僕の頭は0.7倍速

小学生のころの通知表には「人の話を聞いていない」とか、「上の空」とか書かれていた。周りの人からもそういう風に言われることが多かった。実際僕は人の話を聞いていなかったし、上の空だった。最初はちゃんと聞いているのだが、気づいたらそうなっているし、いつからそうなったのかも覚えていない。

僕は外界からの情報を摂取する速度が遅いらしい。それは脳的にそもそも遅いのか、技術的な慣れとか熟練の問題なのかはわからない。聞くことではyoutubeで速度をいじったり、読むことでは平易な内容でも文章を理解できないことがあって、バカみたいにゆっくり読んだりしていて気付いた。0.7~0.8倍速が適切なようだ。抽象的で高度な話題でも速度を遅くすると一つずつ理解できるし、集中力も続く。上の空にはならない。

英語のリスニングをするとき、はじめは標準の速度だと聞き取れないから速度を落とすと思う。確実に聞き取れる速度で練習する。だんだん慣れてくると標準の速度で聞き取れるようになる。確実に聞き取れる速度で練習しなければいつまでたっても聞き取れるようにはならない。もちろん何年も集中して練習すれば別だが。

音楽もそうだ。ギターで曲をコピーするとき、聞き取れる速度まで落として「この音が鳴っているな」と理解して、ギターで鳴らす音を探していく。だんだん慣れてきて標準の速度で聞き取れるようになる。確実に聞き取れる速度でやらないと、あてずっぽうでコピーしたことになりいつまでたっても耳コピが速くなることはない。もちろん何年も集中して練習すれば別だが。

英語ならば意図的に速度を落として練習して学習者としてステップを踏んでいくのだろうが、母国語の場合、それができない。集中して練習することはないし、速度が速くても落とすことはできない。なんかきついと思っていた理由はこれに起因するだろう。

僕はダメなんじゃなくて、遅いだけだった。しかしそれはだれかに説明してたとえ理解されても結局は許されないことだ。「だからといって」ということだ。気づくのがもう少し早ければ対応もできたかもしれない。遅すぎた。

だから人と関わる仕事はできる限り避けようと思う。非正規でもいいし工場労働でもよい。多分それが僕に合ったやり方なのだと思う。あきらめではなく、身の丈を受け入れるということだ。他人は僕の1.4倍速いのだから。

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