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過去を持て余しながら餅を食う『7つの贈り物』

やあ、今年初僕だよ。
今年一年の運気を占う「元旦暇つぶし映画」を観たんだ。
レギュレーションは以下の二つの条件を満たすこと。
「観たことない」と「サムネが名作っぽい」、この二つだ。

今まで知らなかった名作を掘り起こせたら大吉。
時間を無駄にしただけなら吉。
嫌な気持ちになったら大凶、ってな具合さ。

ちなみに、早速初サムネ詐欺に遭ってしまったことだけ君に教えておこうか。
「過去」の取り扱い方についても書けたら書いていくよ(答えは出ていないから期待しないでおくれ)。

そうそう、始める前に一言言わせてね。

昨年は皆さま大変お世話になりました。
引き続き、本年もたくさん構って頂けますと嬉しいです。
何卒、よろしくお願いいたします。

じゃ、今年も君が楽しんでくれると嬉しいな。

本作あらすじと感想

盲目の優しい男、心臓病に振り回される女、虐待を受けている老女、暴力男に追い詰められている家族。
様々な欠陥を抱える人々の前に「ベン」と名乗る男が現れる。彼はどうやら彼らの善性を見ているらしい。

何故彼らの前に男は現れ、口汚く罵ったり施したりするのか。「あなたはいったい誰なの?」の質問に「ただの国税職員」だとしか答えない。
それ以上聞いても彼は困るだけなのだ。
だって彼自身の「計画」が善人の彼らに露呈したら、失敗するのが分かりきっているからである。

この間は息子出演作を観たが、今回はレジェンド父主演作。
若い頃のウィルスミスってわりとエンタメ感強い映画によく出てたイメージがあって、そのせいで本作のような重い題材にぶち当たると僕は狼狽する。

今回は感動系ファンタジーかと思って観てたら行き過ぎた「合理主義」に潰された人の話だった。
僕も効率厨の気があるので、途中色々裏切られながらも結局感情移入して元旦から号泣した。

正直終わってしまえば全く陳腐な筋書きだ。
だが、ウィルスミス演じる男がその「計画」を実行するに至る過程が少しずつ、また効果的な順番で示されることで陳腐さが真に迫る共感に繋がっているように思う。

誰にでも勧められる名作、とは言えないが十分良作には値する一本。
色んなことを後悔しがちな君がこの男の「計画」をどう感じるんだろう。

僕はすごく共感しちゃったよ。そんな自分に年明け早々ちょっと気持ち悪さを感じてる。
そこそこ感想を引き出してくるいい映画だったから、今年の「元旦暇つぶし映画」占いは中吉ってとこかな。

無理ゲーに立ち向かう人々を消費する僕ら

僕がループもの(タイムリープを扱った作品群)が好きなのは「過去」や「結果」の過酷さが主人公を追い詰めるのが見たいからだ。
ちょっとした選択、過程、偶然が「結果」になり、それが積みあがって「過去」になる。
たった一つの「結果」を変えるにも多くのピースが必要で、漸う変えられても「過去」を変えるには膨大なピースを使って大量の「結果」を変えなければならない(しかも偶然のピースが複数ある時点で再現性がないのだ)。

今現在の状況がいかに「奇跡」であるのか。
それを再認識出来るのがループものだと思うし、まどマギもシュタゲも数多くの他の作品も、ループ者が消耗し苦悩する様子を観どころとしているのは、高難度のゲームに立ち向かう実況者をお茶の間でお菓子を食べながら消費する快感に似ている。

手軽に過酷さを追体験しながら、今の幸せを改めて嚙みしめる。
若干ズレてる気もしなくもないけれど、年始の駅伝云々もその系統の快感がある気がするなぁ。

主人公でない僕らが過去を変えるなんて無理ゲーですらない

彼らは運命を打ち砕くため、それこそ命と同等の犠牲を捧げてやり遂げる(中には犠牲がないループ者もいるが、メインシナリオに関わらないか説得力をそこに求めていない場合にのみ限られる)。

能力のある彼らが命を張っても失敗することが結構あるのに、持たざる僕らが「過去」を変えるなんて不可能だ。

では、「過去」をいかに扱うか。
ウィルスミスのように理不尽な「過去」に殺された何もかもを取り戻すために全てを犠牲にするか。
実際、彼視点から見れば取り戻せたとも言える。が、はたから見ればあれは「未来」を「過去」の代用品にしたに過ぎない。

彼は「過去」に苦悩し、行き過ぎた「合理主義」から理不尽さと諸々を許容できず、文字通り全てを犠牲にして代用品を取り戻して自分を癒した。
あれもまた「過去」の取り扱い方として一つの方法だ。

過去の取り扱い方、探し中

しかしながら、全てを犠牲にすることは自分が癒されたとしても「現在」に関わる諸々を蔑ろにしたとも言える。
彼の親友は「計画」の片棒を担がされたことに憤り、深い悲しみを背負った。

僕は僕だけで「現在」なのではなく、僕に関わる全てのもの(セキセイインコやフクロモモンガも含む)が「現在」を形作っているのだから、「なるべく」それらに負担が掛からないよう配慮した上で「過去」を取り扱える方が良い。

配慮しすぎても「過去」を持て余すし、良い塩梅を見つけられる方法があると良いのだけれど。
結局自分が楽になりたいから、こんなことばかり考えている。「この辛さは神様の与えた、成長のための試練だわ」と納得出来ない。飲み込めない。

僕が「過去」に苦悩するのはあくまで僕のせいで、「過去」が起きたことと因果関係がない。この事実を無視出来ない、僕は。

お祝いムードの中、ループ思考に入るのは「現在」を蔑ろにしていると言える。
とりあえず、甘いきなこ餅でも食べて「未来」を生きる息子(あるいは娘)の名前でも考えるかな。



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