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第1回 「当事者が声をあげて救い上げられる社会」

 誰一人取り残さない政策を毎回行う、そういった社会やシステムを作ることははっきり言ってしまえば私は無理だと思います。それは一人ひとりみんな違って個性があり、特徴があるからです。誰一人同じ人はいないのでそれぞれが抱えている問題や悩みも違います。一部は誰かと共通しているけれど、一部は違って他の人と共通していたりする。

 例えば私の両親はコンビニを経営していますが、コロナ禍で経営は続けられるものの売り上げは大幅に減り大打撃でした。しかし自営業の分類に入るためコロナの支援金の条件に当てはまらない(もしくは低い支援)ことが多く大変でした。友達にも、留学予定で大金を支払っていたのに戻ってこない、生活が苦しくなり休学してしまったため卒業が伸びたなど様々な問題を抱えた子がいます。

 こういったコロナ禍での状況を含め、様々な問題に対する政策は、より多くの人に関わる部分を表面的にすくい出して形にしているようなものだと思います。そのため現実で発生する一部の問題まですくうことができず、「一般的」に考えられる範囲までのものとなってしまうのはしょうがないことです。障がい者の方、在日外国人の方など社会的マイノリティについても想像出来得る最低限の範囲の補償には国も動いていましたが、やはり漏れは避けられません。このように多様な環境、性質を持った人々を誰一人残さない仕組みを誰かが生み出すことは不可能です。

 だからといって私はあきらめるべきと言いたいわけではありません。私は自らが助けを求める必要があると思います。どんなことに困っているからこんなサポートをしてほしいと請求してそれに応えていくことで初めて取り残される人は減っていくのではないかと思います。自分のことは自分でしか分からないのだから、自分で分析して求めることは出来ます。確かにこれまで述べてきたように多様な問題に一つ一つ政府が応えていくことは出来ません。しかし国、市区町村、地域コミュニティ、NGO、個人で、様々な規模のアクターがあります。助けを求める声を上げれば必ず応えてくれる人はいるはずです。

 私はいつもNGOや国際機関の援助は素敵だし自分も参加したいと思っています。でもやはり企画を持ちかけるのは“援助する側”で無駄も出るし漏れも出る。そうではなくて、困っている人が求めてそれに応えていくことが理想なのではないでしょうか?恐らく今の日本では、政府に直接請求することや意見することが難しいです。まずはみんなが意見を出せる場を設け、言いやすい雰囲気を作りだすことが大事だと思います。その上で自ら求めることで援助の手はすべての人に行き渡るのではないでしょうか。もちろん本格的にやるには国の制度にも関わってくるため簡単なことではありません。しかし、上述したように、アクターは身近にもいるため、私たちも小規模でも助けを求める、また助けることも出来ます。

 私はこの輪が広がっていって国際協力の在り方も変わることを願うとともに、自分も出来ることを地道にやろうと思います。


2020年度(20歳)第1回 SDGs「誰一人取り残さない」小論文コンテスト
結果:入賞

【募集内容】
SDGsの基本精神「誰一人取り残さない」について、思うことや心がけることなどについて、500文字から2000文字程度での日本語での小論文を募集。
【実施団体】
野毛坂グローカル
途上国・日本の地域の学びあいによる共生コミュニティづくりを目指すNGO
http://nogezaka-glocal.com/


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