見出し画像

酒蔵のシンボル「杉玉」を作る


杉玉とは

造り酒屋の軒先に吊ってある「杉玉(すぎだま)」。
別名「酒林(しゅりん・さかばやし)」とも呼ばれます。
酒蔵のシンボルマーク的な存在で、軒に吊ってあれば造り酒屋だとわかる看板代わりにもなっています。(現在は、日本酒にこだわった居酒屋さんや町の酒屋さんにも吊ってあったりしますね。)
諸説ありますが、杉は雑菌を寄せない効果を持つので、蔵の入り口から酒造りに影響を及ぼす悪い菌が入らないようにとか、昔、酒造りの神様がいらっしゃる奈良の大神神社よりご神木の杉の枝葉をまわりの酒蔵がわけてもらい、それを軒先に吊すことで神様のご加護を得て、無事に事故無く、うまい酒が出来ますようにという願いを込めていたのが由来で、現在のかたちになったのだとも言われています。
この無事に良い酒ができるようにという願いは現在も変わりません。

日本酒造りは、秋からはじまって寒い時期に行うのが主流。(1年通じて仕込みをする四季醸造蔵もあります。)
そして、その年(日本酒年度)の最初に搾る日本酒を新酒と呼び、杉玉はその新酒が出来上がったタイミングで「しるし」として青く新しいものに吊るし替えるのが慣わしです。

石川酒造の国登録有形文化財「本蔵」軒先にある杉玉



いざ!杉玉作り始めます

各蔵や杉玉屋さんで作り方は異なりますが、石川酒造ではこんな感じ!というやり方をご紹介します。
まずは当主所有の東京の山より、杉の葉を採って来るところから始まります。その採って来た杉の葉を数本、針金でひとまとまりに。

山から運び出した杉の葉
程よい量で束ねます

この、コツコツと束ねた杉の葉を、コツコツと杉玉用の骨組みに取り付けて行くのです。なにごともコツコツとです。
この骨組みは再利用しており、一昨年の杉玉の骨組みが今年の杉玉の中身として活用される仕組みです。(青い杉玉を作る→1年吊す→新しい杉玉とかけ替え→古い杉の葉を外して翌年利用)

骨組みは、地球儀のようなカタチをしています
コツコツ、ギュギュッと、とめていきます
この時制作していたのは多満自慢の先々代杜氏(2011年撮影)
作業しやすい高さに吊って作ります

もさもさの球体になったら、刈り込みばさみを使って、綺麗な円に仕上がるようカタチを調えます。
この作業もけっこう沼。こっちからみたら円に見えるけども、あちらから見ると潰れた大福型だとかでキリがありません。笑
程よいくらいで、自分を納得させたら終了にしましょう。

ここまでくればもうスグ!
奥がカット前、手前がカット後のビフォー・アフター

杉玉の吊るし替え

さて!青い杉玉は新酒を搾った合図!
という訳で、その年の新酒発売日に吊るし替えを行います。
吊し替えの作業は毎年、酒造りの最高責任者である杜氏が自ら行います。

遠目に高さなどをチェックしてもらい位置調整して取り付け
こちらは1年お世話になった杉玉

2023年は10月26日(木)にかけ替えを行う予定です。
お役目を果たした杉玉は、骨組みを取り出し、来年の杉玉を作る際に活用。1年の間、軒で蔵を守ってきた杉玉は、かなり乾燥しているので、新しいものと比べるとすごく軽くなっていて驚きますよ!

多満自慢の新酒「あらばしり」「さらさらにごり」

ここで宣伝です。
秋から醸造をはじめて、そろそろ出来上がるアレです。
そう!杉玉と共に出来上がる新酒です。

石川酒造では毎年、多満自慢 あらばしり多満自慢 さらさらにごりという名の新酒を10月末に出荷しています。

青い杉玉と多満自慢あらばしり

多満自慢 あらばしり
食べて美味しいお米で醸造する、お米の風味が濃厚で、爽やか、瑞々しい、いろいろな表情を魅せてくれる純米生原酒です。10月末頃~4月頃迄販売。
※なくなり次第終了

多満自慢 さらさらにごり
出来たて!無濾過無調整の純米にごり酒。こちらは、あらばしりよりもビン詰めする量が少なく、10月末から12月頃までのみ販売。
にごり酒らしく、お米の甘みがたっぷり溢れて、まろやかで飲みやすい味に仕上がる予定です。

できたら、石川酒造の敷地に遊びにお越しいただいて、新しい杉玉を愛でた後、直売店で新酒をご購入いただく、もしくは、レストランで新酒を召し上がっていただくコースがオススメです。ぜひ。笑



<石川酒造について>
石川酒造
は気軽に遊びに行ける東京の酒蔵。樹齢700年をこえるご神木が見守る敷地には直売店・史料館・レストラン(イタリアン・和食)を併設しています。
自社地下天然水で仕込む日本酒とクラフトビールは、オンラインショップで購入できます。自分用にはもちろん、東京のお土産におすすめ

********************

石川酒造公式サイト
https://www.tamajiman.co.jp/

塩麹・日本酒「多満自慢」、クラフトビール「多摩の恵」「TOKYO BLUES」が購入できるオンラインショップ
https://tamajiman.com/index.html

毎月4週目の土曜日とそれに連なる日曜祝日は感謝デー開催日
詳細は公式サイトやSNSでご確認ください。感謝デーでは酒蔵見学も行っています。(見学は有料)

********************


今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます!
いつものお願いですが、ページのフォロー&記事への「好き」宜しくお願いいたします。