デザイン思考のプロセス

はじめに

前回の記事で、デザイン思考とアブダクションについて説明した。

もちろん、実際のプロジェクト等を行う際にはデザイン思考で重視されるアブダクションのほかに、帰納法と演繹法による論理的思考が用いられる。すなわち、実際の問題解決においては帰納法、演繹法、アブダクションの三つが必要、ということである。

Dunne and Martin (2006) の論文では、これらの点を踏まえた思考サイクルが提示されている。

それは、

1. アイディア創造(アブダクション)
2. 結果の予測 (演繹法)
3. 検証
4. 一般化(帰納法)* 1に戻る

というプロセスである。

1. アイディア創造

まずはアイディアを創造する。現実の問題に対処する場合、生み出したい価値を明確にし、それをどうやって生み出せるかを考える。具体的には、どのようなもので (WHAT)、どのような仕組みを用いて (HOW) 価値を生み出すのか (VALUE) を考えるのである。

ここでのWHAT と HOW は無数の組み合わせがあるだろう。いろいろな組み合わせを考慮するとよい。

2. 結果の予測

アイディアが固まったら、その結果 (RESULT) を予測することが必要である。どの程度の価値が生み出されるのか、データや様々な事実をもとに予測を立ててみるのである。

3. 検証

結果の予測ができたら、実際に予想通りの結果が得られるか検証することになる。デザイン思考では、プロトタイプの作成がこの検証に当たる。前回の記事ではプロトタイプの作成がデザイン思考において重要だ、という旨を書いたけれども、これによって予測したこととのズレを明らかにすることができ、更なる改良へのステップへとつながることになる。

4. 一般化

検証の結果、明らかになったことを一般化する。どのような原則が明らかになったのだろうか。どのような法則が導き出されただろうか。こうした原理原則を検証を通じて一般化する。

そして、一般化が終わったら、再びアイディアの創造に戻る。つまり、新たな仮説を立て、求める価値を生み出すための製品・サービスやビジネスモデルを再考するのである。

おわりに

以上の流れは大まかなデザイン思考の適応を示したものである。では、具体的にアイデアを創造するためにどうすればいいかなど、細かい内容についてはまた別の機会に述べるとする。

Reference

Dunne, D., & Martin, R. (2006). Design Thinking and How It Will Change Management Education: An Interview and Discussion, Academy of Management Learning & Education, 5(4), 512-523.

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