サードウェイは最新のビジネス書??

冒頭に「サードウェイは生きるうえで、仕事をするうえでの考え方であり、思想である」と書かれています。この本は本屋ではどのジャンルに配置されているのだろうか。ビジネス?自己啓発?それとも哲学?

タイトル:サードウェイ第三の道の作り方
著者:山口絵理子(㈱マザーハウス 代表取締役兼チーフデザイナー)


マザーハウスの歩み
13年間で5か国の発展途上国でブランドや商品開発を行い、4か国で合計38店舗展開

発展途上国に『ゼロ』から自分で工場を作るって、考えられますか?
山口さんって元々、デザイナーでも職人でも無いんですよ。お金も人脈もプロダクトも無い状態で、バッグ作りをはじめて、学生からそのまま起業(といっても起業は制度上、必要だったのでしたというレベル)して。この時点でビジネスとしては良く意味がわかりませんよね。
*山口絵理子さんの歩みは「裸でも生きる」に描かれています

それをちゃんと商売として軌道に乗せて事業を続けている。それだけで相当に凄いことだと思います。実はここ台湾・台北にも直営店がいくつもあって、もうかれこれ8年以上事業を続けられています。

僕も台北で工芸品のお店を一店舗運営していますが、異国の地での小売行は本当に大変なんです。日本と違い商業施設側の考え方は完全なる不動産で、大きな資本力が無いと施設側の一言により、泣く泣く撤退しなければいけない場合も多々あります。そのような中、台湾、香港、シンガポールで事業展開されていることは、もう信じられません。

僕が刺さった部分
①伝統と革新に挑戦

富山のクラフトも10年以上前から「伝統と革新」と言われていますが「言うは易く行うは難し」で、本当の意味で体現できているブランドはごくごく一部です。それを発展途上国現地の職人を巻き込んで、更には国を繋げて実践されています。「伝統」って言い換えると古い価値観や既得権益から抜け出せないコトでもあり、ここに切り込むだけでも相当な想いが無いとできません。

②複数の役割をやり続ける
会社の規模が大きくなるとどうしても代表者は、現場の仕事がしたくても広告塔の役割が増えてきて、持ち場を誰かに任せざるを得なくなりますが、山口さんは今でも経営者とデザイナーの両軸を持ち続けているそうです。

デザイナーといっても普通のプロダクトデザイナーと違います。発展途上国に行って、そこで素材を見つけ、職人を探し、こられとぶつかり合って・向き合って、デザイン・ものづくりを行っているのです。普通のプロダクトデザイナーでここまでしている方を僕は知りません。

③育児放棄をしない、売ることにもこだわる
作ることが自分の仕事と割り切っている職人さんも多いのが現状で、その気持ちは十分理解できます。山口さんは「売れなければゴミを作っていることと同じ」と表現されており、これは売ることへのこだわりを表しています。本には売り上げは13年間下がったことが無いとも書かれています。

「社会へのインパクトはビジネスの大きさに比例する」とも書かれており、ビジョンだけではなく、いやむしろ自分のビジョンのために、結果に非常に厳しい方なのだと思います。

感想

この本は読む人のバックグラウンドやその時の感情によって、受け止め方が特に大きく異なる本かもしれません。僕には山口絵理子さん(創業者)のビジネス上の戦略と感じました。ただ戦略と言っても計画的なモノではなく、目の前の困難を乗り越えるために、生き残るために生まれた考え方、行動の結果の棚卸です。もしかすると生き様みたいな感じかもしれません。

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