銀河鉄道999@日本青年館

銀河鉄道999に触れるのはほぼ初めてという状態で、今回ミュージカルを観てきました。
ストーリー展開は原作を知らなくても楽しめました。結末に向けて必要な情報を描くために全体的に駆け足気味ではありましたが、各星々での出来事がオムニバスのように連なっていく構成は、どうしても説明パートが多くなりがちな中で、逆に飽きにくく見やすさを感じました。
漫画・アニメ原作ものはビジュアルが分かりやすいので、あまり存じ上げないキャストの方でも見分けが付きやすく結果的にキャラクター理解もしやすいというのも初見には大きな利点だと思います。

簡単にですが、気になった方々の感想です。

星野鉄郎@中川晃教さん
まるで引き寄せられるかのように自然と周りに人が集まっていく不思議な魅力を持った主人公、このような役を演じるあっきーの説得力はずば抜けていると思います。求心力というのでしょうか。今回の銀河鉄道999で描かれる鉄郎はそれほどかっこいいわけでもなければ、むしろ未熟さも際立って感じられます。しかしそうでありながら、あっきーがそこにいるだけで溢れ出る明るさや強さ、熱意があって、それが鉄郎というキャラクターと重なって、無二の魅力を発揮していました。生き生きとしたあっきーのお芝居にとても惹かれました。
今回あまり力強く歌い上げるような曲がなかったので、なんとなく物足りなさを感じてしまったところはありました。鉄郎に合わないので納得はしてますが、やっぱりあっきーを観るとパワフルな歌声を聞きたくてウズウズしてしまいます。次の作品こそは。

メーテル@花總まりさん
お花様のメーテルはミステリアスな雰囲気を持ちながらも、意外なほどに感情が豊かで、ほっそりとした儚げな姿の中に強さも弱さも悲しみも喜びも期待も諦めも表現しきれないほどの様々な想いが詰まっているのがひしひしと感じられて、繊細なお芝居に目が離せませんでした。鉄郎とプロメシュームの両方を想っているからこそ心の揺らぎが手にとるように感じられて、心に刺さります。そしてビジュアルもとてもお美しくて素敵でした。
原作を知らないのでメーテルの人物像もよく知らないはずなのですが、お花様が舞台に出てきた瞬間、存在の全てがなんだかすごくメーテルな気がする!ってなりました。何でしょうかこの現象。

クイーン・エメラルダス@北翔海莉さん
みっさまが歌声を聴くと条件反射のごとく泣く、ということが観劇中複数回ありました。凛々しく強く誇り高いエメラルダスがトチローを想う時だけ心の内をのぞかせる、その瞬間瞬間のみっさまのお芝居と歌に情感が溢れ出していて、ひたすら胸を打たれる思いで観てました。本当に素晴らしかったです。みっさまが演じるクイーン・エメラルダスを観られて良かった。
あと、マント捌きが美しすぎて惚れ惚れしました。かっこよすぎです。

クレア@梅田彩佳さん&車掌@徳永ゆうきさん
鉄道内の癒やしでした。お二人とも可愛かったです。
車窓の徳永さんは朗々とした歌声が耳に心地よかったです。
梅田さんのクレアは可愛くて健気で、鉄郎への淡い恋心に揺れる様子が素敵でした。結末の、銀河鉄道の中で育まれた感情が身を挺してプロメシュームを止める行動につながる姿が、悲しいですがとても輝いて見えました。

リューズ@矢沢洋子さん
今回一番好きなキャラクターかもしれません。
歌も素敵でしたが、工場の星でプライダーとともに希望を歌っていた時から、機械伯爵に引き金を引き城を崩壊させるまで、ずっとそばに寄り添っていたリューズのプライダー/機械伯爵への深い愛を感じるお芝居が印象的でした。

大山トチロー@藤岡正明さん
最初出てきたときは何でエメラルダスはこんなにトチローが好きなんだろうかと思ってました。ふざけた調子だけれど、確固たる信念を持っていることがひしひしと伝わってくる演技に、どんどん魅力的に見えるようになりました。
あと、カーテンコールのトチローというか藤岡さんのビールの宣伝が面白かったです。

プロメシューム@松本梨香さん
迫力がすごい。そして美声。
元夫や娘たちとの関係性が理解しきれていないのですが、プロメシュームにも彼女なりの信念や家族への思いがあったことに思いを馳せたくなります。


あっという間に時間が経つような、楽しい作品でした。
どうか千秋楽まで無事に完走することを祈っています。