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会社で買ったけれども、自腹でも自分用を買った3冊の本_2021年度版

今の勤め先には、仕事に関係のある書籍を、会社経費で購入できる制度があります。
経費で購入したものは、会社の共有スペースにある棚に入れられて読むことができます。

それらをちょこちょこ読むのですが、2021年に自分でも買った本を紹介します。

1.ビジョナリー・カンパニーZERO(ジム・コリンズ)

本書は1992年発行、日本語未訳の「Beyond Entrepreneurship(ビヨンド・アントレプレナーシップ)」をアップデートしたものです。

副題に「ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる」とあるとおり、起業家やスタートアップ、中小企業のリーダーを対象として、人材、リーダーシップ、ビジョン、戦略といった広範なテーマを取り扱っています。

そしてオリジナル版から追加されたテーマは「人」。第2章部分にそれを追加しています。そこで気になったのが「ポスト」のくだりです。

重要ポストとは、次の3つの条件の「いずれかひとつ」を満たす
1.人材にかかわる重要な意思決定をする権限がある
2.この職務での失敗は、会社全体に重大なリスクあるいは大惨事を引き起こす可能性がある
3.この職務での成功は、会社の成功にきわめて大きな影響を与える可能性がある

「ビジョナリー・カンパニーZERO」より抜粋

重要ポストについている人の育成か交代かという難問に直面したときの7つの質問
1.この人物を重要ポストにとどめているために、他の人材が会社を去りはじめていないか。
2.価値観の問題か、意思の問題か、あるいは能力の問題か
3.「窓」と「鏡」をどう使うか
4.仕事を「業務」と見るか「責任」と見るか
5.ここ1年で、この人物に対するあなたの信頼は高まったか、下がったか
6.バスの問題なのか、座席の問題なのか
7.この人物が退社したら、あなたはどう感じるか

「ビジョナリー・カンパニーZERO」より抜粋

上記ほどの重要ポストではなくとも、どの役割をだれにお願いし、成長を促すか、それとも交代するのか、ということはいつも悩ましい思いをします。

「社員に成長してほしければ、まず自分が成長する」

私のようなベンチャーに転職した人間には示唆溢れる内容でした。

2.超ライティング大全(東 香名子)

この本の目的は「バズる記事」を書くためにはどうすればよいか、というもの。

いわゆる文章術系の本になるでしょうか。準備、フォーマット、選ぶべきテーマ、書いてはいけないこと、など、バズるためのテクニックを書いた本です。

例えば『「仮タイトル」を決めておけば書くスピードが10倍アップする』という項目では以下のようなことを著者は説きます。

・TwitterやFacebookでは、タイトルを書かない人も多いと思います。実際、各必要はなくても、仮タイトルをつけて書くと、書きやすくなる。
・仮なので適当なものでOK(当該本の仮タイトルは『どんな人でもマネすればバズる記事が書ける本』)

「超ライティング大全」より抜粋

上記以外にも多くのテクニックが披露されています。
なるほどと思いながら読みましたが、自分自身がこの記事で実践できているかは

3.外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント(山口周)

今回紹介する本で、この本だけが2021年の発売ではありません。
2021年の下半期に私の頭を大いに悩ませた問題に、「電子帳簿保存法」の改正対応がありました。

電子取引データの電子保存が2022年1月より義務化される、というもので、未だ紙主体の経理業務をやっている我々は、いそいでこれらに対応する必要がありました。

経理でプロジェクト的に対応を進めることになり、プロジェクトマネジメントとは何かというのを一度インプットするために読みました。

個人的に一番ハッとさせられたのはメンバーのアサインメント成長力に関する以下のくだりです。

よくやってしまうのは「難しいワークモジュール」に優秀なメンバーをアサインして「簡単なモジュール」にそれほどでもないメンバーをアサインしてしまう、というミスです。(中略)
アサインメントは逆にするべきです。簡単なモジュールは優秀なメンバーに任せて、難しいモジュールは、プロジェクトマネジャー自らが腕まくりして手を突っ込み、サポートに「それほどでもないメンバー」を据える、とうのが正しいやり方です。(中略)
「優秀なメンバーに簡単なモジュールを任せ、そのモジュールについてマネジャーは忘れる」というのが正しいということになります。

外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント

必ずしも評判の良くないメンバーであっても、そのメンバーの「成長余力」を信じて接してあげることがとても重要です。

同上

結局、電子データ保存は2年間の寛恕措置が取られることになりましたが、私にとっては反省の多いプロジェクトになりました。

最後に

2022年はじめということで、昨年読んだ本の振り返りをしました。
最近は、つい仕事関係の本ばかり手にとってしまいますが、読書に関して梅棹忠夫は「知的生産の技術」で以下のように言っています。

「読書においてだいじなのは、著者の思想を正確に理解するとともに、それによって自分の思想を開発し、育成流することなのだ。読書というものは、電流の感応現象のようなものだとおもっている。ひとつのコイルに電流をながすと、もうひとつのほうのコイルに、感応電流という、まったくべつの電流が発生する。両者は、直接にはどこもつながっていないのである。たいせつなのは、はじめにながす電流ではなくて、あとの感応電流のほうなのだ。これをうまくとりだすことによって、モーターははじめて回転しはじめるのである」

知的生産の技術

ここでいうモーターとは、自分自身のことでしょう。
年を経て大分古めかしいモーターとなってきましたが、今年もなんとか回転できるよう、2022年もメンテナンスを怠らないようにしたいものです。

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