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メスの巣作り本能を味方につける『片づけられない女のためのこんどこそ!片づける技術』

やあ、僕だよ。
これまでの人生で掃除好きを公言する人に遭遇したのは一人だけではない。
世間には意外と掃除好きがいるのである(マキシマリストの母も実は掃除好きだ)。

僕は彼らに教えを乞おうと、何度も対話にチャレンジしたが、根本の考え方が違うのでどうにも腑に落ちないことが多かった。

「掃除しなくても死なないのに何故掃除に時間をかけるのか?」

本気で僕は子供の頃思っていた。
たくさんの物に四苦八苦しながら懸命に掃除機をかける母を見て、僕はすっかり掃除が嫌いになってしまったのだ。

僕自身、偏見に満ちたやらず嫌いを一番嫌悪しているというのにだ。

今日の一冊は片づけや掃除が大嫌いな君にこそ読んでほしい一冊、いやいっそ読まなくてもいい。
とりあえず、デスク周りを整理し始めてみよう。そんな、元掃除嫌いから君に宛てた記事である。

本作あらすじと感想

『片づけられない女のためのこんどこそ!片づける技術』池田暁子

こちらで紹介した、同作者の本である。
上記記事の本ではすでに汚部屋脱出後の整理について描かれていたが、こちらの本では汚部屋から普通の部屋になるための最初の一歩、普通の人が習慣にしている片づけと掃除について描かれている。

つまり、これを読んで実践しても「普通の人」になるだけだ。

しかし、果たしてそんな「普通の人」は画面の前にどのくらいいるのだろう?
君も周囲を見回してみたまえ。

目を通してない書類が山積みになっていないか?
自炊に使うはずのコンロが物で占領されて使えなくなってないか?
寝る場所の周りに物がたくさん転がったりしていないか?

水垢がびっしりこびりついた鏡やシンクを平気で使っていないか?
トイレの尿石を見ないフリしてないか?
カビや油汚れがある生活が普通になっていないか?

若い頃、生活するのに自分の物はほとんど必要なかった。
だから片づけなくても、掃除しなくても、最悪死なない

しかし、大人になると一つ物を失くしただけで社会的に死にかけることはよくあるのだ。

僕は僕や夫や子どもを殺さないために、掃除や片づけをする。

片付けや掃除と税金って似てる

生きているだけで発生するものという意味で、とても似ている。
子どもの頃にピンとこないのも似ている。
大人になってから重要度に気づくけれど、それまで知らなかったことだし、みんな知っている風で、恥ずかしいやらどう聞いていいやらで攻略しにくい事柄であるのも似ている。

僕の周りの掃除好きの人の部屋に行くと、大抵物持ちがよく、たくさんの物を持っている人が多い。
それを真似してみるのだけれど、床に置いてある物たちの妨害や膨大な隙間の数に気力を持って行かれて一週間も経たずに挫折する。

夫は私以上に片づけと掃除が大嫌い(ごみ箱がすぐ近くにあるのにその辺に置いても平気なタイプだった)なので、一緒に住み始めた頃の部屋はとんでもない惨状であった。

ミニマリストという概念を知った

最初に出会ったのは、深夜のクローズアップ現代的何かだったと思う。

今話題のミニマリストたちは、「物を持たない」生活をどのように送っているのかと大いにナレーションで煽るその様子。
視点としては正直、珍獣観察のようなニュアンスで映し出されていたように思う。
事実、布団しかない部屋で地べたに座るミニマリストが自分の子どもにもそれを強制する画面に僕も若干引いた。

ただ、「生きるのに必要な物ってそんなに多くないのかもな」とホコリの溜まったテレビを見ながら思ったのだ。

そこからしばらくして、依然不定期に片づけたり片づけなかったりで汚部屋になりかけの部屋を持て余していた僕は、『365日のシンプルライフ』に出会う。

「選択」から逃げるな

僕はこの映画から、必要分を自分で選ぶことで物に愛着を持てると知った。
そこから様々な「物の管理」にまつわる情報を集め始めた(わたなべぽん氏や池田暁子氏もその時に出会っている)。

人に合う物が自分に合うとは限らず、その時合っている物もゆくゆく合わなくなる可能性があること。
自分が把握できる範囲は思ったより少なく、しかしそれで必要十分であること。

これらが腑に落ち、僕はようやく、普通の人のスタートラインに立ったのだ。

僕は早速「選択」を始めた。

一番楽だったのは洋服だった。僕は可愛い服も格好いい服も変な服もどれも「まあまあ好き」なのでつい枚数が多くなる。
でも色んなスタイルの洋服はスタイルを超えた組み合わせが難しく、こだわりがないからこそ、正解がわからなくなっていた。

そう、僕はこだわりがなかったのだ。
洋服は「まあまあ好き」程度で、なんで「大好き」ではないのか。
容姿が究極の並(モブ顔)なのでどれも似合うがどれも同じ印象なのだ。
洋服にこだわってもより良く見せる効果が得られないのでは、努力のしがいがないと無意識の内に興味が薄れていた。

独特なキャラや動物もの、プレゼントされた(単なるお下がりでない)もの、着心地の良いもの以外は全部売ったか捨てた。

僕は洋服に「効果」を求めていたのだ。
だから、モブ顔の僕にしか着こなせない洋服を「選択」した。
せっかくなら他の人が着られないものの方が得した感じがするじゃないか。そうだろう?

定期的に行われる「選択」もいよいよ終盤

動物の巣作りを見たことがあるだろうか。
巣作り本能が強いなと思うのは鳥類であるが、彼らはきっちりと繁殖時期が存在するので分かりやすく巣材を運び、来る卵の為に環境を整備する。

「観察」と「環境整備」を怠ると、動物はすぐ死ぬ

これは僕が飼育者として大事にしているポリシーだ。
彼らのすごいところは、育児をするにあたって本能的に「環境」の大事さを無意識下ですでに知っているところだ。

僕は昨日今日とそれぞれ一〇時間ずつ、掃除と片付けに時間を充てた。

もちろん、物置兼動物部屋を十一月中に改造してリビング兼動物部屋に変え、現在の寝室兼リビングを、寝室兼子ども世話部屋にするミッションを課しているからというのもある(妊娠後期の動けなさすぎエピソードを妹から聞いたせいだ)。

しかし、僕は書類を処分しながら、空いた棚を拭き清めながら、うちのセキセイインコがせっせと巣を作っている様子を思い出していた。
何度も繰り返してきた片づけが今までで一番集中出来たのも、巣作り本能が僕に備わっていたという証明になるのではないか。

僕は今でも掃除がそんな好きではない。
でも「やりたくない」から「マシだな」に変わりつつある。
書くことと一緒だ。「やらねばならない」なら最低限のストレスでやれる程度には工夫出来ている。

それはひとえに「選択」に立ち向かい、物を減らしたからに他ならない。
僕は掃除が嫌いだから、物に邪魔されたままで掃除など想像するだけでストレスで気が狂う。

「選択」は本当に疲れるけれど、自分の本能を味方にして早々に仕上げてしまおうと思う。
読みたい本や映画もたくさんあるからね!

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