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明るすぎる幸せの後ろを想像して暗さに飲み込まれる『たまこラブストーリー』

やあ、僕だよ。飽き性ちゃんだよ。
昔っから物語にどっぷり浸かるばかりの人生を送っているとね、幸せな設定やシナリオを疑ってしまって自分が嫌になるよ。
でもnoteをやってる君たちには、そういう人多いんじゃないかな。

そんな君たちが考察したくなる映画、僕今日観ちゃったんだよね。
鑑賞態度は人それぞれだけれど、くれぐれもあまり考えすぎないでくれよ。
考え抜いた末の考察なんてそれが真実に近ければ近いほど、つまらないことが多いからさ。
じゃ、始めようか。ぜひ最後まで付き合っておくれ。

映画あらすじと感想

『たまこラブストーリー』山田尚子
アマプラで視聴。制作会社は京都アニメーション。しかもオリジナルアニメ。さらには劇場版。これだけで観る価値がある。
地上波放送の『たまこまーけっと』続編の位置づけであるが、よほどカンの悪い人でない限りテレビ版未視聴でも楽しめる。

有り体に言えば、赤ん坊の頃からずっと幼馴染だった男女が進路をきっかけに結ばれる話である。より正確に言うならば、告白された側がその返事をするまで、か。

京アニの美しい作画と動画に心奪われる。目が、幸せになる。どこを切り取っても神作画。もちろんシーンのメリハリはあるのだが、メリ部分のクオリティが高すぎる。
一体どのくらいコストがかかっているんだろう。アニメーターがまともな給料をもらっていると願うばかりだ。

また、「たまこラブストーリー 考察」で検索すると数多くの良記事に出会うことが出来る(読みすぎてよくわからなくなっちゃったくらい)。
それくらいメタファーが多いと思わせるカットがたくさんある。
だが、忘れてはならないのはこれは「もち蔵」と「たまこ」の恋物語だということ。
僕みたいに「みどりちゃん」に感情移入して号泣するなんて、どうかしてる(「みどりちゃん」に関してはテレビ版未視聴だと真意が掴みかねる為、劇場版を観た後ぜひそのまま『たまこまーけっと』も観るとよいと思う)。

宇多田ヒカルの歌にそういうのあったよね

あの頃の僕は反抗期を迎えていた。

あなたの幸せ願うほど わがままが増えてくよ
それでもあなたを引き止めない いつだってそう
誰かの願いが叶うころ あの子が泣いてるよ
みんなの願いは同時には叶わない

どこにいてもよく流れていた。いい曲なのは分かったが、反抗期の僕がそれをよしとしなかった。女性ホルモンの暴走だ。

その頃の親友に借りたアジカンのファーストアルバムをリピートして、この曲から逃げた。僕は人より争うのが嫌いだと気付いたはいいが、僕のガワが攻撃的だったので周りがそれを許さなかった。

実のところ、自分の容姿や態度に無頓着だった僕が悪いのだ。自分ばかりが割を食っている気がして、怒りがあとから、あとから、噴き出すようだった。
かなり息苦しく、しんどかった。

青春は、強烈な光と色濃い影が同衾共枕どうきんきょうちんする春の猛暑日だ。
心情としては二度と体験したくないおぞましい時期なのだが、戻れるなら戻って真摯に勉強してみたい。

逆にそれ以外では戻りたくない。
いざ現在のよい塩梅の幸せを手放し、あのしんどさに突っ込まれると考えると気味が悪い。
よい青春だった、なんて言えるのは色んなことを忘れてしまったからだと思うのだ。

幸の一画を引くと

それとも辛に一画を足すと、か。
詭弁に思える陳腐な例えは言いえて妙だなと僕は思う。
同じ思想に、止まない雨はない、明けない夜はない、夜明け前が一番暗い、陽はまた昇るなどがある。


ごちゃごちゃうるせえええええ!!!!
黙れカス!!!!!
しんどいものはしんどいんじゃボケェェェ!!!!!!
ウワアアアアアアアアア!!!!!!!


おっと、僕の愚かで野蛮な態度をここで陳謝しよう。

だが、僕が今、兎田ぺこらのアーカイブを観て幸せになっている後ろ側で、知らない誰かが逃げられないしんどさを抱えて叫んでいる。
この後好転すると頭で分かっていながら、今まさに全てを終わらせたいと叫んでいる人がいる。

僕は自分が幸せな時、たまにその暗さにぞっとすることがある。
賢い僕はそれで幸せを手放したりはしないし、そこまで自己犠牲をする人間でもない。

だが、自分が再びあのしんどさを抱えることになった時、その暗さにぞっとしながら同時に安心するだろう。
知らない誰かが同じように、しんどさと立ち向かって叫んでいると。

せーの!
しんどいものはしんどいんじゃボケェェェ!!!!!!
ウワアアアアアアアアア!!!!!!!

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