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映画館 Stranger

東東京の菊川に新しい映画館が誕生した。そのこけら落としの上映作品がゴダール。学生時代にヌーベルバーグを知り、勝手にしやがれや気狂いピエロ、女は女であるをレンタルし背伸びをしながら観ていた。今回80、90年代のより難解さが増す作品が上映されるということで一度は躊躇したが、ゴダールがつい先日逝去され追悼の意を込めて急遽足を運んだ。

初めて訪れる菊川駅。映画の前に腹ごしらえをしようとその付近を散歩してみたらすぐに愛する定食チェーンのやよい軒を発見した。やよい軒から約30秒で到着する映画館なんてこれだけでファンになってしまう。大好物のチキン南蛮を頬張りいざ映画館へ。

カフェが併設されたなんともお洒落な空間。ブランディング会社の代表が運営していることもあり、ロゴマークや印刷物、グッズなど隅々までデザインが行き届いている。上映作品も座席も音響も拘り、配信で映画を観ることが当たり前になった今あえて映画館を作り、愛する作品で人と人とが繋がる空間を大切にしたいという熱い想い。タブレットで一人で観るよりも暗い箱にみんなで閉じ込められ大きなスクリーンで観る方が確実に忘れられない映画体験になる。

肝心のゴダールの作品「JLG/自画像」は絵画を見るように音楽を聴くように粗筋や意味を求めず映像と音響にフォーカスさえすれば十分楽しめる。海、森、雪、手書きのノートが印象的で美しかった。

今後も希少価値の高い独自のセレクションを期待しているが、5年後10年後理想と現実がどのように変化していくのかとても興味がある。経済のための文化ではなく、文化のための経済がどれだけ持続可能であるのか陰ながら応援したい。

見知らぬ人が集まりスクリーンに照らす希望の光。