分がなってしまっていること。
更には「ウォーゲーム」で完全体進化の最中にやられた挙句にパソコンをフリーズさせ空と無駄ないざこざを起こし、「02」では「喧嘩しなきゃ友達にもなれない」とか要らんことを後輩に吹き込み、「ディア逆」ではイキってアーマゲモンに惨敗。
んで本作はそこからの冒頭のやらかしに就職先もまともに決まってないとどんどん株が下がっているのに対して、02組は当たり前にデジタルゲートをどこでもドア感覚で行き来しており、街でのデジモン回収もスムーズだ。

思えば「ディア逆」でも無印組が太一・ヤマト・光子郎の三銃士に引き立て役として天使コンビが出しゃばってやられた挙句、大輔たち02組の4人がその尻拭いをさせられていたが、「ラスエボ」ではそれがより顕著に。
しかも将来が全く見えていない太一やブレまくりなヤマトとは対照的に02組はラーメン事業に向かって一直線の大輔を始め京が海外でインタープリター、賢と伊織も国家資格に向けて勉強としっかり自立している。
それでいていわゆる「デジモンとの別れ」なんてものも全くなく、太一やヤマトが最終的に苦々しい「別れ」を経験しなければいけなかったのに、大輔たちは別れも経験せずにいつもデジモンと一緒なのだ。
もはやデジタルワールド側の02組に対する猫可愛がりと相反する無印組への塩対応の落差に苦笑する他はないが、どうあっても「02」の25年後の結末が決まっている以上、この別れが壮大な茶番にしか見えない

で、これらを受けての「02 THE BEGINNING」であり、タイトルも内容もそうであるように結局アニメの方の「デジモンアドベンチャー」は本宮大輔とブイモンという最強ヒーローがいなければ動かないのである。
「ラスエボ」では裏方に徹していた彼らだが、その理由はまだこの程度デジタルワールドの真の危機ではなく、大輔たちにとっては人間界に現れたデジモンを戻す程度のことは日常にすぎない。
そのように考えると、二次創作ではあるがアズマケイさんがお描きになった「最良の無印の世界線」として描かれた「おれとぼくらのあどべんちゃぁ」は実に慧眼であったのだなと。
大輔たち02組というエターナルヒーローを登場させなければ本当の意味で無印組もデジタルワールドも救われないから、25年もデジタルワールドと人間世界の交流に時間をかけなくていいようにしているのである。

だからもう私は今後どのような展開の作品が出てこようが、少なくともアニメ版「デジモンアドベンチャー」の世界はあくまで本宮大輔とブイモンが中心とならなければ成立しないことを確信した。
海外の二次創作で見ても大輔とブイモンはデジタルワールドの真の救世主だとして、中にはハーレム物まで作られてしまうほどのヒーローofヒーローなのであり、その図式を再確認させてくれたのがこの2作である。

そういう意味では02組の有能さを際立たせて再評価に貢献してくれた反面教師として是非とも逆手に利用して欲しい格好の材料だ。
下手な名作を真似するよりも、こういう駄作群から失敗法則を学んだ方が逆に成功に近づきやすいといういい教訓である。

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