こんにちは。
「自分を活かす、他人を活かす、組織を活かす。」
統合カウンセラーの猫間英介です。
私は、この20年近く、会社でのコンプライアンス内部通報制度の相談窓口の責任者として、多くの内部通報案件の調査・対応を行ってきました。通報案件の中でもパワーハラスメント(「パワハラ」)に関連するものの件数は毎年、常に上位にありました。
本日は、職場におけるパワハラのうち、特に、上司(役員、部長、課長、係長、作業長など)から部下に対するパワハラが発生する原因について、私が経験上、強く感じていることをお話したいと思います。
1.「パワハラ」とは
以前、パワハラの概念自体が明確でないこともありましたが、2019年5月の労働施策総合推進法の改正により、次のようにパワハラの定義づけが行われました。
また、厚生労働省からパワハラに該当する代表的な6つの類型が示されています。
2.「ジェラシー・マネジメント」の必要性
私が、約20年間、多くの上司から部下へのパワハラ案件対応を通じて強く思うのは、パワハラの大きな要因は、「上司のジェラシー(嫉妬心)」に根差している、ということです。 私は、パワハラ防止のためには、怒りを適切にコントロールする「アンガー・マネジメント」教育も重要であると思いますが、それ以上に、嫉妬をコントロールする「ジェラシー・マネジメント」教育は、絶対不可欠であると思います。
ジェラシー(嫉妬)とは、例えば、広辞苑では次のとおりです。
実際に私が対応してきた案件を参考にしたサンプル事例を、いくつか示します。
上記のどのケースも、「自分を活かす、他人を活かす、組織を活かす。」とは真逆で、「自分を壊し、他人を壊し、組織を壊す。」です。
そしていずれのケースも上司の問題言動の重要要因として、「嫉妬(ジェラシー)」があるのではないか、と見るのが自然ではないかと私は思います。
なお、社内調査の過程では、行為者が自分のジェラシーを認めることはまずありませんし、皆、業務上必要であるから、とか指導の一環としてか、ありとあらゆる見え見えのもっともらしい言い訳をひねり出してきます。(そもそも本人がジェラシーに全く気付いていないように見受けられるケースもあります。)
3.「ジェラシー・マネジメント教育・研修」の骨子
ジェラシーと言えば真っ先に思いつくのが恋愛場面です。私自身も学生時代など、自分のジェラシー、友人や交際相手のジェラシーにずいぶんと振り回された記憶があります。 自分でもジェラシーを上手くコントロールできずに苦労し、自分を傷つけ、人を傷つけてしまったと思います。
しかし、会社生活においても、このジェラシーというのは、人間の感情の中で、非常にやっかいなコントロールしがたい感情であることに変わりはありません。 誰でも、何歳になっても、どれだけ大人になったつもりでいても、いきなりスイッチが入ってしまうものなのです。そして、そのまま放置していると、不適切な言動がどんどんエスカレートし、人に、仕事に、組織に多大なダメージを与えることになります。
とても優秀で人格的にも信頼されていた経営陣や管理職が、ジェラシーにより全く別人格のような不適切な言動をとるようになる事例を私はたくさん目の当たりにしてきました。そして優秀な上司が優秀な部下を潰し、上司自身も潰れ、部門の業務も停滞してしまう、というのが典型的なパターンで、会社としては三重苦の深刻なダメージを被ることとなります。
ですので、例えば、管理職の教育・研修などにおいても、「ジェラシー・マネジメント」を積極的に取り入れるべきであると考えます。詳しいことは置きますが、具体的には次の点が骨子になると思います。 もちろん、管理職に限定せずに全社員に展開しても良いと思いますが、まずは、業務上、大きな権限を有している管理職レベルから始めるのが良いのではないかと思います。
猫間英介
【 今日の短歌】