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何でもかんでも公権力が管理すればいいというものではない!国は決して万民天下を守ってくれる都合のいい神などではないぞ!

昨日の記事の続きだが、あの発言以外にも件のポストをした方の他のポストを見たのだが、あまりにも発言の質が低次元すぎて反論する気力さえ失せてしまいそうだ。

これらをネタで言っているのか本気で言っているのかは定かではないが、どっちにしたってヒーロー作品をそれなりに見ている人の意見だとは思えない
世の中にいろんな意見があるのは構わないが、ヒーローと公権力の関係性に関してこんな底の浅い発言しかできないようならば、批評家としてはもちろん作家としても致命的なまでにセンスないぞ
善行故に頑張っている奴が社会的に孤独じゃない?公権力と連携するヒーローの方が話が早い?対ヴィラン系のヒーローのやっていることが警察の延長線上だと?
何だか知れば知るほど社会や作品に対する物の見方の解像度の低さ、教養のなさが露呈していると思うのだが、少なくとも公権力側で働いた経験がある奴がこんな適当なことをいう筈がない。

氏が言っていることの発想・着想は行き着くところ「徹底した管理社会を強化して24時365日日本中を厳重な警戒態勢にしろ」ということになるのだが、本当にそれで理想の社会が実現するのか?
まあ別にこういうことをいう人が出るのは今に始まったことじゃない、現実を無視して己の理想論を拗らせている人の言い分はつまる所「犯罪が減れば世の中は良くなる」という安直な発想だ。
こういうところにこそポリコレだのSDGsだの歪んだフェミニズムだのといった詐欺紛いのファシズムはそっと忍び込んでくるわけであって、ヒーロー作品を書く身でありながら不勉強にも程が有る。
今のだらしねえ岸田政権の腐敗した惨状に国民の誰しもが不信感と疑念しか抱いておらず、税金は上がって搾取される一方で必死に年金を払っても受給額はとんでもく低く、超富裕層でもない限り生活などしていけない。

もう既に『ドラゴン桜2』の漫画版で「国は当てにならない。税金を無駄に払わされ続け搾取されているという現実と向き合わない限りお金持ちにはなれない」とまではっきり断言されているのだ。
フィクションだと思う人は少しでもお金の仕組みについて勉強してみるといい、そうすると如何に公権力と呼ばれる奴らが下からお金を吸い上げて楽している既得権益の金食い虫ばかりかがわかる。
私は決して賞賛こそしないが、かつての学生運動にしろオウム真理教のテロ事件にしろ、かつて公権力への不平不満を募らせた若人たちは「なら俺たちがこの国を変えてやる!」と立ち向かったのだ。
それこそ「この俺が運命を変えてやる!」と敵わぬと知りながらフリーザという巨悪に立ち向かった戦闘民族サイヤ人バーダックのように巨大な悪へと向かっていったのである。

氏は「善行故に頑張っている奴が社会的に孤独なわけがない」などと言い張っているが、それならば第二次世界大戦の大戦犯であるナチスのヒトラーはどうなのだ?
彼こそ世界の覇権を握っているユダヤを危険視し、そいつらを根絶やしにすれば真に平和な理想郷が手に入ると、国民に安寧と平和がもたらされると信じていたのである。
善行故に頑張ったからこそ彼はかえって社会的に孤独に追い詰められてしまい自殺を余儀なくされたわけであり、連合赤軍もオウム真理教も同じようにやろうとしたことは「国を変える善行」だったのだ。
それに仮面ライダーは初代から徹底して「自分は人間の身でありながら改造されてしまったサイボーグだから社会からは外れた存在である」という孤独を抱えて生きていくことになる。

また、阪神淡路大震災や宮崎の二度目の口蹄疫に対する民主との対処の遅さ、そして3.11の国の判断力と対応の遅さ、もう誰も公権力に期待できないでいるのが現状だ
それに警察だってお笑い芸人のはなわ辺りがエンタの神様や爆笑オンエアバトルで「(神奈川の)暴走族の数は何と世界一♪でも一番怖いのはそれを取り締まる不祥事だらけの神奈川県警♪」とネタにしていた。
法を守るべき警察官だって裏じゃ何しでかすかもわからない悪党かも知れないというのに、そういう現実を何らわかっていない人が私人逮捕系YouTuberが捕まったという一面だけを見て適当に体制側に与する。
対ヴィラン系のヒーローのやっていることが警察の延長線上だというが、それなら「デカレンジャー」の本放送時にアリエナイザーを○×方式で粗雑に裁いたジャッジメントシステムに関してはどう考えているのか?

あれだって「タイムレンジャー」の圧縮冷凍との差別化もかねて警察が犯罪者を勝手に殺してしまうことへの口実にでっち上げたシステムだが、私はあれが大嫌いであるが故に警察とヒーローを一緒にしたくない。
ヒーローがヴィランに対してやっていることは警察官のやっていることと似て非なるものであり、あくまでも「殺し合い」「戦争」という話し合いの余地が全くないものである。
だから、刑事に関する犯罪者を逮捕したり治安維持のために活動したりする公権力の狗と、公権力には裁けない度を超えた悪党を私刑に処するヒーローとはそもそも存在意義もやっていることも違う。
思えばこういうことをいうような人が例えば「ゴーカイジャー」の宇都宮Pがいっていた「地球人なら地球を守って戦うのは当然のこと」みたいな浅い発言に共感してしまうのかもしれない。

そして最後に「公権力と連携するヒーローの方が話が早い」だが、ならば『救急戦隊ゴーゴーファイブ』の8話の公権力代表の乾総監とゴーゴーファイブの指揮官である巽モンド博士の指示に戸惑うゴーレッドのくだりを見てみろ!
モンド博士が「現場に足を運ばないと現場のことはわからない」といっていたように、災魔一族がどれだけ危険な存在かを知らない公権力側は普通の災害救助の感覚でトンチンカンな指示を出してしまう
そう、現場のことなど何もわかってなくて高みの見物を決め込んでいる既得権益が現場の苦労なんぞ知るわけがないという小林靖子なりの「公的なるもの」に対する痛烈な皮肉が描かれているのだ。
公権力が上について管理すれば話が早いわけがない、公権力によって法で管理されるということはいざという時に自由に身動きが取れないということを意味するのだが、それでいいのか?

現在の中国みたいにむしろ24時間365日もじっと監視されているとんでもない社会を作り上げた結果どうなったか、ただでさえ犬猿の仲である米中関係が悪化の一途を辿ってしまっている
昨日の件からの氏の発言の一連を見てみると本当に公権力にしろヒーローにしろ、きちんと調べればわかる必要最低限のことすらもわからずにあの発言をしていたのだなあと残念に思えてならない。
だから今あらゆるヒーローものが権力に刃向かうことを最初から諦めている後ろ向きの対数関数型の作品か、既存のヒーロー作品で散々擦られてきた題材の縮小再生産しか生み出せなくなっている。
とりあえずそのポストを是非ロシア・ウクライナ・パレスチナ辺りに行ってしていただきたい、次の瞬間間違いなく首が飛ぶであろう。

今回のこれで「公的動機と私的動機」も含めた様々なヒーロー作品の根幹に関して、いかに今作品を作っている人たちもそれを見ている受け手の人たちも甘く考えているかが手に取るようにわかる。
国は決して国民を守ってくれなどしない、都合のいい神様ではないという現実に気づかない限り時代の鏡となるような新たな王道のヒーローは生まれないのだろうな。

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